約束。
そのときには、できる、やれる、って思うんですよねぇ……。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.遊具のようなお父さん
3.お母さんが子どもたちと作業
4.結婚するときの約束
5.子どもに愚痴をこぼすお母さん
6.お父さんは約束をまもった
7.まとめ <期待するほうと、されるほう>
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
うちのお父さんとお母さんも、
なにか約束したのかな?
約束、
まもってるのか、聞いてみたいってばぁ。
2.遊具のようなお父さん
ヤシの葉をあんだマットをしいた床に、腰に茶色い布をまいたお父さんが、あぐらをかいています。
3人とも女の子で、10才を先頭にした年子でした。
三女が、お父さんの肩にのって、お父さんの髪の毛をいじります。
二女が、一方の足に外をむいてまたがり、からだを上下させてはしゃぎます。
長女が、もう一方の足にお父さんのほうをむいて座り、からだを前後させながらお父さんと話していました。
3人が遊具で、あそんでいるようです。
耳をふさぎたくなるような、お母さんの声がとんできます。
「お父さんは、漁へいくの、3人ともおりなさい。おりてわたしといっしょに、作業にいくのよ。さぁ、はやく」
お父さんが、三女を肩からおろしました。
「さぁ、お母さんといっといで、お手伝いをするんだ」
茶色い服をダボッと着たお母さんが、子どもたちをつれて、軒をくぐって外へでました。
3.お母さんが子どもたちと作業
引き潮でした。
水深が大人の指のふとさほどの海のふちが、白い砂のうえをすべるように、沖へ遠ざかっていきます。
浜をくだってすぐのところでした。
移動させた石を積みました。
「さぁこんどは、砂をほるわよ」
お母さんといっしょに子どもたちも、膝をついてりょう手をつかって砂をうごかします。
「若いヤシの実のかわが布のふくろに、たくさん入ってるんだけどね、こうして埋めておおくと、繊維がつよくなるの。繊維をよってつくるひもが、じょうぶじゃなきゃいけないのよ」
4人でふくろを取りだします。
4.結婚するときの約束
片手で砂をひきよせながらお母さんが、このふくろを埋めるときにした、お父さんとのやりとりを思いだしました。
「お父さんたら約束、1回もまもってくれたこと、ないじゃない」
「約束ってなんだ? なんにしたって俺は、やぶったおぼえはないぞ」
「なに言ってるのよ。子どもが、ご機嫌で自分たちであそんでたり、あそびつかれてねむってたりして、そのあいだにやっとの思いで作業をしてると、とつぜん泣きだして、作業と子どものめんどう、わたしがどれだけたいへんだったと思ってるのよ」
「いつの話だ?」
「3人とも小さいころよ。結婚したときにあなた、言ったじゃない。子どもが生まれて、ぐずったら、かならず俺があやす、って」
「ああ、覚えてるが、3人ともなんていい子なんだ、と思ってたからなぁ。おまえが、そんなにこまっていたとは、おどろいた」
5.子どもに愚痴をこぼすお母さん
白っぽい砂をつかんだ子どもたちの手が、海水の中から外へでてきます。
お母さんが、砂をひきよせながら言いました。
「わたしはね、あんたたちをだっこしたお父さんが、あなたたちが泣きやまずに、こまった顔を見たかったの。わたしばっかりたいへんじゃ、ずるいじゃない。泣いてるあなたたちを、お父さんがだきあげるのを、楽しみにしてたのよ」
お母さんの腕が、遠くへ砂をおしました。
「それなのに、あなたたちときたら、お父さんがくると泣きやんじゃうんだから。わたしは、お父さんにだまされた思いだったわ」
6.お父さんは約束をまもった
二女と三女が立ちあがり、砂をりょう手ではこびました。
長女がりょう手で、砂をひきながら言います。
「お母さんは、だまされてないと思う。お父さんは約束をまもったよ。だってわたしたち泣きやんだでしょう」
お母さんが手をとめて、長女へ顔をむけました。
「わたしたちがねてる母屋の床って、地面にマットをしいてあるでしょう。うえをむいてねてると、一番よくわかる。ずしっ、ずしっ、って響いてくる。お父さんの歩く音がして、あっ、だっこしてもらえるんだ、って安心したり嬉しくなったりしたから」
二女が、つづけて言います。
「わたしも、おぼえてるよ。ずしっ、ずしっ、って」
三女が、片手をたかくあげました。
「ずしっ、ずしっ」
お母さんの口が、ポカンとひらきました。
7.まとめ <期待するほうと、されるほう>
こんにちは、どふぁらずら。
結婚するときの約束。
期待するほうは、おぼえてる。
んだから、
期待されるほうは、実行ずら。
✨どふぁらのページの紹介 ↓ ↓