育児以外のことなら、手をぬいていいのかも?
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き <子どもは、服がきらい>
2.いうことをきかない
3.腹立たしいったらありゃしない
4.気がおさまるまで
5.風にのって
6.よみがえるやわらかさ、もりあがり
7.宝物がささえてくれる
8.まとめ <ずっといやしてくれる>
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <子どもは、服がきらい>
島の子どもたちは、みんなスッポンポン!
気持ちが、いいんだってばぁ。
ぼくも学校から帰ったら、
制服の短パンを、ぬいじゃいます。
2.いうことをきかない
胸がふくらんできた14才の、ビシビです。
軒先に立って、高床にあぐらをかくお母さんに、強い目をむけました。
「お母さんみたいな服を、着るのなんていや」
服は茶色い布で、袋のようにダボッ、とつくってあります。
「だったらせめて、学校から帰ったら、短パンをはいたままでいなさい」
「イヤだ。私は生まれたままの姿が大すきなの、そんなこともわからないお母さんなんて、最低」
ビシビが横をむいて、歩きだしました。
「なんだい、その口のきき方は」
お母さんがいそいで、高床からおりました。
「それが親にむかっていう言葉か――」
どなり声が、走りだしたビシビの背中を、おいかけます。
3.腹立たしいったらありゃしない
島の先端へむかう道が、ヤシの木のあいだをつづいています。
「まったく、あの子ったら」
ぶつぶついいながら足をすすめます。
「とっつかまえて棒で、ひっぱたいてやりたいよ。どれだけすっきりすることか。サッ」
はきすてるように発し、道を折れました。
ヤシの木のあいまにしげる雑木のあいだに、人が歩いてできた道がつづいています。
雑木の葉を、一方の手でたたきました。
「まったく、腹立たしいったらありゃしない」
4.気がおさまるまで
ひらけた場所にでました。
雑木にかこまれ、芝のような草のはえたなかほどに、白い小石がまるく敷きつめてありました。
その中心に、大人のひじから指先ぐらいの幅をしたシャコ貝が、上の貝をななめにひらいた状態でおいてあります。
下の貝には、大人の指先ぐらいの大きさをした白い石が3つ、よりそうようにしてありました。
祭られている神様を、正面にして立ちます。
「気がおさまるまで少し、やすませてくださいな」
神様のほうをむいて、芝のような草に横になりました。
高い木がしなり、幹のきしむ音がひびきました。
「やっぱりここは、気持ちが落ち着くわねぇ」
心のなかでいいながら、風をかんじました。
遠い過去が、はこばれてくるようです。
ビシビがまだ手のかかる、幼ないころのことでした。
葉をあんだマットにあぐらをかき、地面にさした棒に人のせたけ以上に細長い葉を、こすりつけます。
葉のはばのひろい部分をもち、腕をいったりきたりさせ、葉のまるみをのばします。
足にあがったビシビが、腕に足をかけて肩へあがろうとしました。
「ビシビ、おねがいよ。ひとりで遊んでて」
ビシビを地面におろし、作業をつづけます。
「も~、ビシビったら、葉がのばせないじゃない。屋根を葺きかえなきゃいけないの」
6.よみがえるやわらかさ、もりあがり
「も~、ビシビったら、これじゃあ夜も作業をするようだわ」
ビシビをだいて、立ちあがりました。
「おばあちゃんに、みててもらいましょうね」
だっこされたビシビは、ごきげんです。
「それじゃあ、お母さん、おねがいしますね」
そういって歩きだすと、ビシビが泣きだしました。
とたんに泣き声が大きくなります。
おばあちゃんが、つれていくようにいい、お母さんがもどると、泣きやんだビシビが、りょう手をお母さんの首にまわしました。
その腕のやわらかさが、よみがえります。
だいて歩いていると、ビシビが一方の手を前にだし、開いたり閉じたりしました。
その指の肉のもりあがりが、頭にうかびます。
神様へむいた目が閉じていました。
7.宝物がささえてくれる
草にうつるヤシの葉の影が、体をこするようです。
目をつぶって腕を枕にしています。
≪あのころは大変だったけど、なんでもかんでも、そんなに真面目に、やることなかったのよ。若かったから、そんなふうに思えなかったけど、屋根に葺いた葉が古くなって、雨が落ちてきたって、いいじゃない。横へ、よければいいのよ≫
目をつぶったままほほえみました。
≪あのころのビシビ、かわいかったなぁ。もっと、もっと、じゃまされれば、よかったのよ。作業がすすまなくたって、いいじゃない。もっと、もっと、じゃまされれば、よかったのよ≫
ヤシの幹が、しなる音をひびかせました。
起きあがって神様にむき、あぐらをかきます。
「いいわ、ビシビが自分から、服を着るっていうまで、あの子は裸だわ。いいじゃない、もっと、もっと、じゃまされれば、よかったのよ」
8.まとめ <ずっといやしてくれる>
こんにちは、どふぁらずら。
育児。
たいへん、つかれる、なんとかして――。
そんなときにうまれる宝物。
ずっと、いやしてくれるずら。
おっと!
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