よみがえった衝撃的な場面、今、そのなかにいる。
< 本文は:物語風に2分 >
目次
1.タウパの前書き <いつの間にか、じっと見てる>
2.見つめる炎・炎の不規則なゆれにつつまれて
3.炎のゆれに連れられて・ボーッといやされながら
4.よみがえった想い出・衝撃的な光景
5.まとめ <炎は陰の立役者>
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <いつの間にか、じっと見てる>
どふぁら兄ちゃんが、青い火があるっていう。
だけど、
島にあるのは、オレンジ色の炎だけなんだってばぁ。
ぼくも炎を見るのが好き。
って、いうより、
いつの間にか、じっと見てたりする。
不規則にゆれる炎って、いやしてくれるんだって。
2.見つめる炎・炎の不規則なゆれにつつまれて
カラッ、と乾いた葉が、いくえにもなった屋根の軒先です。
枯れたヤシの実の皮から、炎があがっていました。
その灯りをたよりに、地面にヤシの葉をあんだマットをしき、3人があぐらをかいて車座をつくり、夕食をとります。
灯りが入るように車座は、火のほうが広くあいていました。
どふぁらの従妹にあたるボアタは、16才です。
紙袋のようにつくった茶色いワンピースを着ています。
「今夜は、少ししか魚がないじゃないか。わたしに、イモばっかり食えっていうのか」
体長が60センチほどの魚が3尾、焼かれた姿で横たわっています。
ボアタが三角に切ったイモをつかみ、顔をどふぁらへむけました。
「日の出に、漁へいくんだろう。どふぁらは、魚をたくさん食え。そして魚をたくさん獲れ、そうしたら私が食べるから。今はがまんする。少しだけでいい」
タウパが指で、魚の皮を大きくはがしました。
「どふぁら兄ちゃん、漁、うまくなったよね。魚をいっぱい獲ってくるもん」
ボアタとタウパのほほが、炎の色に染まっています。
その顔の影が大きく、どふぁらが背にする屋根に黒くうつり、不規則にゆれているはずです。
どふぁらが魚の身を持った手をとめ、炎へ顔をむけました。
火のむこうにならぶヤシの幹が、炎の色をうけています。
その上で放射状にひらくヤシの葉に、炎の色がゆらいでいました。
3.炎のゆれに連れられて・ボーッといやされながら
炎へ目をむけるどふぁらは手に、魚の白っぽい身を持ったままです。
≪まっくらな劇場で、うす暗い舞台を見ているのかと錯覚したずら。んだが、ちがう。ほんものずら。人間と、人間が建てた家と、その生活が、闇にうかびあがっていた。衝撃的だったずら≫
それはどふぁらが、島へきて間もないころの、月のない夜です。
夜目の利かないどふぁらは、男の肩にかた手をおいて歩きます。
ヤシ林を、とおる道でした。
木々のあいだに、炎の色がゆれうごき、その前まできて足をとめました。
幹のあいだへむけた目が、釘づけになります。
闇を、地面からあがる炎が照らしだしています。
地面に葉をしいて床にする家にしては、こじんまりしていました。
葉をふいた屋根を四隅の柱がささえ、その軒先で2人の子供と両親が、車座になって食事をしています。
そのさらにこちら側の地面から、炎があがっていました。
人がうごき、黒い影が、炎の色がゆれうごいています。
その光景が、闇に浮かびあがっていました。
4.よみがえった想い出・衝撃的な光景
魚の身を持ったどふぁらの目が、炎を見つめています。
「食べないなら、わたしがもらうぞ」
ボアタの声にどふぁらが、我にかえります。
≪おっと、ぼーっとしちまった。博物館にある作り物にも、思えたずら。そのぐらい現実ばなれしてた。いやされながら、衝撃的な光景がよみがえるとは、ありがたいずら。前にならぶヤシの木の、もっとむこうから見たら、おなじずら。おいらは今、あの光景のなかで、飯を食ってる≫
「うううっ、うっ」
しゃべれないどふぁらが、うなります。
勘のいいボアタが、顔をどふぁらにむけました。
「だったらはやく食え、明日、たくさん獲ってこなかったら、承知しないぞ」
5.まとめ <炎は陰の立役者>
こんにちは、どふぁらずら。
島では毎日、火をおこす。
なごむずら、いやされるずら。
んだが、
つらい想い出がよみがえることがある。
炎は、
島の平穏な暮らしに刺激をあたえる、陰の立役者かもしれないずら。
おっと!
平穏な暮らしは、誇りからずら。
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