ムキになったら、相手とおなじに――。
< 本文は:物語風に2分 >
目次
1.タウパの前書き
2.そんなにムキになったら同類に
3.人間性がさがる前に
4.1番にならぶ歌声
5.気持ちをおちつかせる
6.スキップするような笑み
7.歌のつづき、それともボアタの想像?
8.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
ぼくだって不機嫌だってばぁ。
ボアタ姉ちゃんに頭にきた。
だって、
ぼくの友だちが、どうのこうのっていうだけで、
ちゃんとおしえて、くれないんだから――。
💦 そのページを先に読むなら、こっち >
2.そんなにムキになったら同類に
母屋の、葉をふいた屋根が軒から中央へかけあがり、そのしたに立った16才のボアタが、従弟につよい目をむけます。
「いいかタウパ、同類になるな。本人に確かめもしない話で、楽しんでるような幼稚な友だちと、だぞ。わかったな」
イラついたように片手で頭をかきました。
「よし、わかったら、ナイーネを呼べ、すぐにだ」
「も~なんなんだよ、まったく~」
「まったく、タウパをバカにしやがって――。同類になるなっていうような幼稚なやつらに、こんなに頭にきてたら、わたしのほうが同類になる。ここはナイーネに、わたしをたすけさせる――」
3.人間性がさがる前に
ボアタとおなじ歳の従妹のナイーネが、腰を深くまげて軒をくぐってきました。
「も~なんなの、用があるならボアタがくればいいじゃない。作業のとちゅうなんだから」
ナイーネは細身に、ボアタはしっかりした体形に、茶色い袋のようにつくった服を着ています。
「ここがいいんだ。作業よりわたしのほうが、大切だろう。この頭にきた気持ちをしずめないと、わたしのすばらしい人柄が、だいなしになる。とりあえず歌え、1曲だけでいいから――」
その大声にナイーネが、クスッ、と肩をゆらしました。
「わらいごとじゃない。歌え、はやく――」
ナイーネが腰をおろし、あぐらをかきます。
4.1番にならぶ歌声
うすいガラスでできた細い筒が、ぶつかりあいながらころがるような、歌声でした。
≪う~ん、すばらしい≫
ボアタが床に、あおむけになりました。
≪わたしは島で、1番歌がうまい。催しがひらかれると、客人をもてなすために、呼ばれて歌うほどだ。だがそれと、ナイーネの歌は別物だ。ナイーネのこのか細い歌声は、なごむ≫
屋根裏に葉がきれいにならび、そこへむけていた目をとじました。
≪ゆっくりとした曲調が、心にしみてくる≫
ボアタが目をとじたまま口元を、かすかにあげます。
5.気持ちをおちつかせる
≪ナイーネは、さすがだ。わたしの怒りをしずめるために、えらんだ曲もいい≫
ボアタが眉間にかすかに、しわをつくりました。
≪歌にでてくるのは、小学1年生ぐらいの女の子だ。かわいそうに……≫
眉間のしわを、深めます。
≪女の子が仲よしだったのは、鳥か犬にちがいない。鳥なら成長して伴侶ができ、女の子のもとをはなれたんだろう。犬なら死んだのかもしれない≫
ボアタが片手を胸にあてました。
≪ずっと膝をかかえたまま泣いてる。大すきな仲よしがいなくなって、つらいんだ……≫
6.スキップするような笑み
ボアタが目をつぶったままもう一方の手を、胸にあてた手にかさねました。
≪いいぞ、いいぞ。泣いていると、声が聞こえてくる。顔をあげた女の子の目が、仲よしの声をさがすように、左右におよぐ……≫
髪がボアタの額をこすり、その風にナイーネが歌声を、そっとのせているようです。
≪仲よしの声にさそわれ、立ちあがった女の子は、歩きだした。そこはヤシの木のあいだをつづく道。海からやってきた風が、女の子をつつむように島の奥へふいていく。仲よしのぬくもりを感じ、スキップしはじめた……≫
ボアタが女の子の背中をおって、微笑みます。
7.歌のつづき、それともボアタの想像?
≪女の子を呼んで仲よしが鳴く。あそぼっ、あそぼっ。仲よしがちかより、仲よしの胸が、女の子のほほにふれた。ほほをやわらかな毛が、くすぐるようにうごき、女の子の胸のなかが、よろこびでいっぱいになる≫
ボアタが自分のほほに、手をあてました。
≪ヤシの木のあいだをつづく道の先が、白っぽくかがやいてる。スキップする女の子のうしろ姿が、光のなかへきえていき、仲よしの鳴き声がひびく……。あそぼっ≫
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
自分のご機嫌とり。
なんと、
人にやらせるとは!
みごとに、笑顔になったずら。
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