目をつぶれば、水平線がみえる。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き <寒い期間をこせる物>
2.風のながれる空間
3.歌いながら毎朝掃除
4.自分の部屋が、浜のようだったら
5.いくらなんでも部屋を、そこまで汚くしない
6.海がよごれる
7.目指せ、風のとおる空間
8.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <寒い期間をこせる物>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
大人は、腰に巻いたりする布を、2枚ぐらい持ってる。
ぼくは、小学校へはいていく、お母さんのつくった短パン1枚だけ。
ふだんは、スッポンポン!
だから、雨が降ると、寒くてふるえることがある。
もしも、住んでるところに、寒い期間があるなら、
それを、
こせる物があれば、いいってばぁ。
2.風のながれる空間
葉をふいた屋根に、雨がサッとながれおちるような、傾斜がついています。
母屋の床は、地面にヤシの葉をあんだマットをしいて、離れは、大人の腰の高さほどに、ヤシの葉の芯をならべた、高床です。
どちらも四隅の柱が屋根をささえ、母屋の軒は大人が、腰を深くまげてくぐるほどで、離れの軒は立った大人が、頭をぶつける高さです。
「ううっ、うううっ」
しゃべれないどふぁらが、うなりました。
それがタウパには、なんて言ったかわかります。
「いいよ。母屋からはなれて、母屋にむいて、しゃがむんでしょう。どふぁら兄ちゃんは、離れから遠ざかるんだよね」
遠ざかったどふぁらが、離れにむいて立ちました。
それぞれの家が、青くかがやく海を背にしています。
「ううううっ、うっ」
「ほんと、どふぁら兄ちゃんの言うように、あらためてみてみると、軒と床のあいだに青い海があるのって、家の中がきれいに感じるってばぁ」
床におかれた物がありません。
遠くの水平線から、風がながれてくるようです。
3.歌いながら毎朝掃除
日がのぼってきます。
東の低い空が、ほんのり明るくなりました。
集落のあちこちから、ほうきが硬い地面をこする音が、しはじめます。
竹ぼうきのように枝と、弾力のあるヤシの葉の芯で、つくってありました。
木々にかこまれた自分の家の、敷地の掃除だけではありません。
集落を二分するようにとおる道を、掃きながらひとりの女が歌いだしました。
ゴミをとばし、大きな声で歌います。
歌声が、朝の光のさしこんだ木々のあいだへ響き、それにあわせて柄をにぎる女たちが、口ずさみました。
4.自分の部屋が、浜のようだったら
ゴミは、枝葉ばかりです。
はき集められ、あちこちに山になっています。
「タウパ、カゴ。カゴを持ってきて」
声をだしたのは、タウパの叔母です。
「それじゃぁ、ゴミをカゴに入れて。あとはよろしくね」
「えー、ぜんぶ、ぼくひとりで!」
「そんなに多く、ないじゃない」
タウパが、ゴミを入れたカゴをさげて、海へ歩きます。
ヤシの木のあいだから浜へでると、傾斜を半分ほどくだり、カゴをひっくりかえしました。
ゴミをはこんで、なんども往復します。
「も~かったるいなぁ。はやくゴロゴロしたい」
5.いくらなんでも部屋を、そこまで汚くしない
ヤシの木のあいだから声が、浜へ響きます。
「タウパ、終わったら、これもおねがいね」
タウパが、かまどの小屋の前へきました。
イモやパンの実の主食、ウツボやエイなどさまざまな魚介から、生ゴミがでます。
それをタウパが、カゴに入れます。
「魚の骨は、踏んだらいたいよ」
「じゃあ骨は、穴にすてなさい」
浜にでたタウパが、カゴをひっくりかえしました。
「あっ、犬がウンチしてる。でかっ!」
浜で、犬が糞尿をします。
そして、少しはなれた浜までいかれない、具合が悪かったり、急を要したりした人が、用を足しました。
6.海がよごれる
そのたびに浜の物たちを、満ちてきた潮がさらっていきます。
潮が引くと足あとまで消えた、浜がのこりました。
「自然の物が、自然にかえるにしても、海にだって限界があるって、どふぁら兄ちゃんが言ってた。海がよごれるって」
ゴミをすてたタウパが、海にむかっておしっこを飛ばします。
「やっと終わったぁ……」
7.目指せ、風のとおる空間
母屋の軒をくぐりました。
横になったタウパが、床をころがります。
ヤシの葉をあんだマットを、すっぱだかで両腕を頭の上へのばして、いったりきたりしました。
止まって顔をあげます。
「えっ、家の中が、潮がくる前の浜みたいだったら――!」
タウパが、ころがりはじめました。
「そんなのあり得ないってばぁ。ぼくは今、海の上をゴロゴロしてるんだってばぁ」
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
部屋の片づけ。
目をつぶったら、水平線がみえるずら。
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