比べそうになったら。
〇見習うのは、ここにでてくるお父さん
< 本文は:物語風に3分 >
1.タウパの前書き<比べない>
2.家の手伝い
3.個性
4.勉強
5.運動能力
6.父親だって一番じゃない
7.まとめ<青空のような心>
1.タウパの前書き <比べない>
集落の、ほかのお母さんたちは、
ここにでてくるお母さんみたいじゃないってばぁ。
どんなことでも、
おじいちゃんが、人と比べたのなんて、聞いたことないし、
子供のぼくたちだって比べると、怒られることがあるんだってばぁ。
2.家の手伝い
ダースは、集落のナンバー2です。
長の補佐を務める30代後半の、すこし腹のでた体格のいい男でした。
妻のベタが庭に立って、次男が木にのぼるのをみています。
「まったくスベは、のぼるのが遅いんだから。ほかの子はパンの木だって、上手にのぼるのよ」
スベが幹の途中から、下をチラッとみました。
「そんなこと言われたって、ヤシの実がとれればいいでしょう」
「のんきなこと言ってないで、ほかの子とせめて、おなじぐらいになりなさい」
補佐を務めるダースが、ベタの横に立ちました。
「母さん、スベの言うとおりだ。実をおとすだけで、たすかるじゃないか」
3.個性
小学校の行事です。
集落の集会場で子供たちが、いくつかのグループにわかれ、お芝居をしました。
集まったお父さんやお母さんに、披露します。
スベが家に帰り、母屋の軒をくぐります。
ヤシの葉をあんだマットに立ちました。
「みたわよ、どうしてスベは、もっとハッキリ台詞を言わないの。ほかの子は、大きな声でハキハキ、しゃべってたじゃない。とっても上手だったわ」
スベがうつむきます。
「ぼくは、弱虫の役だったんだから。友達から、うまいって言われたのに」
ダースが床にあぐらをかいていました。
「だったらいいじゃないか、母さん。みんなの役に立てたんだ。それで十分だ」
ベタが不満そうにほほを、小さくふくらませました。
4.勉強
母屋の床のはしに、木の道具を手にしたベタが、あぐらをかいていました。
寝具をあむ葉をつくろうと、葉をたいらにしています。
スベが、茶色い短パン姿で軒をくぐり、小学校から帰ってきました。
ベタの前に立って、片手をだしました。
「はいこれ、成績表」
ベタが道具をおいて、それを手にします。
「どうしたの、家でも勉強してたじゃない。お兄ちゃんやお姉ちゃんが、スベのころはもっと成績がよかったわ。お兄ちゃんやお姉ちゃんを、見習いなさい」
スベがうつむきます。
「お母さんが言うように、いつも宿題はちゃんとやったよ」
ダースがあぐらをかいて、殻のうつわを手にヤシの樹液をのんでいます。
うつわを口からはずし、ほほ笑みました。
「そうか、宿題はやってたのか。だったら上出来じゃないか、母さん」
「どうして、お父さんまで、そんな――」
ベタがほほをふくらませます。
5.運動能力
潮が満ちていました。
集落の前の海は、大人でも背が立ちません。
子供たちが海で遊んでいるのを、ベタがヤシの木のあいだに立ってみています。
遊びおえたスベが、すっぱだかで母屋へ入ってきました。
「みんな、スベよりずっと泳ぐのが、上手じゃない。身のこなし方がきれいだわ。スベもみんなとおなじように、できるようになさい。お兄ちゃんとお姉ちゃんに、スベに泳ぎを教えるように言うから」
スベが視線をおとします。
「だけどぼく、足が立たないところで、みんなとふざけてても、こわくないよ」
ダースがスベの頭に片手をおいて、横に立ちます。
「そうか、こわくないか、だったらおぼれる心配はないな。母さん、それで十分じゃないか」
ベタがほほを思いっきりふくらませました。
6.父親だって一番じゃない
ベタがダースの手を引いて、母屋からでます。
母屋へ声がとどかないところで、ダースにむいて立ちました。
「あなたは集落のナンバー2なのよ。私はスベにナンバー2の息子として、上の子たちのようにしっかりしてほしいの。それなのに、あなたったら」
ダースがほほ笑みました。
「俺だって長(おさ)じゃない。ナンバー2の補佐だ。スベが友達や上の子たちよりも劣っていたとしても、いいじゃないか。スベには、スベのいいところがある」
「そんなんじゃ、だめよ、みっともないわ」
「はずかしいのは、気持ちの小さいおまえだ」
しっかりした口調で言い、おだやかにつづけました。
「もっと、大きな気持ちで、子供たちをみてやるんだ。スベが元気に小学校へ通える。それだけで、ありがたいじゃないか」
7.まとめ <青空のような心>
こんにちは、どふぁらずら。
そんなこと言われても、ついつい比べるずら。
んだが、
大きな気持ちを、感じて育つ子は、
まちがいなく
青空のように、大きくなるずら。
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