子どもは、ちょうせんばっかりなんだから――。
お父さんもお母さんも、ちゃんとみててよ。
本文は:物語風に4分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き <いやになる>
2.ずっとやってきたのに
3.教えてもくれない・もうやめる
4.ほんとうは、もっとやりたいんじゃないの
5.なん回しっぱいしても、またやれば
6.ちょうせんしつづけるって、かっこいい
7.しっぱいなんてあたりまえ
8.まとめ <かんたんじゃないから>
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き <いやになる>
ずっとずっと、がんばってきたのに。
1回も、ほめられない。
だから、
いやになっちゃうんだってばぁ。
2.ずっとやってきたのに
もうすぐ、島に船がきます。
いつもなら、先生にいって画用紙を、もらっているころでした。
タウパが、高いヤシの木の上にいます。
葉のねもとにすわって、しずんでいく太陽をみていました。
「3年生のころから、ずっとやってきたのに、1等賞とか2等賞の賞をもらえない……」
オレンジ色をした大きな太陽です。
ゆっくり水平線にちかづいていきます。
「ぼくのかいた絵をみて先生が、じょうずだっていってくれたのに。だからはじめたのに……」
3.教えてもくれない・もうやめる
太いしんの両がわにはえたほそい葉が、風でゆれています。
「どうすれば賞がとれるのか、かいた絵の、どこがダメだったのか、教えてもくれない……」
太陽のはしが、水平線にふれます。
タウパが、ヤシの葉のしんに立ちました。
両手で口をかこいます。
「そんなので、うまくかけるように、なるわけないってばぁ」
大きな声が、太陽にむかっていきます。
タウパが、しんにすわりました。
「もう10回ちかく絵をだした。それなのに1回も……。もうやるのやめる……」
4.ほんとうは、もっとやりたいんじゃないの
次の日の朝です。
ヤシの木のあいだをとおる道を、あるいて小学校へいきます。
となりから男の子のリンが、タウパに顔をむけました。
「どうしたの、元気ないみたいだけど」
タウパが、絵をかくのをやめたことを、話しました。
「そうなんだ、だからいつものタウパらしくないんだ。ほんとうはまだ絵を、かきたいんじゃないの?」
タウパがうつむきました。
5.なん回しっぱいしても、またやれば
小学校の休み時間です。
グラウンドのはしに、タウパが立っていました。
女の子のメナリが、うしろからタウパのかたを、たたきました。
「せなかがさみしそうだよ。リンから聞いた。絵のこと」
メナリが、タウパの前に立ちます。
「賞なんて、かんたんにもらえないよ。いいじゃない、しっぱいしたら、またやれば。なん回でも、ちょうせんすればいいよ」
タウパが顔を、あげました。
6.ちょうせんしつづけるって、かっこいい
小学校からの帰り道です。
リンとメナリが、タウパの両がわを歩きます。
リンがタウパの前にでて、後ろむきに歩きました。
「ちょうせんしたいことがあるって、うらやましいよ。ちょうせんしてるタウパは、かっこいい」
メナリがタウパのかた手を、両手でつかみました。
「あきらめたら、終わっちゃう。ちょうせんが、終わっちゃうよ。ちょうせんなんだから、しっぱいはあたりまえ、またやればいいんだよ」
リンとメナリが、声をそろえます。
「そうすれば、ちょうせんがつづく。ちょうせんしつつづけるって、かっこいい」
7.しっぱいなんてあたりまえ
次の日の小学校です。
たんにんの女の先生に、タウパが走りよります。
「やっぱりぼく、絵をかきます。画用紙ください」
先生の顔をみあげます。
「賞をもらいたい。しっぱいなんてあたりまえだから、ちょうせんをつづける」
1まいの画用紙を、タウパがうけとりました。
先生が、ほほえみます。
「タウパの絵が、えらばれる日が、楽しみだわ。もうすくだからね、船」
それぞれの島から、子どもたちのかいた絵が、主島にあつまります。
8.まとめ <かんたんじゃないから>
しっぱいしても、またやる。
ちょうせんしつづけるずら。
かんたんじゃない。
んだから、
かっこいいずら。
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