空を、自由に飛ぶ鳥のように。
本文は:物語風に4分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き
2.自由にあそびたい
3.自分のすきなように・自由に見えるだけで自由じゃない
4.知らないから、自由じゃない
5.さいこうの自由
6.さいこうの自由、それは知ってること
7.いろいろ経験して、さいこうの自由を手に入れる
8.まとめ
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
海と林と空があるだけで……、
島には、なんにもない。
でも、
もしかしたら、自由がある。
それなのに、ぼくは、
自由じゃないんだってばぁ。
2.自由にあそびたい
「えっ、まじめにほれって、どふぁら兄ちゃんまで、そんなこと言って。家の手つだいばっかり、いやだってばぁ。もっと自由に、あそびたい」
おわんのような形をした、ヤシの実のかたいカラです。
どふぁらとタウパが、カラを持って、あなをほります。
「うううっ、うっ」
しゃべれないどふぁらが、うなります。
それが、なんて言ったか、タウパにはわかりました。
「ここは、ヤシの葉のつくる日かげなんだから、ぜいたく言わずに、作業しろって、も~」
小さくて深いあなです。
ふたりとも地面に、両ひざとかた手をついています。
もういっぽうのうでが、あなへ入っていました。
すくい出したすなを、遠くへほうります。
「ねぇ、いつ、おわるの? 自由にあそびたいってばぁ」
≪さいこうに自由に、あそんでるくせに、あそぶのは、やることやってからずら≫
心のなかで言ったどふぁらが、カラを持った手をあなへ入れました。
3.自分のすきなように・自由に見えるだけで自由じゃない
タウパが、おなかを地面につけて、うつぶせになりました。
カラを持ったうでを、あなへ入れます。
「どふぁら兄ちゃんは毎日、家の仕事ばっかりしてて、いやじゃないの?」
「うっ、うう」
「へぇ~、いやじゃないんだ。いやなのは、自由に作業ができないことって、どふぁら兄ちゃんは毎日、自分のすきに作業してるじゃん」
どふぁらがあなからうでを出し、タウパに顔をむけました。
「ううう、うううっ」
「たのまれてやることもある。自分からやったほうがいい、って思ってやることもある。どっちもすきなときに、すきなだけやってる。でもそんなの、自由に見えるだけで、自由じゃないって、なにそれ?」
4.知らないから、自由じゃない
「ううっ、うううう」
「えっ、なになに?」
タウパが顔をどふぁらにむけ、ほっぺを地面につけました。
「おいらがもしも、自由に作業ができたら、もっとはやくおわってる。林のどのあたりに、みつけたい木がはえてるのか、そのえだをオノで、どう切ればかんたんなのか、まだよく知らない。道だって知らないからまよって、よけいに歩いておそくなるって、ぼくはどふぁら兄ちゃんを見てて、そんなふうに思わなかった」
「ううっ」
「知らないからおいらは、ちっとも自由に作業ができないって、そうなんだ……」
5.さいこうの自由
タウパが、あなから出したカラには、すなが山もりです。
どふぁらが、うなりました。
「タウパは、さいこうに自由ずらって、ぼくはぜんぜん、自由じゃないってばぁ」
「ううう、うう」
「海や林、それにこの集落ぜんぶが、あそび場だからって、そんなの友達は、みんなそうだってばぁ。だからぼくは、さいこうなんかじゃないってばぁ」
≪いや、タウパはさいこうに自由ずら≫
どふぁらの投げたすなが、ひとかたまりになって飛びました。
6.さいこうの自由、それは知ってること
「海や林のきけんをちゃんと知って、あぶなくないようにあそんでるって、そんなのあたり前だってばぁ」
「ううっ、ううう」
「あたり前に方法や、どうしたらあぶないか、知ってるから、自由にあそべるんだって。なんか、わかる気がする。木の上で、自由にあそべるのは、のぼり方や、どうしたら落ちやすいか、知ってるからだし」
タウパが、すなを投げました。
「知ってるぼくは、さいこうに自由なんだ!」
海からふいてくる風が、ふたりのはだをなでていきます。
7.いろいろ経験して、さいこうの自由を手に入れる
タウパがあなへうでを入れ、どふぁらもあなのおくで、カラをうごかします。
「どふぁら兄ちゃんも、はやく林を知ればいいのに。そうすれば、どふぁら兄ちゃんも、さいこうに自由だってばぁ」
≪それには、たくさん作業をして、いろいろ経験するずら≫
海であそぶ、子供たちの声が、きこえてきました。
「どふぁら兄ちゃん、もしかして、自分の作業がおそいから、ぼくに手つだわせてるの?」
≪うるさいずら≫
どふぁらが、あなから出したカラを、タウパにむけてふりました。
「いたっ! せなかにすなが、あたったってばぁ」
「ううっ、うっ」
「えっ、あそんできていいの!」
両手で地面をおしたタウパが、走りだしました。
その先には海が、青くかがやいています。
8.まとめ
やぁ、どふぁらずら。
空を、自由に飛ぶ鳥は、
方法や、なにがあぶないか、知ってる。
自由は、知ることからずら。
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