死のふち:悔いはない、愛だけ




*目にやさしい背景色を使用*











元気なときに死を考えるなんてしない。

これ以上できないなんて日々を、すごすこともない。

だけど、愛する家族がいる……。








< 本文は:物語風に2分 >


目次

1.タウパの前書き

2.雲には勝てない

3.雲にねがう

4.カヌーがこわれる

5.死のふち

6.悔いはない、愛だけ

7.まとめ








それでは、物語のように、どうぞ















- そこは、さんご礁にかこまれたのしげる島 -








1.タウパの前書き


こんにちは、島に住む10才のタウパです。 

ぼくには、わからないってばぁ。

やりたいことが、たくさんある。

死んじゃうなんて考えられないし、受けいれられないってばぁ。

















 

2.雲には勝てない

おだやかな海面を、すべるようにカヌーがすすみます。

「カツオを釣りながら、島がみえなくなるぐらい遠くにきたっていうのに」

トージが一方の手で帆につながる縄をにぎり、もう一方の手で船尾からうしろへむけている舵がわりのオールをつかんでいます。

「せめて、島影がみえるところまで、もどってからにしてほしかったぜ」

トージが空へ目をむけました。

「おだやかな海と空、その空に黒っぽい雲がありやがる。くっそ~。どうしたって雲には勝てねぇ。回避できねぇじゃねぇか。雲から黒っぽい線になっておちてる大粒の雨にうたれるしかねぇ」


















3.雲にねがう

「ちょっとばかり遠くまできちまったが、大漁だ。海もおだやかで、ここまでは絶好調だったのに。運がわるいぜ、そらきた」

トージが肩をすぼめてしたをむきました。

「ぐっと冷えこむぜ。いきなりさむいじゃねぇか。くっそー、海まで荒れやがって、めちゃくちゃな風だぜ。したをむいてる余裕はねぇが、前をむいたって視界が雨で閉ざされて、みえねぇ」

トージが縄を持つ手に力をいれます。

「くっそ~、帆があばれやがる。帆をおろそうとたちあがれば、俺が海におちる。おろすことはできねぇ。雲よ、はやくいってくれ」

















 

4.カヌーがこわれる

「なんて冷たい雨なんだ。風も冷てぇじゃねぇか。さむい、りょう手で自分をだきたいぐらいだ」

舵をにぎる手に力をいれました。

「はじめてのことじゃねぇ。だが、なんど経験しても、生きた心地がしねぇ。カヌーがまるで木の葉のようだぜ」

トージが顔を強くふって水を飛ばします。

「雨が目にはいって、みづらいぜ。三角波が四方から襲いやがる、めちゃくちゃだぜ、はやくおわらないとカヌーがもたねぇ、こわれる」

トージが横へでているアウトリガーへ目をむけました。

「たのむ、持ちこたえてくれ」

トージが願うようにあご引きました。


















5.死のふち

「まさか、ここまでの命ってことは、ねぇよな」

トージが頭を強くふりました。

「俺がここで死ぬのはいい。もう一度挑戦だ。次はかならず、成功させてやる、などと青臭い生き方は、若いうちにおえてる。なにごとも精一杯やってきた。悔いはまったくねぇ」

トージが船内にかさなる漁獲に視線をおとしました。

「ただ、魚をたのしみに待ってる、家族にこのカツオをとどけたいぜ。それさえできれば……」

トージがアウトリガーと本体をつなぐビームに目をやります。

「だが、しばりつけてるひもが切れちまった。カヌーがばらばらになる。これまでだ」


















6. 悔いはない、愛だけ

帆は、葉をあんで三角につくってありました。

海水に浸かったカヌーといっしょに、海にういています。

カヌーにつかまり夜をこしたトージが、さがしにきた男に発見され、カヌーにあぐらをかきました。

「カヌーがこわれて、すぐに雨がさった。海のなかはあたたかかったぜ。幸い食いきれないほどのカツオがあったし、カツオの血でのどをうるおせた」

「呑気なことを。死のふちにいたんだぞ」

「思い残すことも、やり残したこともない。ただ、魚を獲ってやれなくなる。星空に家族の顔がみえた」








7.まとめ







こんにちは、どふぁらずら。

死のふち、悔いはない、愛だけ。

おいらには、

優しくて強い島の人みたいになる、目標があるずら。

道半ばだとしても、

日々真剣にむかってたら、悔いがないのかもしれないずら。

んだが、愛は……。




おっと!

こっちは、死ぬわけにはいかないずら。

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