ようこそ 冬の大三角形をめぐる旅へ。
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さぁ、ひと息いれて思い描けば、そこは旅先 <はじめての方は>
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広い海へでて、たったひとりの妻のもとへ。
広いヤシ林へはいり、たったひとりの夫のもとへ……。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.たいへんなことが――
3.漁の道具
4.おしえてくれなかったら、わからない
5.妻がはしって
6.広いヤシ林
7.忘れ物
8.帰る場所
9.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、海や林ですっぱだかであそぶ、10才のタウパです。
ずっと昔のこと。
ぼくらの先祖は遠い陸地から、カヌーに乗ってきて島をみつけた。
陸地にのこした人をむかえに帰り、また海をわたって島に帰ってきた。
帰れるって、すごいんだってばぁ。
💦 そのページは、こっち >
2.たいへんなことが――
地面をすり鉢状にほり、そこにならべた枯れたヤシの実の皮が、オレンジ色の炎をあげます。
白い煙が火をつかう小屋の柱のあいだから、外へながれていきました。あぐらをかいて火の面倒をみているお母さんが、煙をおうように視線をはこび、屋根裏に目をとめます。
「えっ! そんなバカな――」
いそいで立ちあがり、軒のちかくの屋根裏へ片手をのばしました。
「やっぱりそうだわ。これがなかったら、漁にならないじゃない」
軒をくぐって外へでると海のほうへいそぎ、砂浜を前にして立ちました。
「タウパ、タウパ、はやくきなさい」
「今、みんなと海であそんでるから」
大きな声が行き来しました。
「いいから、はやくきなさい。ご飯食べれなくなるわよ――」
3.漁の道具
火にむいてあぐらをかいたお母さんを、タウパが前にします。
お母さんがタウパに顔をむけました。
「これをお父さんに持っていって」
片手につかんだ道具をタウパに差しだしました。
「これって岩の亀裂から、タコをひっぱりだす道具でしょう」
「そうよお父さん、島のはんたい側の外海に、タコを獲りにいったの。潮の引いた岩盤をあるいて亀裂をさがして、タコを獲るの」
タウパが道具を受け取りました。
「さぁタウパ、はやくいきなさい。はしってお父さんにおいつくの」
4.おしえてくれなかったら、わからない
「わかった。それでどの道を、いけばいいの?」
お母さんが、ちょっとおどろいたように息をすいました。
「タウパならわかるでしょう。さぁ、はやくいきなさい」
「島のはんたい側ぜんぶが外海なんだよ。この集落からあるいていくところだけだとしても、すっごく広い」
「そんなことわかってるわ」
「だったら道をおしえてよ」
タウパが半歩お母さんにちかづきます。
「お母さん、ほんとうにわかってるの? その広い外海につづく道は、たくさんあるんだ。ヤシ林の中で、何カ所も道がわかれてる。どっちにいったか、おしえてくれなかったら、お父さんがどこにいるかわからないじゃないか」
お母さんが大きく息をはきだしました。
5.妻がはしって
お母さんが立ちあがりました。
「いいわタウパ、わたしにかしなさい」
タウパから道具を受け取ります。
「タウパは火の面倒をみなさい。わたしがお父さんを、おいかけるから」
タウパが目を丸くしました。
「………」
ダボッと作った茶色いワンピースを着たお母さんが、素足で地面をけってはしります。
≪はやくいかないと。だけど、そんなにはやくはしれないわ≫
お母さんが心の中でいいます。
≪はやくなくていいわ。ずっとはしりつづけられるようにしなきゃ≫
6.広いヤシ林
≪集落からヤシ林へはいったわ≫
スラッと伸びるヤシの幹がたちならび、下草が陽光を受けます。
草のあいだを人が踏んでできた道がつづいていました。
≪ホント、道があっちにもこっちにも、枝分かれしてるわ≫
幹のあいだに人丈以上の雑木が茂り、視界を閉ざします。
≪あらあらカニさん、そんなにのんきに道にでてきたら、ふんづけちゃうじゃない≫
お母さんが赤いカニを飛びこしてはしりました。
≪うしろからおいかけてきてた風が、とまったわ。林の奥へはいったのね。いそがないと……≫
立ちならぶ幹が高くのび、その先でひらくヤシの葉が、青空をすかしています。
≪島のはんたい側からふいてくる風を、受けるようになったわ。お父さん、あるいてないかしら≫
7.忘れ物
「あっ、あなた、待ってください」
ふりかえったカタレマが目を丸くしました。
一方の肩に厚手の茶色い布の袋をかけ、腰に茶色い布をまいています。
「母さんじゃないか、どうしたんだ、こんなところへ」
お母さんがカタレマを前にして、立ちどまりました。
「どうしたもこうしたも、ありません」
お母さんが息を切らします。
「あなた、これがなくて、どうやってタコを獲るんですか?」
お母さんが、持ってきた道具をみせました。
「おまえ、それは――。袋の中にはいってるはずだが」
お父さんが肩から袋をおろし、口をひらいて中をたしかめます。
「おれとしたことが、入れ忘れたか!」
8.帰る場所
お父さんがお母さんから道具を受け取りました。
「それにしてもお前、よくおれにおいついたな。毎回ちがった場所へ、むかうからな」
お母さんが顔を、カタレマの顔へむけます。
「わたしはただ、あなたにおいつこうとして、はしってきただけです。あなたたちだって、よくいうじゃないですか。カヌーで海へでて、島がみえなくなっても、島の方向がわかるから、帰れるって」
「それはそうだが、帰る方向がわかるのと、おれの居場所がわかるのとじゃあ、ちがうだろう」
「なにいってるんですか、あなたたち男にわかるんですから、わたしたちにだってわかります。ちっともちがいません。あなたはわたしの帰るところじゃないですか」
9.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
夫婦の証。
おたがいが帰る場所ってか!
仲がよすぎるずら。
おっと!
こっちは、誰だって急ぎたいずら。
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