ただ、一生懸命だっただけ。
そうしたら、香りになった。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.急いでしたくする
3.すぐに夜がくる
4.急いでて、つい
5.よく見えないから
6.優しさのにおい
7.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、海や林ですっぱだかであそぶ、10才のタウパです。
だれのお母さんだって、いつも必死。
ぼくらを怒るのだって、ぼくらのご飯をつくるのだって。
お母さん、
いつも汗を流してるんだってばぁ。
2.急いでしたくする
火をつかう小屋の奥には、燃料にする枯れたヤシの実の皮が、積まれていました。
タウパのお母さんが火を前にして、ヤシの葉をあんだマットに、あぐらをかいています。
「おお、それじゃあ明日な」
海のほうから、タウパのお父さんのカタレマの声がしました。
立ちあがったお母さんが、柱のあいだから屋根の外にでます。
「おかえりなさい、あなた。つかれたでしょう」
カタレマから漁獲の入った布の袋を受けとりました。
「すまん、今日はそんなに獲れなかった」
お母さんが袋の口をひらきます。
「何いってるんですか、これだけあれば、これから家族で食べる分には、じゅうぶんです。いい火が、ちょうど起きましたから、急いでしたくしますね」
3.すぐに夜がくる
母屋の葉をふいた屋根の、軒先でした。
ヤシの葉をあんだマットをならべてしき、食卓ができました。
「タウパ、おじいちゃんたちを呼んで、そうしたら座って食べなさい。もうすぐ太陽が海にしずむわ。さぁ、はやく」
タウパが母屋へ入り、曽祖父とその両親に声をかけました。
そして食卓にもどります。
「お母さん、葉っぱで指先、つつんでるけど、ケガしたの?」
お母さんが魚の入ったかごをおきました。
「ええ、ちょっとね。どってことないわ」
カタレマがマットにあぐらをかきます。
「どうしたんだ?」
お母さんにたずねました。
4.急いでて、つい
カタレマの横にお母さんがあぐらをかきました。
「魚を焼いてて、やけどしちゃったんです」
カタレマが、お母さんの指に目をむけました。
「めずらしいじゃないか?」
「火が出てなかったから、ついヤシの実の皮を指で押しちゃったの。だけど赤く炭になってて」
カタレマが優しく微笑みます。
「そりゃあ、熱かっただろう」
お母さんが、わずかに肩をすくめました。
「ええ、でも一瞬でしたから。だいじょうぶです。すぐになおりますから」
家族がマットに車座になりました。
5.よく見えないから
タウパがお母さんに顔をむけました。
「お母さん、やけどなんて、どうしてそんなおっちょこちょい、したの?」
お母さんがうれいそうに、ほほをゆるめました。
「お父さんががんばって、獲ってきたのよ。明るいうちに食べたほうが、おいしいでしょう」
「暗くなったって、味はかわらないじゃん」
お母さんが、カゴに入った魚に目をやります。
「だけどほら、こうして魚が焦げてるのが、ちゃんと見えたほうが、おいしそうでしょう。いくら夜目が効いても、黒っぽく焦げてるのまでは、わからないわ」
魚は大人の肘から指先ほどの体長があります。
タウパが両手でつかみ、自分の前においた葉に魚をのせました。
「そうだね、暗くなっても食べられるけど、焦げてるのまでは、よく見えないや」
6.優しさのにおい
「タウパ、わかるか?」
お父さんが、横に座るタウパに顔をむけました。
「お母さんは、魚がおいしく見えるように、急いだんだ。みんなのために頑張ったんだぞ。魚を獲ってきた俺だけじゃなく、家族みんなへのお母さんの思いやりだ」
タウパが魚に視線を落とします。
「お母さん、ウロコが焦げてめくれあがってる魚、めちゃくちゃおいしそう!」
タウパが指で、魚の皮を大きくはがしました。
「白い身が、ホクホクしてる」
指でつまんだ大きな身を、口にはこびます。
「うわぁ〜、炭の香りがする。お母さんの、優しさのにおいだってばぁ」
車座から笑みがこぼれます。
7.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
急いだから、つい。
優しさが香るのかもしれないずら。
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