あたりまえのことができて、あたりまえにおいしい。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き <健康だと、恋煩いでも>
2.健康だから、すわって歌うだけでも
3.健康だと、横になっていても、かんがえれば
4.健康だから、動いて汗をながせば
5.健康だから、めしがうまい
6.まとめ <あたりまえができて、おいしい>
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <健康だと、恋煩いでも>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
島の人は、食欲がなくなることがある。
それは、
だれかを、とっても好きになったから。
それでも、なにかをするとお腹がすく。
健康って、いいんだってばぁ。
2.健康だから、すわって歌うだけでも
屋根にふかれた葉が陽光をうけ、かけあがれないほどの傾斜でした。
青空のしたへ、聞こえてきます。
腰のすわった音を響かせるトロンボーンと、高音を奏でるバイオリンのような、ふたりの女性の歌声を、おおぜいの女たちの、やさしくしっかりした歌声が、惹きたてるようです。
惹きたてながらふたりを、からみあってとってもいいわ、もっともっと響かせましょうよと、あおっているかのようで、女たちの歌声に艶がましていきました。
勢いにのって葉のかさなる大きな屋根を、ゆるがすようです。
歌声におしかえされるのを覚悟で、腰をふかくまげて軒をくぐっていけば、屋根の傾斜をとちゅうでささえる柱の内側に、中心のふたりにむいてあぐらをかく総勢30人近くが、熱気をはなっていました。
3.健康だと、横になっていても、かんがえれば
小学校の授業が、おわりました。
1人、教室にのこって宿題をやりおえたタウパが、ヤシの葉をあんだマットに、あおむけになりました。
「クラスメートの5人でやる劇、どんなストーリーにしようかなぁ?」
屋根うらには、黄土色をした葉が、きれいにならんでいます。
そこへむけて、タウパの片腕があがりました。
「う~ん、思いつかない。じゃんけんに負けちゃったから、こんな役目に……」
あげた片腕がいきおいよくおり、手のひらがマットをたたきました。
「そうだ! 5人で海であそんでいるとサメがきて、1人が食べられそうになる。それでみんなで、サメをやっつける。それがいい、おもしろそうだ」
いきおいよく上半身をおこしたかと思うと、首をかしげます。
「そっか、5人じゃなくて4人だ。1人はサメの役をやらないと。でも、どうやってサメになれば……?」
腕をくみました。
「それに海の感じは、どうやってだせばいいんだろう……」
タウパがうしろにたおれ、またあおむけになりました。
りょう手を頭のうしろでかさねます。
タウパの胸を、風がそっとなでるようにすぎていきます。
「そうだ、そうだ、そうだ! 先生と生徒の役になって、劇をすればいいんだ。4人が生徒で、1人が先生。だけど、それじゃあふつうで、つまらないから、全員が先生の役をやる。それで先生が、生徒みたいなことをして、校長先生におこられる」
タウパがまた、いきおいよく上半身をおこしました。
「いいよ、いい。みてるみんなが、きっと楽しい。それに決まりだ」
またあおむけになって体をまわし、うつぶせになります。
「だけど、おこられるには、なにをしよう……」
タウパがあごの下に、りょう手をかさねました。
4.健康だから、動いて汗をながせば
ヤシ林をとおる道を、3人の男が歩いています。
3人とも腰にちゃ色い布を膝丈にまき、1人は魚をおいこむ網をたばねて、いっぽうの肩にかけていました。
ほかの2人は厚手の布でできた袋を、いっぽうの肩にかついでいます。
袋の口をりょう手でにぎり、背中にできた丸みは、大柄な人間が入っているかのようです。
「それにしても、ずいぶん獲ったなぁ」
「明日は、漁にいけないからな」
男たちは網をしかけるたびに、自分たちの膝ぐらいのふかさの海を、魚をおって走りました。
「半日以上、歩きっぱなしだ。それなのに、重くてかなわん」
男たちのまいた布の腰の部分が、ながれおちる汗で色をふかめています。
「そろそろ交代するか」
網をかついでいる男がいいました。
5.健康だから、めしがうまい
かれたヤシの実の皮から炎があがり、食卓をてらします。
地面にしいたヤシの葉をあんだマットに、3人が火のほうをひろくあけ、あぐらをかいていました。
3人のまえに、こげた魚が山になり、火をとおしたパンの実がつまれています。
「今日は半日、ずっと歌ってたわ。背筋をのばして、お腹から声をだすでしょう。もう、とっても、お腹がすいたわ」
タウパのお母さんが、ヒョウタンのような形をしたパンの実をとり、りょう手で半分にわりました。
断面のあざやかな黄色が、炎の灯りにてらされます。
「オレたち男は明日、歌の練習だ。明日のぶんまで魚を、たっぷり獲ったからな」
お父さんの片手が、魚の腹をつかみ、自分のまえへ移動します。
タウパが緑色の葉にのった塩を、指でつっつきました。
心のなかでいいます。
≪今日は学校から帰って、海や林でみんなとあそんでない。教室で宿題をやったあと、劇のお話をかんがえてた。それだけなのに、あそんだみたいに、お腹がペコペコだ≫
魚の白っぽい身を口に入れたタウパが、すぐにパンの実をほおばりました。
6.まとめ <あたりまえができて、おいしい>
こんにちは、どふぁらずら。
歌う、かんがえる、汗をながす。
あたりまえのことができる。
ほんでもって、
おいしく食べられる。
健康な今、ありがたいずら。
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