愛って、どういうことなんだろう?
本文は:物語風に4分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き
2.赤ちゃんが生まれる
3.赤ちゃんの名前は?
4.目や心ぞうをあげる
5.たくさん食べられるように
6.ヤシ林から天国へ
7.そっとおいていく
8.まとめ
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
ぼくのおじいちゃんの、
そのおじいちゃんと、おばあちゃんは、90才ぐらい。
おしゃべりはちゃんとできるし、自分であるける。
ずっと元気で、いてほしいんだってばぁ。
だれだってそう思うよね。
それなのに朝起きると、ふたりともいなくなって、さみしがってる子がときどきいる。
もう帰ってこないのは、愛してるからなんだって。
2.赤ちゃんが生まれる
母屋のゆかには、一面にヤシの葉をあんだマットが、しいてあります。
そのいっかしょに、オレンジ色の小さなほのおが、ともっていました。
お母さんがあおむけになって、りょうひざをたてています。
その足元に、お産婆さんがあぐらをかいていました。
お産婆さんが、お母さんから生まれてくる赤ちゃんを、とりあげてくれます。
「がんばるのよ。もうすぐ、もうすぐ赤ちゃんが、でてくるから」
お母さんが横にすわる、自分のお母さんの手を、にぎっていました。
「あなたこれで産むの、3人目なんだから、あんしんでしょう。ほら、もうすこしよ」
小さなほのおが、3人をてらしています。
3.赤ちゃんの名前は?
母屋のなかへ、朝の光がさしこんでいました。
お母さんが横になったまま、集まった家族のひとりひとりに、顔をむけていきます。
「わぁ~、オチンチンがついてる。男の子だ、もう手をうごかしてる」
「足だって力強くうごかしてるよ。あっ、わらったぁ、かわいい」
「おまえ、でかしたぞ、よくやった。この子の名前はどうする?」
「こんかいは、この子のおじいちゃんの、そのおじいさんとおばあさんの、ザザおじいちゃんとレイおばあちゃんに、名前をつけてもらいましょうよ」
「いいのか、曽祖父母がつけたら、古くさい名前になるかもしれないぞ」
4.目や心ぞうをあげる
海からふいてきた風が、母屋のなかをとおっていきます。
お母さんの横で、赤ちゃんがねむっていました。
「こうしてなん人の、赤んぼうをむかえたんでしょうねぇ、おじいさん」
ザザとレイが、赤ちゃんをまえにして、あぐらをかいています。
「なん人むかえたって、すこやかに育ってほしいと、心のそこからいのるじゃ」
「そうですねぇ、90年ほど生きてきても、わすれませんねぇ」
「ああ、自分たちの子どもをもって、自分の命にかえてもまもると思ったじゃ」
「子どもにひつようなら、目でも心ぞうでも、あげられますからねぇ」
5.たくさん食べられるように
赤ちゃんのお母さんがたちあがり、母屋からそとへでていきました。
レイが、赤ちゃんのつま先に、そっとふれます。
「なにごともなく、元気に育ってほしいですねぇ」
「ああ、もう少し大きくなったら、よく食べるようになるじゃ」
「そうなったころに、そろそろどうでしょう、おじいさん?」
レイが顔をザザにむけ、ふたりが目をあわせました。
「ああ、わしもそう思っとったじゃ」
ふいてくる風が、ふたりの声とあそんでいるようです。
「子どもや孫に、めんどうをかけたくありませんからねぇ」
ふたりが顔を、赤ちゃんにむけました。
ふたりともうれしそうに、ほほえんでいます。
6.ヤシ林から天国へ
ザザが赤ちゃんの頭を、そっとなでました。
「この子が、りょう手でつかんで食べるすがた、楽しみじゃ」
レイが指先で、赤ちゃんの足の指に、ふれました。
「そのすがた、ふたりでみとどけたら、いきましょう。おじいさんといっしょにいけて、うれしいです」
「ああ、わしもじゃ」
ふたりがいくのは、天国です。
ちゃんと考えることができて、自分であるけるうちに、いきます。
「わしらのぶんを、この子にたくさん食べてもらうじゃ」
「りょう手でつかんで食べる、すがたをみとどけたら、いきましょう」
7.そっとおいていく
母屋の屋根のしたへ、明るい光がはいっています。
「それで、おじいさん、この子の名前は、どうしましょうねぇ?」
ザザが手でやさしく、赤ちゃんのほっぺにさわりました。
「なぁに、この子が、わしらにいくきっかけを、くれたじゃ。この子にわしらの気持ちを、そっとおいていくのは、どうじゃ?」
「どういうことですか?」
「かんたんじゃよ、わしとお前の名をとって、ザイじゃ」
レイが、うれしそうな顔をしました。
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
そっとのこす。
この愛、そうとう強いから、できるずら。
おっと!
こっちは、子どもから大人へずら。
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