めいわくな老害:いさぎよく退く




*目にやさしい背景色を使用*











まだまだ現役、わかい者にはまけない。

って、ほんとうにそうだったらいいけど……。








< 本文は:物語風に3分 >


目次

1.タウパの前書き

2.おやすい御用

3.目は逸品

4.自分じゃ気づかない

5.正真正銘の老害

6.老害は除外

7.いさぎよく退く

8.まとめ








それでは、物語のように、どうぞ















- そこは、さんご礁にかこまれたのしげる島 -








1.タウパの前書き


こんにちは、島に住む10才のタウパです。

できると思って、めいわくになってたら、カッコわるい。

勘違いしないで!

ぼくのひいおじいちゃんも、気づかなかったんだってばぁ。


















2.おやすい御用

ヤシの木にかこまれた敷地のなかほどに母屋が、浜にちかいところに離れが建っています。

母屋から大きな声がかかり、離れの高床にあぐらをかいたどふぁらが、片手をあげました。

≪漁へいくなどおやすい御用ずら≫

心のなかでいったどふぁらが高床からおりて、敷地のわきに建つ火をつかう小屋へあるきます。

タウパの従姉にあたる16才のボアタが、あぐらをかいて棒を持ち、火の面倒をみています。

「ううっ、うう」

うまくしゃべれないどふぁらが、うなりました。

それが勘のいいボアタには、大方わかります。

「カタレマだったら、小学校へ作業にいって、いないぞ」

「うう、ううっ」

「ロボイアは、さっき林へ材料をとりにいった。どふぁらだけだ、なにもしないでゴロゴロしてるのは――」


















3.目は逸品

どふぁらが火をつかう小屋に、背をむけました。

≪どういうことずら。おいらひとりで漁へいけって……?≫

どふぁらが首をかしげました。

≪そりゃあないずら。たいした数の魚がとれないずら。網をよこに長くはって、そこへ魚をおいこむ漁は、3人いるといいずら≫

どふぁらが腰をまげ、母屋のなかを確認します。

70才をすぎたガテが、あぐらをかいた一方の足を前にだし、その脛に繊維をこすりつけ、ひもをよっています。

≪ガテの魚の群れをみつける目は、逸品ずら。ガテがきてくれたら、大漁まちがいなし。たのんでみるずら≫


















4.自分じゃ気づかない

どふぁらがあぐらをかき、ガテが手をとめました。

「なぁ~に、わしはまだまだ現役じゃ、わかい者にはまけん」

ガテが前にだした足をおり、背筋をのばしました。

「あさい海を魚をおいこんではしるのや、漁獲のはいった布の重たい袋を肩にかついで、海からあがって歩くのでさえ、どってことないじゃ」

ガテがりょう肘をひざにつきました。

「ほんとうにそれならばいい。じゃが、魚をおいこむのや、重い袋をはこぶのを、わかい者にまかせて、わしはいっぱしに漁のできるつもりでいた、落ちぶれたころがあったじゃ」

ガテが視線を床におとしました。

「愚かなことに、自分じゃ気づかんかった」


















5.正真正銘の老害

「ううっ、ううう」

「なんじゃと、網をかける場所を、おしえるだけでいいじゃと――」

ガテが片腕を、ピクンとさせました。

どふぁらにゲンコをくれるのを、がまんしたようです。

「未熟なおぬしじゃったら、幼稚な稚害にでもなるのかもしれん。じゃが、足をひっぱったとしてもおぬしが漁へいけば、一人前になるためのれっきとした経験じゃ」

ガテが背中をまっすぐにしました。

「じゃが、わしがでしゃばって漁へいったら、いっしょにいく者や、漁獲の恩恵をうける家族の、めいわくになる。正真正銘の老害じゃ」


















6.老害は除外

「ううう、うううう」

「あまったれるでない――。わしはとっくのむかしに、引退したじゃ」

ガテがどふぁらに、強い視線をむけます。

「ボアタとおぬしでいくじゃ。ナイーネをつれていけ。おぬしがどこに網をしかけるか決める、漁の長(おさ)をつとめるじゃ」

どふぁらが、りょう目を丸くしました。

「しんぱいない。ふたりとも女じゃから、魚のあつかいに慣れとる。それでじゅうぶんじゃ」

ガテが眉毛をよせます。

「つべこべいわずに、家族の食べる魚をうんと獲ってくるじゃ、さっさといくじゃ。老害はここに除外じゃ」


















7.いさぎよく退く

ガテが、腰をふかくまげ軒をくぐって外へでていく、どふぁらをみていました。

「あやつ、戯けたことをぬかしおって」

ガテのとなりに、妻のメレーがあぐらをかいて座っています。

「あのころ、老害じゃと気づかんかった、あのころじゃ。まわりにイヤな思いをさせたのう……」

ガテが前をむいたまま、りょう肘を膝につきました。

「家長だったわしに、意見しづらいところを、おまえがいってくれた。肝がすわってて、たいしたもんじゃった……」

メレーが、りょうほうの口元をあげました。

「おじいさんこそ、いさぎよく退いて……」








 8.まとめ







こんにちは、どふぁらずら。

めいわくな老害。

島だと、おうおうにして家長ずら。

んだから、いいづらい。

いさぎよく退くずら。



 

おっと!

こんな人は、めいわくにならないずら。

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