おなじような子が、クラスにいるかもしれない。
本文は:物語風6分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き <4人の子>
2.島のくらしはびんぼうだけど
3.タウパのぎもん・お金がないのにみんな幸せ
4.うそつきになりたくない(大地くん)
5.お母さん、ごまかさないで、さみしくなる(桜ちゃん)
6.だよね、お金ないよね、がまんがまん(ひなたくん)
7.思いっきりじまんしてよ、じゃないと自しんが、なくなりそう(亜美ちゃん)
8.まとめ <知っててほしい>
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き <4人の子>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
どふぁら兄ちゃんに、海のむこうから手紙がとどきました。
今回は、そこに書いてある、4人の子の思いを、しょうかいします。
その子たちには、お父さんとお母さんの、どっちかしかいません。
4人ともぼくと、おなじような年なんだってばぁ。
2.島のくらしはびんぼうだけど
葉っぱをかさねた屋根を、4本のはしらがささえています。
そのあいだから白いけむりが、外へながれました。
地面に葉っぱをあんだマットをしき、タウパのお母さんがあぐらをかいています。
茶色い服をダボッときて、木のぼうを持ち、火のめんどうをみていました。
≪かれたヤシの実の皮からあがる、ほのおのオレンジ色、きれいずら。それにしても、魚のやけるにおい、腹がへるずら≫
小屋をまえにして、茶色いぬのをこしにまいた、どふぁらが立っています。
「どふぁら兄ちゃん」
タウパは、すっぱだかでした。
「きのう話してくれた、手紙にかいてあった子のこと、聞いてもいい?」
「うううっ」
しゃべれないどふぁらが、うなります。
それがタウパには、なんて言ったかわかりました。
3.タウパのぎもん・お金がないのにみんな幸せ
「どうしてその国には、話してくれたみたいな、かわいそうな子がいるの?」
どふぁらが、こまったようにまゆをよせます。
「うっ、ううっ」
「うん、お金なら見たことあるよ」
「うううっ」
「そんなぁ、お金がたくさんある家なんて、島にないよ。みんなもってないってばぁ」
「ううっ、うっ」
「うん、ぼくたちがあそぶのに、物はいらない。海やヤシ林があるし、みんながいるからたのしいし」
「ううっ、うううう」
「だから、かわいそうな子が、島にはいない。島の子は、みんな幸せなんだって……」
タウパが、どふぁらの顔を見あげます。
「うっ、ううっ」
「その反対みたいなのが、その国だ。あとは自分で、考えろって、も~。そんなお金や物が、あるところのことなんて、わからないってばぁ。わかるのは、話してくれたどの子も、がまんしてるって、ことだけだってばぁ」
どふぁらがかた手を、強くにぎりました。
手紙に書いてある、子供たちを思っています。
4.うそつきになりたくない( 大地くん)
休み時間の、教室です。
男の子が、集まって話しています。
「きのう、回転すしに行ったんだけど、14皿食べた」
「おっ、すげぇ。2まい多くなって、新記ろくジャン! ぼくなんか、12皿のままだし」
男の子の顔が、大地くんにむきました。
「大地は、なん皿?」
「えっ! ぼ、ぼくは、10皿」
「なんだ、大地もまえとおなじか」
大地くんの家では、お父さんが家事をしています。
大地くんが帰ると、お父さんがふとんに入っていました。
≪いつ、よくなるんだろう。はやく元気になってよ。1回でいいから、外でごはんを食べてみたい。そのときは、回転すしにして。ぼく、10皿しか食べないから。うそつきになりたくない。おねがいだよ、うそがばれちゃうよ≫
5.お母さん、ごまかさないで、さみしくなる( 桜ちゃん)
教室で、女の子たちが話しています。
「夏休みに、バーベキューしに行くんだ」
「わたしは、海水浴がたのしみ」
「わたしは、だんぜんアスレチック」
それらは、日帰りでできます。
桜ちゃんのお母さんは、スーパーとレストランの両方で、はたらいています。
ときどきくる、お休みの日です。
桜ちゃんが、お母さんにたのみました。
お母さんが、桜ちゃんにえがおをむけます。
「バーベキューにアスレチックかぁ。いいわねぇ、でも、どうやって行ったら、いいのかしら。バス、それとも電車? 行くにしても行きかたが、わからないわ」
「でも、海ならわかるでしょう」
「そうね。海はかんたんね」
桜ちゃんが、ひょうじょうを明るくします。
「だけど、海には、ほら、サメ!」
お母さんが、両手をサメの口のようにしました。
その口が、桜ちゃんに、かみつこうとします。
「サメよ、サメ、ほら、サメ、サメ、サメ!」
「も~やだぁ、お母さんたら、やめてよ」
桜ちゃんは、ごまかされたのが、なんとなくわかりました。
あとで、さみしい気持ちになります。
6.だよね、お金ないよね、がまんがまん(ひなたくん)
ピッチャーが、なげました。
バッターが思いっきり、バットをふります。
バットにかすった球が、バックネットにあたります。
そのうしろに、ひなたくんが立っていました。
朝からずっと見ていました。
ひなたくんが、家へむかって歩きます。
≪だけどうち、お金がないみたいだから、どうしよう……。でも、野球、やりたいな≫
アパートのかぎをあけて、家に入りました。
お母さんが、仕事から帰ってきます。
「ごめんね、おそくなって。おなかすいたでしょう。ごはんのしたくするからね」
お母さんが、台所にむかいます。
そのうしろに、ひなたくんが立ちました。
「ねぇ、ぼく、野球のチームに、入れてもらってもいい?」
お母さんがおなべを火にかけます。
「野球って、ユニフォームとか、グローブとか、かしてくれるの?」
ひなたくんが、うつむきました。
「みんな着てるし、もってる」
キャベツを切る音が、とまりません。
「そっか、みんな自分のかぁ。う~~ん」
お母さんが、うなりました。
ひなたくんが、顔をあげます。
「へいきだよ、ぼく。ほんとうは野球、あんまりすきじゃないんだ。お母さん、おなかすいた」
ひなたくんが、テーブルにつきました。
7.思いっきりじまんしてよ。じゃないと自しんが、なくなりそう(亜美ちゃん)
教室で亜美ちゃんが、つくえについています。
女の子たちの話し声が、聞こえてきます。
「夏休み、ディズニーランドに行ったんだ」
「わたしは、ユニバーサルスタジオ」
行くとしたら、どちらもとまりがけです。
こんどは、男の子たちの声です。
「ハワイなのに、海、思ってたほど、きれいじゃなかった」
「ぼくは飛行機で、沖縄だったけど、きれいだったよ、海」
亜美ちゃんが、話している子のほうへ、顔をむけました。
≪思いっきり、じまんしてくれたらいいのに。そうすれば、かぎられた人のする、すごいことだって思えるのに。あんなふうにふつうに話してたら、それができないからびんぼうだって、言われてるみたい……≫
亜美ちゃんは、自しんがなくなりそうです。
8.まとめ <知っててほしい>
やぁ、どふぁらずら。
気づかないだけで、みんなのクラスにも、
おなじような子が、いるかもしれない。
〝 いるかもしれない 〟
それだけ、知っててほしいずら。
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