究極は、むずかしいから。
< 本文は:物語風に4分 >
目次
1.タウパの前書き
2.嫌いな人へあいさつし、常識やルールをまもる
3.どうして嫌いなのか、自分に問う
4.前向きな気持ちが、遠ざける
5.あえて嫌いな人に近づいてみるのも
6.嫌いな人を思いやる余裕があれば
7.割りきる
8. 究極:嫌いな人をつつむ
9.まとめ <断れるように>
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
どふぁら兄ちゃんから聞いたんだけど、
嫌いな人とも、
一緒に作業をしたりする、
お父さんやお母さんが、いるんでしょう。
ぼくら島の子供は、
相手を好き嫌いの前に、楽しくあそぶ。
だけどやっぱり、気があわない子が、いるんだってばぁ。
2.嫌いな人へあいさつし、常識やルールをまもる
小学校から帰った子供が、20人ほど海であそんでいます。
「よーし、沈めてやるからな」
タウパが、一学年上の男の子の背中に勢いよくとび乗り、男の子がたおれました。
男の子はたちあがりましたが、タウパは沈んだままです。
他の男の子がふたり、タウパの背中にたっています。
ふたりはタウパのことが、大嫌いです。
このあそびをやりたい子が集まっているので、気のあう子やあわない子が、どの子にとっても混ざっています。
がばっ、と顔をあげたタウパが、大きな口をあけて息を吸いました。
好き嫌いに関係なく、息が苦しくなるまで相手を沈めない、というルールをみんながまもります。
子供同士は、気のあう相手でもあいさつをしません。
ですが島の大人は、気のあわない人に、あいさつはもちろん常識的なふるまいをします。
3.どうして嫌いなのか、自分に問う
その日は小学校が、お休みです。
朝ごはんを食べたタウパは、もうひと眠りしました。
友だちとあそぼうと、気のあう子の家をたずねますが、だれもいません。
≪みんなどこで、あそんでるんだろう?≫
パンの木が道の両側にたち、枝葉がトンネルをつくっています。
歩きながら考えます。
≪いいや、気のあわない子のところへ、いってみよう≫
タウパは、その子の偉そうにするところが、嫌いでした。
≪偉そうなことを言われたり、されたりしても、気にしないようにすればいいや≫
嫌いな理由がわかっていると、対応ができます。
4.前向きな気持ちが、遠ざける
枝葉がトンネルをつくる道は涼しく、5歳ぐらいの子供が3人、素っ裸でしゃがんでいました。
手にした二枚貝の片割れで、地面に絵をかいています。
タウパが横を通ります。
≪食べちゃダメって思うと、逆に食べたくなる。だから嫌いな人を、気にしちゃダメ、じゃなくて、気にしないようにするには、ぼくの場合は、あそびに夢中になるんだってばぁ≫
しゃがんでいる子供たちが貝を、黙々と動かしています。
≪だから、お父さんやお母さんなら、やってる作業や、好きな人とのおしゃべり、それに、お弁当をおいしく食べたり、他のことに集中すれば、いいんだってばぁ≫
前向きな気持ちが、嫌いな人を遠ざけます。
5.あえて嫌いな人に近づいてみるのも
枝葉がトンネルをつくる道を折れ、タウパがその子の家の建つ敷地へ入ります。
≪嫌いな奴だって思わないで、ふぅ~、って息を吐くかんじで、気楽に、気楽に。そして、がまんしない。いやだったら「ぼく、帰るね」って言って、すぐに避難する≫
タウパが、家の外から声をかけます。
男の子が、軒をくぐって外へ出てきました。
「それじゃぁ林に、カニを獲りにいこうぜ。ついてこいよ」
走り出したその子の背中を、タウパが追いかけます。
いつもとちがい、その子とふたりだけです。
もしかしたらあそんでいるうちに、ちがう面がみえて、嫌いな気持ちが減るかもしれません。
あえて近づくときは、避難する言葉を用意しておきましょう。
6.嫌いな人を思いやる余裕があれば
集落に建つ家には、壁がありません。
木々のあいだから、怒鳴り声が聞こえてきて、その家の人がみえたりします。
道を歩いていたタウパが、たち止まりました。
≪嫌いな奴が、お父さんに強く叱られて、下をむいてたってる。しょんぼりして、あいつも、あんなふうに弱いところあるんだ……≫
別のときです。
タウパがまた、その子をみました。
その子の弟や妹、そしてその下の生まれたばかりの赤ちゃんに、その子が優しく接しています。
≪へぇ~、あいつが、あんなふうに……。なんだか、嫌な奴って気持ちが、減ったかんじがする≫
嫌いな人の意外な一面に出会えたり、想像できたりすれば、楽になるかもしれません。
7. 割りきる
床には、ヤシの葉を編んだマットがしかれています。
そこにタウパのおじいちゃんが、腰布一枚の姿で、あぐらをかいています。
「タウパ。血を吸う蚊の気持ちが、わかるか?」
両膝に肘をつきました。
「そうじゃなぁ……。赤ん坊をたくさん産みたいから、エサになる血をもっと、吸わせてくれ。そう、蚊が思っとるんじゃ」
前に座るタウパが、目を大きくします。
「すごい。おじいちゃん、犬や豚だけじゃなくて、蚊の気持ちまで、がわかるの!」
おじいちゃんが、目じりのしわを深めました。
「いいや、わからん。おなじ人間でも、気のあわん輩の気持ちは、わからん。蚊の気持ちどうように、わからんでもいい、ということじゃ」
その人はその人、自分は自分、割りきれは楽になります。
8.究極:嫌いな人をつつむ
おじいちゃんが、話をつづけます。
「じゃがな。そんな理解できん輩でも、それぞれの集落や、島を収める長(おさ)にとっては、家族どうぜんじゃ」
タウパがおじいさんの顔を、じっとみます。
「じゃから長は、高いヤシの木にのぼったつもりで輩を、おだやかな思いでつつむんじゃ。そうすると輩を、理解できんままでも、受け入れられる、大きな気持ちになれるじゃ」
9.まとめ <断れるように>
こんにちは、どふぁらずら。
究極の、つつむ、できたらいいずら。
んだが、ムリそうなら、
嫌な奴になにか言われたら、普通に断れるように普段から、
あいさつは自分から、常識やルールを守る。
ほんでもって、
心の中で、胸を張ってるずら。
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