がめついのや、せこいのは、ダメ!
たいへんが、ほんの少し、わかってくれたらいいなぁ。
ママより。
本文は:物語風に5分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き <島のくらし・役に立つ茶色いヤシの実>
2.新しいノートとえんぴつがほしい
3.茶色いヤシの実が、お金のかわりに
4.なかなかみつからない
5.かにくがヤシ油のもと・お金を手にいれる大人の仕事
6.朝早く出発
7.自分のたいへんと親のたいへん
8.まとめ
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き <島のくらし・役に立つ茶色いヤシの実>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
みどり色のヤシの実が、茶色くなって自然に落ちる。
その茶色い実は、ヤシの木のたね。
中には、たねからでてくる芽のえいようになる、かにくが、いっぱいなんだってばぁ。
かにくと魚をいっしょに食べると、まろやかになっておいしい。
かにくは、ココナッツミルクにもなるし、
かみの毛やはだにぬる、いいにおいのする油にもなる。
ほかにも役に立って、毎日つかいます。
だから学校の帰りなんかに、実をひろって帰ると、
家の人にほめられる。
2.新しいノートとえんぴつがほしい
小学校の教室は、葉っぱでつくった屋根の下です。
屋根を4本のはしらが、ささえています。
地面に、ヤシの葉をあんだマットが、しいてありました。
そこに、タウパがあぐらをかいています。
前かがみになってノートに、えんぴつを走らせました。
心の中で言います。
≪あと2ページつかったら、もうページがないや≫
このノート1さつを、どのじゅ業にもつかいます。
ノートを手にしたタウパが、ページをパラパラめくりました。
≪やっぱり、あいてるページは、ない。つぎのノートを、用意しなきゃ≫
タウパがノートをおき、計算をつづけます。
≪このえんぴつも、短くてつかいにくくなってきたし、茶色いヤシの実、集めなきゃ≫
3.茶色いヤシの実が、お金のかわりに
タウパとどふぁらが、集落をでてヤシ林にはいりました。
「学校の帰りに、ヤシの実をひとつひろった。学校にもどって、そのひとつは先生にわたしてきたから、集めるのはあと9コだけ、だから」
小学校で、茶色いヤシの実10コと、ノートとえんぴつをとりかえてくれます。
「うううっ、うっ」
しゃべれないどふぁらが、うなります。
それが、なんて言ったのか、タウパにはわかりました。
「そうだね、だけ、じゃないよね、9コも! だよね」
4.なかなかみつからない
ヤシ林には、人が歩いてつくった、ほそい道が、いくつもあります。
道からはずれたタウパとどふぁらが、草むらを歩きました。
「タウパもさがしてるのか。もうこっちは、見たからないぞ」声をかけてきたのは、中学生と小学生の兄弟でした。
ふたりとも、両手にひとつずつ実をもっていました。
タウパも、もう少しせい長すると、ブタのエサのために実を毎日、集めるようになります。
どふぁらが、進む方向をかえました。
すっぱだかで歩くタウパのせなかを、あせが流れています。
「あった、あった!」
草の中からタウパが、茶色い実をひろいました。
「ちきしょー、ネズミのやつ」
茶色い実に、ゴルフボールぐらいのあながあいています。
中のかにくは、ネズミのごちそうでした。
「ううっ」
どらふぁがひろった実を、高くあげます。
「やった、1コ、みつかった」
「うううっ」
「うん。もう少し遠くへいこう」
実は、家の庭でかんたんに、ひろえることがあります。
5.かにくがヤシ油のもと・お金を手にいれる大人の仕事
「そうだよね。お金をえるためのおとなの仕事だもんね」
日にほしたかにくを、国が買ってくれます。
実を、はこぶためのじょうぶなぬののふくろを、島役場がかし出しています。
「ううっ」
タウパが、足をとめました。
「ほんとだ、あんなにたくさん!」
草むらのむこうに、ほそい道が通っています。
小学生の子どものいる、お父さんとお母さんでした。
前を歩くお父さんが、サンタクロースのようにふくろをかついでいます。
そのうしろを、お母さんが、歩いています。
お母さんの、かつぐふくろは、お父さんのより、ひとまわり小さいです。
両方のふくろが、中のヤシの実で、ごつごつしていました。
「ヤシの木だけがならぶ畑、ものすごく広いのに、集めるの、たいへんだっただろうなぁ」
6.朝早く出発
「もー、ぜんぜん、みつからない」
ヤシの木のむこうを、どふぁらが歩いています。
茶色い実を、タウパがひとつ、どふぁらがふたつ、もっていました。
「うっ、ううう」
「だよね。遠すぎるよね。それに、いまから畑へいっても、もう実は落ちてないよね」
「ううっ、うう」
「いいよ、お日さまが出るちょっと前に、出発するんでしょう。それじゃあ、どふぁら兄ちゃん、明日の朝、起こしてね」
畑には、ヤシの木だけが、おなじかんかくで、何れつもならんでいます。
島の反対がわにちかい場所でした。
7.自分のたいへんと親のたいへん
タウパとどふぁらは、高ゆかの家にねむります。
ゆかはおとなのこしぐらいの高さです。
そのはしから足をおろし、どふぁらが座りました。
手にタウパのノートをもっています。
白いページに、夕やけの色がうすくうつりました。
≪たいしたもんずら。むだがないように、はしっこまでつかって書いてるずら≫
水あびを終えたタウパが、前に立ちます。
「うううっ、ううっ」
「だってヤシの実、集めるのたいへんだから、ノート、少しでも長くつかわないと」
「うっ、うっ、うううっ」
「だったら、学校へはいていく短パンも、もっと大事にしろって――。そんなこと言われても」
タウパが、かた手で頭をかきました。
「短パンは、お父さんやお母さんが、やってくれるから……」
8.まとめ
やぁ、どふぁらずら。
ノートやえんぴつを、自分の力で手にいれる。
島だから、できることずら。
タウパのがんばりが、お金の価値ずら。
それがわかれば、
お父さんやお母さんのたいへんは、タウパみたいに気にしない。
子どもは、それでいいずら。
✨どふぁらのページの紹介 ↓ ↓