そろそろやらなきゃなぁ、って思ってるんですよね。
< 本文は:物語風に2分 >
目次
1.タウパの前書き <やるやる、っていうだけ>
2.またこんど、こんど・明日、明日・この前もそういって
3.うるさくいわれて背中をおされ・もう、明日やるしかない
4.まとめ <やらないなら、いってもらって感謝>
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <やるやる、っていうだけ>
こんにちは、島に住む10才の、タウパです。
高床の家に住む女の子は、
ぼくの妹みたいな友だちの、スーグ。
お父さんが、やるやるっていいながら、
なかなか雨もりを、なおさないから、
スーグが、
かわいそうなんだってばぁ。
2.またこんど、こんど・明日、明日・この前もそういって
スーグがスッポンポンで、高床にあぐらをかいています。
「あっ、お父さん、こっちも」
片腕をあげて、屋根裏を指さしました。
「こっちからも、水がたれてくる」
高床をかこむ四方の軒先から雨が、透明な線になってなん本も落ちていました。
高床は8畳ほどのひろさで、長方形です。
敷きつめられたヤシの葉の芯に、父親のトーヘンボーが横になっていました。
首をうしろへまわし、娘の指先をたしかめます。
「う~ん。またこんどだ」
トーヘンボーが、反対側へ顔をむけます。
妻のランギロが、床のはしにあぐらをかき、ヤシの実の繊維を、肉付きのいいふくらはぎに、こすりつけて紐をよっています。
手をとめてトーヘンボーの背中へ、視線をむけました。
「こんど、こんどって、いつ雨もりを、なおすのよ。寝るところが、なくなるじゃない」
答えがかえりません。
「いつなおすんだって、聞いてるでしょう――」
「明日だ」
だるそうな言い方でした。
「お父さん、この前の雨のときも、明日っていった」
「そうよ。こんどや明日って、口だけなんだから。漁にばっかりいって、魚を獲ってくれるのはいいけど、屋根の修理だってしてくれないと――」
修理は一時しのぎにしかならず、葉をふいた屋根はなん年かすると、ふきかえが必要になります。
それを見越してランギロは、屋根材を骨組みにしばる紐をつくっています。
「お父さん、明日は、ほんとうに屋根の修理やる? やらなきゃ、だめだからね」
3.うるさくいわれて背中をおされ・もう、明日やるしかない
スーグが、いきおいよく立ちあがりました。
片腕をあげて指をさします。
「お父さん、あそこからも、水がたれはじめた」
床にあたったしずくが、トーヘンボーの背中にはねました。
その背中へランギロが、つよい視線をおくります。
「まったくもう、どこに寝るのよ。どこよ。どこ。どこだって、言うのよ」
「明日だ。明日、明日する」
背中をむけたまま、答えました。
「明日、明日って、いいかげんにしなさいよ」
「うるさいなぁ」
起きあがったトーヘンボーが、ランギロに顔をむけました。
「雨があがらなきゃ修理できないだろう。明日は、ちゃんとやるから」
背中をむけて、横になりました。
ランギロが両手をついておしりを、前へずらしました。
静かにトーヘンボーの背中へ、ちかづいていきます。
ランギロが両足でトーヘンボーの背中をおし、トーヘンボーがころがります。
「つめてぇ、つめてぇ、つめてぇじゃねぇか」
トーヘンボーに雨水があたります。
「修理するまで、そこで寝るの。いい、そこでだから――」
4.まとめ <やらないなら、いってもらって感謝>
いわれるのは、うるさくていやずら。
んだが、
いわれないで、いつまでもやらないんだったら、
いってもらって、感謝ずら。
明日はかならず、一歩踏みだす。
未来をひらくずら。
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