< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.そんなにあまくない
3.八方ふさがり
4.一か八か・だったら確実なほうがいい
5.筋が通ってるようで
6.こんな賭け、これが初めで最後だ
7.自分をしんじて懸ける
8.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
ぼくら子どもは毎日、どんな魚でもいいから食べたい。
魚がなければ、貝とかシャコとかゴカイとか。
そんな魚介もないご飯。
イヤなんだってばぁ。
2.そんなにあまくない
潮が引いてあらわれた干潟を、真っ白な砂からの照りかえしに、目を細めながらあるき、さんご礁まできました。
「こりゃあ参ったな。着くのがおそくて、潮が引きすぎてる」
「うううっ」
うまくしゃべれないどふぁらが、うなりました。
「しょうがないだろう、どふぁらはブタの餌をさがして、林にいたんだから」
丸っこい鼻をしたナコには、どふぁらがなんていったのか、なんとなくわかりました。
「潮にあわせて沖へ移動する。これじゃあもう魚は、あの波のむこうの深い海にいっちまった」
ナコが、さんご礁にあたってくだける白波に、目をむけました。
「うううっ」
「かえってくるのを待てばいいって。理屈はそうでも、そんなにあまくない。おまえそんな漁、やったことあるか?」
どふぁらが首を、横にふりました。
3.八方ふさがり
ナコとどふぁらが、頭上を沖へむかって飛んでいく、白い海鳥の後ろ姿に目をむけました。
「俺たちが魚を獲らないわけには、いかない」
ナコが眉をよせました。
「さぁ、どうする?」
どふぁらへ顔をむけます。
「うううっ、ううう」
「まぁ、深みにのこった魚をねらうこともできるが、たいした量にならない」
どふぁらが干潟の遠くのほうへ顔をむけました。
「うっ、うう」
「そうだな、あっちへいけば深くて魚がいるが、遠すぎる。着いたころには潮が満ちてきてる」
4.一か八か・だったら確実なほうがいい
どふぁらが一方の手を、ナコの肩におきました。
「ううううっ」
ナコが驚いたように目を大きくします。
「おまえ、それじゃあ0か、100じゃねぇか。あたればでかいが、いなかったらどうするんだ!」
「ううううっ」
「ヤシの実の果肉とイモとパンの実を食うってか――。魚介のない飯は、かんべんだぜ。だったらまだ深みで、魚を獲ったほうが確実だ」
「うううっ」
「それでも男かって、そういう問題じゃないだろう。家族の食事が、かかってるんだぞ」
5.筋が通ってるようで
遠くにヤシの木のしげる、平坦な島なみがつづいています。ナコとどふぁらが、しめった砂をふんで、集落へむかいました。
ナコが一方の肩にかけた、魚をおいこむ網のはしを、片腕でおさえています。
「しかし、どふぁらの言い分には、あきれるぞ」
肩に漁獲をいれる布の袋をかけるどふぁらが、ナコをチラッとみました。
「うううううっ」
「うるさい、だまってろ。おまえのいうように、俺たちの家族は、俺たちに懸けてる。俺たちが失敗すれば、食えないからな」
どふぁらが、大きくうなずきました。
「だから俺たちは、自分に懸けなきゃいけないっておまえ、筋が通ってそうで、俺たちが懸けに負けて犠牲になるのは、家族だろう?」
6.こんな賭け、これが初めで最後だ
潮が満ちるのを待ったナコとどふぁらが、浜辺にならぶヤシの木の横を海にそって、静かにあるきます。
「どふぁら、こんな賭けにつきあうのは、これが初めで最後だからな」
「うううっ」
「なんだと、諦めてるのか、静かにしろだと」
「うっ――」
「おっ、そうだ、魚の群れだ。よくいたもんだ!!」
目を丸くしたナコが、静かにいいました。
「砂浜をくだり切るなよ、深い。魚に気づかれるんじゃないぞ」
7.自分をしんじて懸ける
どふぁらとナコが海から顔をやっとだし、片足ですすみながら網をはりました。
砂浜をあがってヤシの木を背にしてしゃがみ、アジの群れのりょう側から網をそっと引きます。
「なん尾かは、網を飛びこえて逃げるだろうが、なぁに肘から指先ほどの体長だからな。大漁まちがいなしだ」
網を引きながら水中のかべをせばめ、どふぁらがナコに顔をむけます。
「ううううっ」
「おまえのいう通りかもしれねぇな。自分をしんじて懸ける。度胸がいるが、たまには必要だな」
ナコが網を引く手に力をいれました。
「気づきやがった。いっせいに魚が散ったぞ。ほら逃げた。どふぁら、しっかり網を引け――」
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
一か八か、自分をしんじて。
負ければ、全員が犠牲ずら。
それでも、
たまには、勇気をだすといいずら。
おっと!
おいらだって、弱気なときがあるずら。
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