< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.潮ははやい
3.みんながかわいそう
4.あざやかな緑
5.空や海にまぎれ
6.どうなってる!
7.切れのいい音
8.今が幸せ
9.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
幸せって、意味わかるけど、
ぼくらは、あんまりつかわない。
だって毎日、
おいしいし、あそんでたのしい。
宿題をやる時だけ、幸せじゃないんだってばぁ。
2.潮ははやい
集落から海にそってつづく道を、となりの集落との中間にある小学校のほうへ、むかいました。
どふぁらがタウパの従姉の16才のボアタとならんであるき、ヤシの木のあいだから砂浜へでて、潮が引いてあらわれた干潟をすすみます。
「うううっ、うう」
うまくしゃべれないどふぁらが、うなりました。
それがボアタにはなんていったのか、大方わかります。
「うるさい。どふぁらがグズグズしてたから、おそくなったんだろう。潮が引いてる途中の海が浅くなったころに、到着するのがいいんだ」
ボアタがあごを突きだしました。
「あの手の指ぐらいの長さの、うすっぺらい海藻のはえたところに、貝がいる。ほらみろ、もう沖から海のふちが近づいてくるじゃないか。潮ははやい、すぐに深くなる」
3.みんながかわいそう
ボアタがヤシの葉であんだカゴを、一方の手にさげてあるきます。
「二枚貝は、海藻の根もとにいる。わたしとおなじぐらい、たくさん獲らなかったら、承知しないからな。どふぁらの持ってるカゴの、半分以上だ」
どふぁらがカゴを、自分のまえにだしてりょう手でつかみ、首をかしげました。
≪カゴが、でかすぎるずら≫
「今日うちは別の作業で、魚を獲りにいけない。だから夕方の食べ物は、イモと貝だけになる。貝がたくさんなかったら、みんながかわいそうだろう」
ボアタが顔を横にむけ、どふぁらへつよい眼差しをおくります。
「いいな、たくさん獲らなかったら、どふぁらの食うのは、イモだけだからな」
4.あざやかな緑
ボアタににらまれたどふぁらが、りょう肩をヒョイッとあげました。
≪どうなろうがおいらは、精一杯やるずら≫
心のなかでいい、しゃがんで砂に指をつっこみました。
≪おいらが腰にまいた茶色い布の、ボアタがダボッと着た茶色いワンピースの、ケツの下をうすっぺらい海がとおりすぎ、浜のほうへむかっていくずら≫
どふぁらが目を細めました。
≪白い砂からの照りかえしをおおいながら、透明なガラスが日差しを反射するみたいずら。海水の上にでてる海藻と、島にしげるヤシの葉の緑が、いっそう青々とするずら≫
5.空や海にまぎれ
海藻にあぐらをかいたボアタが、貝を獲りながらおしりをずらし、どふぁらから遠ざかっていきます。
≪おそろしくでっかい海なのに、自然の力にはおそれいるずら。あぐらをかいたおいらの足首が、さっき海水につかったと思ったら、もう腹まで海がきてるずら≫
「どふぁらぁ」
ボアタが背中をどふぁらにむけたまま、大声をだしました。
「わたしの背中には目がついて、どふぁらの仕事ぶりをみてるからな。手をうごかすのが、おそい。もっとはやくだ」
どふぁらがチラッと、ボアタに目をむけます。
≪こんなだだっぴろいところで大声をだしても、空や海に怒気がまぎれ、おだやかな声になっちまうずら≫
6.どうなってる!
どふぁらが貝をいれたカゴを移動させ、しりをずらしました。
≪二枚貝は、大人の大きな手の親指と人差し指で、丸をつくったぐらいの大きさずら。それが次々と、おいらに幸運が、めぐってるのかもしれないずら。りょう手をつっこむたびに、そこに貝がある≫
どふぁらがカゴの上で手をひらきました。
≪しかも貝がふたつ、よりそうようにいるずら。夫婦とか兄妹とか恋人同士とかなのかもしれないずら。仲のいいところに水を差してすまない。おっ、またずら。手をつっこむたびに、そこにふたつある。どうなってるずら!≫
どふぁらが胸で海水をおし、おしりをまえにずらしました。
7.切れのいい音
ボアタが首をのばして海から顔をだし、海底をあさっています。
「どふぁら、わたしはもうだめだ。これ以上やったら海にしずむ」
ボアタがヤシの葉をあんだカゴを、りょう手で持って立ちあがりました。
「どふぁらのほうがわたしより、胴も腕も長いみたいだな」
ボアタがどふぁらの横に立ち、水中にあるカゴを上からみます。
「じょうできじゃないか。いつこんなに上達したんだ。わたしの獲った貝より多い」
ボアタがカゴをおき、そこから獲ったふたつの貝を、それぞれの手の平にのせ、りょう手をいきおいよくぶつけました。
切れのいい音を、澄みわたった空間にひびかせます。
8.今が幸せ
ボアタが割れた貝の殻を、身からていねいにはがします。
「身がオレンジ色をして大きい。プリッとして食べごたえがあるぞ」
どふぁらが海からだしている顔を、上へむけました。
≪ボアタがうれしそうにする顔が青空を背にして、そこを流れる雲よりボアタの歯が白いずら≫
ボアタが貝の身を、海水でサッとあらいました。
「あまくてうまいぞ。ほら、食え」
≪海水の塩気が、口のなかを占領したずら。そこへ貝のうまみが染みだし、そのあとをコリコリした触感がおいかけるずら≫
どふぁらがほほをうごかしながら、首を横にふります。
≪ん~~~~~~、うまい。おいらは今、幸せずら≫
9.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
今が幸せ。
いっしょうけんめいに獲ったあとの、笑顔とやさしさ。
たいせつな一瞬ずら。
おっと!
幸せになるよう、ひらくずら。
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