調子にのってるって、いいですよねぇ。
でも、のりすぎは……。
< 本文は:物語風に4分 >
目次
1.タウパの前書き <力が効かないから、助けたい>
2.いやなやつらから感謝される
3.新しい力を得た
4.神のようにあつかわれ
5.あそばれてる・バカみたいで情けない
6.助けに応じないなら、罰が待ってる
7.力にあやつられ調子にのって絶好調
8.大きらい・大人になってもぜったいに負けない
9.子どもにバカにされる
10.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <力が効かないから、助けたい>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
島には、妖精がいる。
大人にしかみえない、ツングツング。
その力は、
子どもには効かない。
だからぼくが、
どふぁら兄ちゃんを、助けるんだってばぁ。
2.いやなやつらから感謝される
大人が、丸まって入れるような茶色いぬのの袋が、大きくふくらんでいます。
袋を、どふぁらがせおい、ヤシ林をとおる道を、集落へむかいます。
≪これで今日、3ど目ずら。こんなにたくさん、枯れ落ちたヤシの実が、ちょっと林をあるくだけで、かんたんに集まるずら。おいらは天才ずら≫
袋の口を両手でつかみ、上半身をすこし前にたおして、あるきます。
≪ツングツングのもたらす幸運を、信じずにあしらって、おいらにいやな思いをさせた集落の連中が、今はおいらに感謝してるずら。枯れ落ちた実の、厚く成長した果肉の用途はおおい。毎日つかうずら。実はいくらあっても、よろこばれる。ウッヒッヒッ、気分がいいずら≫
集落へもどると、実をくばってあるきました。
3.新しい力を得た
集落の中に立っていたり、集落のまわりに立っていたりする、ヤシの木でした。
幹のむこうにまわした手には、ひもを結んだヤシの実の丸い殻の器が、3つさがっています。
その手と、手前にあてた手とで幹をはさみ、両足のうらで幹をけってカエルが跳ぶようにして、あがっていきます。
≪おいらはヤシの木にのぼるのも、天才的にうまいずら。ぴょんぴょん、スイスイ、あがっていくずら。どんなに高い木でも、お手のものずら≫
放射状にひらいた葉の芯に手をかけ、芯のうえに立ちました。
4.神のようにあつかわれ
≪ヤシの実のなる芽から樹液を採ってるから、実がならないずら。そのかわり、直径が10センチほどある芽の先を、ナイフで薄くけずって刺激をあたえると、樹液が芽にさげた器にたまるずら≫
多いときには1本の木で同時に、3本の芽から樹液を採ります。
≪うちは親父が、朝夕6本の木にのぼって、家族のために樹液をあつめているずら≫
父親のかわりに家の手伝いを終えたどふぁらは、集落の家の樹液採りを手伝いました。
≪朝夕、たくさんの木にのぼるずら。おいらにいやな思いをさせた連中が今は、おいらを神様のようにあつかうずら。気分がいいずら≫
5.あそばれてる・バカみたいで情けない
砂浜にできたヤシの葉の影に、タウパがあぐらをかいていました。
「まったく、どふぁら兄ちゃんは、ツングツングの力にかかって、すっかりあそばれてるんだから」
タウパが海を、にらんでいます。
「どふぁら兄ちゃんだけじゃない。集落の大人たちも、いっしょだ。最初にいやな思いをみんなでさせて、どふぁら兄ちゃんに、みんなをきらいにさせたと思ったら今度は、どふぁら兄ちゃんを持ちあげるんだから」
タウパが腕を組みます。
「も~、これじゃあ、どふぁら兄ちゃんが、バカみたいじゃないか。そんな情けないの、いやだってばぁ」
6.助けに応じないなら、罰が待ってる
砂浜にすわるタウパが腕をくんだまま、あごをひきました。
「ツングツングにあそばれてるって、ぼくがどふぁら兄ちゃんに言って、どふぁら兄ちゃんが、すんなり信じてくれれば、力がとける」
腕をほどいて、両手を腰にあてました。
「だけど、どふぁら兄ちゃんがもしも、信じてくれなかったら。罰が待ってる。集落の大人たち、みんなが集まる。大人につられて子どももみんな――。そこでどふぁら兄ちゃんが、裸踊りをする。みんなにはやしたてられ、調子にのって踊って、大騒ぎになって最後に、両足をひろげて立ったどふぁら兄ちゃんが、からだを前におって頭をつく。それで両手でお尻を、お尻の穴をひろげるように、ひっぱる」
タウパが大きく息をはきました。
「めちゃくちゃはずかしい格好になった瞬間に、ツングツングの力がとけて、どふぁら兄ちゃんをふくめた大人たち全員が、我にかえる。だから、どふぁら兄ちゃん、最悪になる……」
7.力にあやつられ調子にのって絶好調
次の日の朝でした。
「どうしよう。このままバカみたいな、どふぁら兄ちゃんをみてるのもいやだし、だけど、ぼくの言うことを信じてくれなかったら、最悪になるし……」
浜辺にならぶヤシの木の横にタウパが、海のほうをむいて立っていました。
「うううっ、うっ」
浜をあるいてきたどふぁらが、うなりました。
それがタウパには、なんて言ったかわかります。
「うかない顔なんて、してないよ。アレッ、どふぁら兄ちゃん、もう漁から帰ってきたの。しかも袋、めちゃくちゃ魚が入って、重そうだし!」
「うっ、うううっ」
「天才的に漁がうまくなったから、うちの分の魚をおろしたら、集落のみんなにくばってくるって、も~~、どふぁら兄ちゃんまた、ツングツングに会いにいって、別の力をつけたんだ。いつのまに――」
どふぁらがまた、うなりました。
「ウッヒッヒッ、じゃないってばぁ。集落の者たちにとって、おいらは神だって、も~」
8.大きらい・大人になってもぜったいに負けない
どふぁらが魚を、母屋の横にしいたマットにあけました。
集まった家族がみんな、どふぁらをほめ、感謝します。
どふぁらが得意げな顔で、うなずいています。
タウパが小さく息を、はきだしました。
「これじゃあ、ツングツングにあそばれてるって、ぼくが言っても、信じてくれそうにない。どふぁら兄ちゃんを、最悪にさせられないから、このままでいいや――」
タウパが鼻にしわをつくりました。
「だけど、いい気になって、みっともないってばぁ。こんなふうに人をもてあそぶツングツングって、大きらい。大人になってもぼくは、ぜったいにツングツングに、負けないから」
9.子どもにバカにされる
≪こりゃあダメずら。こんなに風が強かったら、漁にいけないずら≫
浜辺にならぶヤシの木のあいだに、どふぁらが海にむいて立ちました。
眉を強くよせたかと思うと、首をグイッとかしげます。
「ううっ、うううう」
振りかえって離れの高床で、目をさましたタウパに言いました。
「すごく気分がよかった気がする、おいらはなにをしたんだって? そうなんだ、ツングツングの力がとけたんだ。心配ないよ、どふぁら兄ちゃんみたいに、集落の大人たちも忘れちゃうから」
タウパが腕を組みました。
「だけど子どもは、ぜんぶしってる。どふぁら兄ちゃんをみて、ニヤニヤしたら、バカにされてるってことだってばぁ」
10.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
子どもたちのニヤついた顔をみて、頭にくる。
頭にくるのは、おいら自身にずら。
いい気になって、最悪ずら。
(;´д`)トホホ……。
おっと!
妖精がでてくるページはこっちずら。
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