悩みなんて、ないほうがいい。
だけどみんな、なにかしらかかえてる。
< 本文は:物語風に2分 >
目次
1.タウパの前書き <その人にとっては、重要なこと>
2.ぐうぜん目にとまって
3.ちょっと心配になる
4.以前の自分とおなじように
5.楽しそうにして元気だったのに
6.へいきへいき
7.家族にも悟られないように
8.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <その人にとっては、重要なこと>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
悩みって、ぼくにもあるかな?
ある、ある、ある。
ケンカに勝てないし、絵だって賞をもらえない。
虹にありがとうって、いってないままだし……。
えっ、そんなの悩みじゃないって!
うるさい、うるさい、うるさい。
ぼくにとっては、重要なことだってばぁ。
2.ぐうぜん目にとまって
集落からヤシ林へはいる、人がふんでできた道でした。
りょう足のない男の子のタンが、りょう腕をまえに着いて、からだをまえにはこび、林のなかへはいっていきます。
その姿をヒョロッと背の高い、男の子のルーボが目にし、首をかしげました。
「気のせいかな、タン、元気がないみたいだけど……」
気になって気付かれないように、タンのあとをおいます。
3.ちょっと心配になる
道をおれて、雑木のあいだをすすみます。
「どこへいくんだろう……」
草むらにでたタンが、倒れたヤシの幹に、よりかかりました。
「下をむいて、どうしたんだろう……」
ルーボがヤシの根元に膝をかかえてすわり、幹のよこへ顔をだしてタンをうかがいます。
「考えごとしてるみたいだ……」
4.以前の自分とおなじように
ルーボは自分が、足がおそくて落ち込んでいたことを思いだします。
≪いっしょうけんめいに走っても、みんなにおいつけなくて、あそんでてもつまらなくて……≫
ヤシの木の脇からタンへまた、目をむけました。
≪あの時のぼくは、今のタンみたいだったんだろうな。ぼくをみたタンには、悩んでいるようにみえたはずだ……≫
首をすこしかしげました。
≪タン、だいじょうぶかな?≫
💦タンに救われたルーボは、こっち >
5.楽しそうにして元気だったのに
顔を幹のかげにもどしました。
≪いつもタン、元気なのに……≫
ほんのすこしうつむきました。
≪今朝小学校へいくときも、楽しそうに腕をつかってすすんで、上級生やクラスメートが背中にのせてはこんでくれても、やすむのはちょっとでいいからおろしてなんて、笑顔でいって――≫
片手で脇にはえた、細い草を1本ちぎりました。
≪やすみ時間だってスポーツの時間だって、笑い声をたてながら、うごきまわってたのに――≫
もう1本、草をひっぱりました。
≪それなのに、家に帰ってからなにかあったのかな……?≫
6.へいきへいき
≪タンがぼくにしてくれたみたいには、できないけど……≫
立ちあがったルーボが、タンにあゆみよります。
「横にすわるね」
タンとならんで幹によりかかりました。
「いつか聞いてもらったし、タン、話せるなら聞くよ」
タンが笑顔をむけました。
「ありがとう。だけど、今はじまったことじゃないから、足のことだから――」
タンがへいき、へいき、とでもいうように、笑顔のまえで片手をふりました。
7.家族にも悟られないように
草むらを、ヤシの木がかこんでいました。
≪だったらタン、毎日のようにここへきてたのかな? そうだったら、胸がくるしくなる――≫
タンに気づかれないように、いっぽうの手を胸にあてました。
≪みんなといるときは、いつも楽しそうにして――≫
胸にあてた手をにぎりしめます。
≪悩んでる様子なんて、まったく感じさせないで。家の人にも悟られないように、ここにきてるんだ――≫
ルーボはにぎりしめた手を、力まかせに胸におしつけました。
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
元気にみえても、楽しそうにしてても、かかえてる。
悩み。
かくしてるんじゃない、みせないだけずら。
おっと!
こっちは、思いっきりみせてるずら。
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