もうずっと前の、できごとです。
〇島の沈みはじめ
< 本文は:物語風に2分 >
目次
1.タウパの前書き <島の将来>
2.倒れるヤシの木
3.陸地が浸食されていく
4.これから、たくさんの実をつける
5.木が海にさらわれる
6.変わってはならない潮位
7.まとめ <序の口>
1.タウパの前書き <島の将来>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
満月と新月のときです。
海が地面とおなじぐらい高くなることがあります。
ぼくが大人になって、
高床の家から地面におりると、そこが足の立つ海だったら、
どうしよう。
2.倒れるヤシの木
白っぽい砂が傾斜をつくり、潮が引いて浅い海がひろがっています。
傾斜のとちゅうをあるいていたどふぁらが、とっさに頭をかかえてしゃがみました。
幾本もの根が切れる音がしたかと思うと、長い幹が音もなく空を切り、ヤシの葉が海水にぶつかって、騒々しい音をたてました。
ヤシの葉に目をむけると同時に、浜と海にぶつかった幹が、背後ではねました。
≪今あるいてきたずら。あと数歩、おそかったら……≫
どふぁらが、つばを飲みこみました。
3.陸地が浸食されていく
気をとりなおしたどふぁらが、根のほうへあるきます。
はねたはずみで、根が埋まっていたところと根に、距離が生じています。
根の直径は、どふぁらの背丈以上です。
上半分は砂がついていました。
どふぁらがふり返り、他の木へ目をむけます。
根が侵食されている木が、他にもありました。
4.これから、たくさんの実をつける
どふぁらが幹の横を、葉のほうへあるきます。
足が海水に、入ったところでとまりました。
葉はまだ先です。
下半分がつぶれた格好になり、のこった葉が海の上に半円を描いています。
≪かわいそうに≫
人間でいえば成熟した30才ほどの、まだまだたくさん実をつける木でした。
5.木が海にさらわれる
≪つぎの大潮がきたら、また別の木が倒れるずら≫
浜のほうへふり返ろうとしました。
「心配ない、潮が満ちれば海が、木をさらっていくじゃ」
どふぁらの背後に立ったのは、浜に用を足しにきた老人でした。
「木が海に、つれていかれるじゃ」
≪つぎつぎに倒れたら、島がどんどんけずられるずら≫
「ううううう、うううっ」
しゃべれないどふぁらが、うなって訴えます。
6.変わってはならない潮位
「少しずつじゃ。少しずつけずられ、もうたくさんの木が、海につれていかれたじゃ」
どふぁらが、老人の目をみつめました。
黒い瞳が、白っぽくにごっています。
「はじまったのは、昨日や今日じゃない」
≪いつからか、知ってるなら、おしえてほしいずら≫
「うううっ」
老人が、どふぁらの意を察したように、かすかにほほをゆるめました。
「そうじゃなぁ。火をおこすのが造作もなくなった、マッチが島に入ってきたあとには、ちがいない」
老人が目を、ヤシの葉へむけました。
「潮の満ち引きがくり返されるのは、今も昔も変わらず一緒じゃ。じゃが、変わってはならない潮位が、満ちたときの海が、高くなったじゃ」
7.まとめ <序の口>
こんにちは、どふぁらずら。
これは、
はじまりにすぎない、序の口ずら。
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