ようこそ 冬の大三角形をめぐる旅へ。
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さぁ、ひと息いれて思い描けば、そこは旅先 <はじめての方は>
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- 各画像は “自由と願い” の象徴です -
心配で心配で、体調をくずすほど。
やさしい子どもの気持ち、まもってあげたい――。
1.タウパの前書き
2.お父さんが帰ってこない
3.約束を信じてる
4.目をつぶったまま
5.子ども心
6.体調をくずすほど
7.お父さんが大すき
8.カヌーを魚でいっぱいにして
9.大声をひびかせて
10.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、海や林ですっぱだかであそぶ、10才のタウパです。
トールの気持ち、わかるってばぁ。
ぼくもお父さん、大すきだもん。
だけど、
下痢までするかな!?
2.お父さんが帰ってこない
太陽の気配が東の空にうかがえ、木々にかこまれた家の建つ敷地が、うっすらと明るくなりました。
母屋の葉を葺いた屋根のしたで、3人の大人があぐらをかいてむきあっています。
「ひと晩待ちましたが、帰ってきません。うちの人、どうしたんでしょう?」
そういって小学生の息子のいる母親が眉をひそめ、義母が顔をしかめました。
「あの子ならだいじょうぶ。たとえ乗っていったカヌーに、不具合がしょうじたとしても、補強するヒモはいつも持っていってるから、もどってくるわ」
義父が、怪訝そうに首をかしげます。
「ろくにカツオやマグロが、獲れなかったのかもしれない。だとするとカツオやマグロを餌にして、サメを獲ろうとする。サメならいっぴきいれば、食いきれないほどだからな」
義父が背筋をのばし、小さく息をすいました。
「だが、サメはすぐにはあがらない。ひと晩中カヌーがサメに引っぱられ、走りまわることだってある。サメがつかれなければ、しとめられない」
3.約束を信じてる
浜辺にたちならぶヤシの木の横に、母親が海のほうをむいてしゃがんでいます。
「お母さん、お父さんを待ってるんでしょう?」
3年生の息子のトールが、母親の横にたちました。
「お母さんがそんなだと、ぼくまで心配になる」
母親がトールに、笑顔をむけました。
「心配なんかしてないわ。カヌーが帰ってくるの、待っててあげたら、お父さんよろこぶでしょう」
「そうだよね。だってお父さん、ぼくがマグロが食べたいっていったら、任せとけって、笑顔で約束したもん」
母親が笑みをふかめ、トールがうれしそうに微笑みます。
「だからお父さんは、ぜったいにマグロを獲ってくるから」
4.目をつぶったまま
母屋の軒は腰をふかくまげてくぐるほど低く、外がほのかに明るくなりました。屋根の下には床一面に、ヤシの葉をあんだマットがしいてあります。
「もう4日目です」
母親と義母は、大きめにつくった茶色いワンピースを着て、義父は茶色い布を腰にまき、3人ともあぐらをかいています。
「いくらなんでも、サメのせいじゃありませんよね?」
義父が眉のあいだに、ふかいしわをつくりました。
「ああ、ちがう。いくらサメでも、そう何日もカヌーを引けない。2日目と3日目に、集落のカヌーを持ってる者たちが、さがしに海にでてくれたが、みつからなかった」
義父が腕をくみました。
「なにかあったな!」
「そんな、そんなこといわないでください――」
義母が義父の腕を、りょう手でつかみました。
3人の横に、厚手の葉をあんだ寝具がしいてあります。そこにあおむけになったトールが、目をつぶったまま聞き耳をたてていました。
5.子ども心
葉を葺いた屋根が日差しをさえぎり、軒先の地面に影をつくっています。そこに葉をあんだマットをしき、食事をとります。
「あらっ、たちあがってトール、もう食べないの? お魚もおイモも、すこししか食べてないじゃない」
「いっぱい食べたよ。お母さんがみてないだけだから」
敷地からでたトールが道をあるき、人があまりこない砂浜をまえにして、ヤシの木の横に膝をかかえてすわりました。
トールのおでこにあたった風が、前髪をもちあげます。
≪お父さん……≫
心の中でいいました。
≪帰ってくるよね。からなず帰ってくるよね。お父さん、お父さん、お父さん――≫
6.体調をくずすほど
火をつかう小屋から外へでた煙が、木々のあいだに白くたちこめます。
火をまえにしてあぐらをかく母親にむき、義母がたちました。
「どうしたのかしらトールは、母屋に膝をかかえて横になって、ずいぶん元気がないみたいだけど?」
母親が火の面倒をみる棒をおきました。
「食事もあまりとらないし、食べても下痢するみたいで、なんども用をたしに浜にでるんです」
義母が、目を大きくしました。
「まさかトールは父親を心配して、体調をくずすほどだっていうの!?」
「そうだと思います。帰ってくるから心配ないとは、つたえているんですが……」
7.お父さんが大すき
トールが用をたして母屋へもどり、トールのひいおじいさんが、トールに手招きしました。
「こっちにきなさい。ここにすわるんじゃ」
ひいおじいさんの腰にまいた茶色い布からでるりょう膝と、膝小僧をつきあわせるように、トールがあぐらをかきました。
ひいおじいさんが、満面の笑みをトールにむけます。
「トールおまえは、おまえのお父さんが、大すきなのか!?」
トールがうかない顔でうなずきました。
屋根裏へ顔をむけたひいおじいさんが、大声をたてて笑います。
笑顔のまま顔をおろし、トールと目をあわせました。
「いいかトールよく聞くんじゃ。おまえのお父さんは、海をよくしっとる。そしてカヌーをあやつるのが、うまい。どうじゃ、そのぐらいおまえも知っとるじゃろ?」
トールが小さくあごを引き、その頭をひいおじいさんがなでました。
8.カヌーを魚でいっぱいにして
ひいおじいさんが、トールの頭から手を引きます。
「おまえのお父さんは、魚をつかまえる道具を持ってカヌーに乗っとるじゃ。じゃから食べるものにはこまらん。ひとりで腹いっぱい魚を食べとる」
トールがわずかに首をふります。
「だけど飲みものがないよ。持っていったヤシの実は、3個だけだし」
ひいおじいさんが、しっかりあごを引きました。
「雨がふるじゃ。雨水は井戸の水よりも、ずっとうまい。それにカツオやマグロからは、血がたくさんでる。うまいぞ。心配ないじゃ」
うなずいたトールにひいおじいさんが、満面の笑みをむけました。
「それでもってトール、おまえのお父さんは、気持ちがつよい。なにがあっても、負けん。なぁに、もうすぐカヌーを魚でいっぱいにして、帰ってくるじゃ」
9.大声をひびかせて
母屋の軒先に、ヤシの葉をあんだマットをしき、食事をします。
「お母さんはトールが食べるのを、ちゃんとみてますからね」
魚をかんでいるトールが、緑色の葉にのったおイモをとり、それをかじりました。
ほほをモグモグ動かしながら、母親に笑顔をむけます。
「あらっ! ずいぶんよく食べるわねぇ」
トールが焼いた魚から身を大きくはがし、それをほおばりました。
あぐらをかいたまま背筋をのばし、母親にむかってお腹をつきだします。
「わかったわ、トールのいうとおり、お母さんがみてなかったのね」
トールがたちあがりました。
「友だちみんな、林であそんでるから、ぼくもいってくる」
トールがはしりだしました。
「トール、高い木から飛びおりるときは、気をつけるのよ」
「わかった――」
大きな声を、木々のあいだにひびかせます。
10.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
子ども心、大すきなお父さん。
おいらも、
こんなに思われる、お父さんになりたいずら。
💦 トールのお父さんのその後は、こっちずら >
おっと!
こっちは、忙しいずら。
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