ワクワクするって!
それが人をすきになる、恋ってこと?
本文は:物語風に4分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き
2.むねがくるしくなる
3.ぐうぜんをしんじて
4.うれしくって、きんちょうする
5.しゃべれないから
6.手がふれただけで
7.ふたりに道をあけてくれる
8.まとめ
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
ゴージさんは60才をすぎた、むな毛のはえたおじさん。
ゴージさんのわかいころは、けっこん相手は親がきめて、
恋をする男女なんて、いなかったんだって。
でも、
ゴージさんは恋をした。
2.むねがくるしくなる
道の横にならぶヤシの木のあいだに、海がみえています。
15~16才のゴージがはだしで、ヤシの葉のかげをふみながら、あるいています。
≪どうかきょうは、あの子に会えますように……≫
ゴージがその子を思いうかべました。
≪林のなかでみかけた、かた方の耳にまっ赤なハイビスカスをさしたあの子。頭にしっかりやきついてる。キラキラかがやく黒目、ほっぺやむねを流れるあせまで、うつくしく思えた≫
かた手でオノを持ち、もう一方の手をむねにあてました。
≪どういうわけか、くるしくなるぜ≫
3.ぐうぜんをしんじて
≪くるしいのに、このはずむような気持ちは、なんなんだ≫
ゴージが手のこうで、おでこのあせをぬぐいました。
≪そうか、おれはあの子に会えるかもしれないと、たのしみにしてるってことか――≫
ゴージが足をはやめました。
≪はやくみかけたあたりの林へ、いきたくなる。だけどたまたまを、ねらってるからな。ゆっくりいったほうが、ぐうぜんに出会えるかもしれないんだ≫
ゴージがあるくスピードを、おとしました。
4.うれしくって、きんちょうする
ゴージが海のほうへ顔をむけました。
≪そうだこのぐらい集落からはなれた、人のいないところがいい。白いすなはまにうつる、ヤシの葉のかげに、おれが海のほうをむいて、あぐらをかいてすわる≫
ゴージがまたむねに、かた手をあてました。
≪それでもって、おれの横にあの子がいるんだ≫
ゴージがむねにあてた手を、にぎりしめました。
≪おれはうれしくって、うれしくって、その子のほうをむけない。おれにむいている耳にささった赤い花びらが、風にかすかにゆれているのを、そうぞうしながら、きんちょうしてる≫
5.しゃべれないから
ゴージがむねから手を、おろしました。
≪くっそー、その子の横でおれは、きんちょうしたまま、なにもしゃべれない≫
道がヤシの木のあいだをつづきます。
その先をゴージがみつめました。
≪しゃべれないから、おれは立ちあがって、はしりだす。足をおおきくひらいて、すなはまにしっかり、足あとをつけながら≫
ゴージがかるく、はしりだしました。
≪そうすると、おれからほんのすこしさがって、その子が横をはしってる≫
はしるゴージが、オノを持った手をつきあげます。
≪さいこうだぜ!≫
6.手がふれただけで
≪集落からはなれた、だれもいないすなはまだ。おれはまえをむいてはしりながら、かた手をその子のほうへ、そっとだす≫
道をはしりながら、ゴージがうめきました。
≪うおー≫
ゴージがはしるスピードをあげます。
≪もしもその子が、もしもその子が、おれの手を、おれの手を、とろうとしてくれたら――≫
ゴージがまた、声にだしてうなりました。
≪うおー、おれはどうすればいいんだ。その子がおれの手をとろうと、その子の手がおれの手にふれたら、そのとたんまちがいなくおれは、おしっこをもらす≫
7.ふたりに道をあけてくれる
ゴージがはしるのをやめて、あるきだします。
≪だめだ、だめだ≫
ゴージが首を横にふりました。
≪おしっこをもらすなんて、その子のまえでぜったいに、だめだ≫
ゴージがまた、はしりだしました。
≪すなはまをはしるおれは、おれからすこしおくれてはしる、ハイビスカスを耳にさしたその子を思い、いっしょにはしる≫
はしりながらゴージが、チラッと横をみました。
≪となりにその子がいる、それだけでじゅうぶんだ。すなはまにたくさんいる、白っぽいカニが左右にうごいて、おれたちに道をあけてくれる。さいこうだぜ!≫
8.まとめ
やぁ、どふぁらずら。
わすれられない思い。
そりゃ、うらやましいほどの、ワクワクずら。
おっと!
こっちは、ようすがへんずら。
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