かんたんにわかる一人前。
ひとりでくらしていければ――!
だけど、致命的だった。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.ほかに人がいなくなったら
3.食べるだけなら、でも――
4.まずい水
5.のぼれるようになれば
6.あとは度胸
7.たまには食え
8.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
どふぁら兄ちゃんは、30才ぐらい。
島の男になりたいって、
海の漁や林の作業を、がんばってる。
ずいぶんできるように、なったんだってばぁ。
でも……。
2.ほかに人がいなくなったら
タウパの従姉のボアタが、火をまえにしてあぐらをかいています。魚の焦げるにおいを胸いっぱいに吸いこみ、満足したようにほほをゆるめました。
口がわるいですが、気立てのいい16才です。
その横にタウパが立ちました。
「ねぇ、もしもどふぁら兄ちゃんが、島でひとりぼっちになったら、だいじょうぶかな?」
ボアタが顔をタウパにむけました。
「ありえないけど、島からどふぁら以外、人がだれもいなくなるってことか!?」
「だってどふぁら兄ちゃん、島にきたときからしたら、島の男の人みたいになってきたから、ひとりになってもへいきかと思って」
ボアタが棒で、かれたヤシの実の皮をおしました。
「こうして燃やすヤシの実は、おちてるのをひろってこれるし、イモは畑にたくさんあるし。くらせるんじゃないか」
3.食べるだけなら、でも――
タウパが納得したように、なんどもうなずきました。
「そうだよね。タコやロブスター、ウツボの漁とかは、まだできないけど、自分で食べるだけの魚なら、どふぁら兄ちゃんもう獲れるもんね」
ボアタがまた、顔をタウパにむけました。
「どふぁらはよくがんばってる。屋根が雨もりするようになっても、この火をつかう小屋の骨組みも、なおせるようになったし、高床のヤシの葉の芯のこうかんだってできる」
「あっ、でもそういうのを組み立てるのにつかう、紐がなくなったら!」
ボアタが首をかしげます。
「そうだった。紐にする繊維は、わかいヤシの実の皮だ!」
4.まずい水
タウパがうでを組みました。
「だよね。木にのぼらないと、実をおとせないから」
ボアタが棒で、燃料の茶色い皮をうごかし、火が大きくなりました。
「致命的だな。井戸の水をくむ紐が、切れたら交換できなくなるってことだ」
「でも、どふぁら兄ちゃんひとりなら、水まで深くないから、井戸におりればいいよ」
「そうだな、水はそれでいいかもしれない。だけど、井戸水ばっかり飲むようになるぞ」
タウパが、イヤそうに顔をしかめました。
「井戸水はまずいから、いつもはイヤだよ」
5.のぼれるようになれば
ボアタが石にのっている魚を、棒でひっくりかえしました。
「それにひきかえ、ヤシの樹液は、うまい!」
「飲むなら毎日、木のうえで芽をうすくけずって、刺激をあたえないと。どふぁら兄ちゃん、ヤシの木にのぼれるように、なればいいのに。そうすればひとりになっても、楽々くらしていけるのに」
ボアタがべつの、魚をひっくりかえします。
「のぼれてようやく、島の男ってことだな」
修理につかう枝を肩にかついで、林からもどったどふぁらに気づき、タウパが大きな声をだしました。
「どふぁら兄ちゃん、おかえり。おねがい、ちょっときて」
6.あとは度胸
材料をおろしたどふぁらが、屋根をささえる柱に片手をつきました。
「ボアタお姉ちゃんとぼくとで、どふぁら兄ちゃんのことを、話してたんだよ。ヤシの木――」
ボアタが口をはさみました。
「ヤシの木のたくさん立つ、林の作業はどうだった? 材料はすぐにみつかったみたいだな。帰ってくるのがはやいじゃないか」
どふぁらが口元をゆるめ、ボアタがつづけていいます。
「赤ん坊みたいだった足のうらが、ずいぶん硬くなっただろう。こうして毎日作業をして、腕の力だってついたはずだ。すぐに島の男になれる。あとは度胸だな」
「うううううっ」
しゃべれないどふぁらがうなり、ボアタがニコッとします。
「どふぁらがまずい水ばかり、飲むようになるかどうか、って話だ」
7.たまには食え
首をかしげるどふぁらをみて、タウパがうれしそうな顔をします。
「それもどふぁら兄ちゃんが井戸におりて、殻ですくって飲むんだよ」
どふぁらが、まゆげを強くよせました。
「ううっ、ううう」
タウパが声をあげて笑います。
「意味わからないって、どふぁら兄ちゃん、おもしろすぎ」
タウパが笑い声を立て、ボアタがうでを組みました。
「タコやロブスター、それにウツボだって、うまいだろう。たまには食え、いいな」
どふぁらがムキになってうなり、タウパの笑い声が一段と大きくなります。
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
ひとりでくらしていくには。
ヤシの木にのぼれるようになる。
そうすれば、一人前ずら。
んだが、んだが、くっそ~~~。
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