バカ、って言うほうが、まだましかも?
本文は:物語風に5分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き
2.体に、みんなとちがうところがある
3.相手をきずつけるためだったら、もっともっと最低
4.言われた人の気持ちを思うと
5.とりかえしがつかない
6.自分がひどすぎて、だれにも言えない
7.自分では、どうにもできない
8.体の、ほんの少しのちがい
9.まとめ <禁句>
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
言う前にわかれば、とめられるんだけどなぁ。
口からでた言葉は、消せないし、もどせない。
だから、
ぜったいに言ったら、ダメなんだってばぁ。
2.体に、みんなとちがうところがある
小学校から道にでると、子供たちがふた手にわかれます。
道をどちらに歩いても、ヤシ林をしばらくいくと集落にでます。
体の大きなガギを、小がらなルイトが走っておいかけました。
「待ってよ。なんであんなこと言うんだ。ガギといっしょに、いたずらするのすきだけど、あんなこと言うガギは、最低だ。ケンカしたからって、いくらなんでも、言わない」
「なんのことだよ」
「ケイクの体が、みんなとちがうことだよ」
ガギが、顔を横にむけました。
「ルイトが言ったんだろう。ちがうのは少しだから、ケイクは気にしてないみたいだ、って」
「だけどそのあとぼくは、ケイクはなんとも思ってないふり、してるのかもしれない、って言ったし。ガギだって、自分が言われたら、いやだって――」
「頭にきたんだ、しょうがねぇだろう」
「だからって、ガギがそんなこと言うヤツだって思ってなかった。そんなヤツだったのか。みそこなったよ。ぼく、ケイクのとことへもどるから」
ふりかえったルイトが、走りだしました。
3.相手をきずつけるためだったら、もっともっと最低
「くっそ――」
ガギが道をおれ、ヤシの木のあいだの草むらを走ります。
≪そうだ。そうだった。ルイトの言うとおりだ。自分が言われたらいやだって、オレは――≫
心のなかで言ったガギが、はまへ飛びだしました。
立ちどまったかと思うと、そこに両ひざをつきます。
≪どうしてオレは、そんなこと――。頭にきてケイクをきずつけようとしたなら、ほんとにオレは最低だ。最低のなかの最低だ≫
前に両手をつき、いっぽうの手がすなをたたきます。
4.言われた人の気持ちを思うと
ルイトがガギの家のたつ、しき地へ入りました。
葉でつくった屋根を前にして、両手をひざにつきました。
「おばさん。ガギは?」
ルイトが目を大きくしました。
「えっ、もしかして今日も!」
家のなかから、お母さんが答えます。
「お父さんが言ってもきかないわ。ルイトからも、おりるように言ってくれる」
ルイトが、体をおこしました。
≪もう3日目じゃないか……≫
しき地をヤシの木がかこい、その1本です。
ルイトが登っていき、葉のしんに手をかけました。
「ガキ、今日は学校へいこうよ」
ガギが葉の根元に、ひざをかかえて座っています。
「いつまで、そうしてるんだ――」
下をむいたまま、答えません。
「もう、しょうがないなぁ。じゃあ、ぼく、いくからね」
5.とりかえしがつかない
ヤシの木は高く、空にいるようです。
夜になるとたくさんの星が、すぐそこにありました。
ガギが話しかけました。
「ケイクにあやまったら、またケイクが、いやな思いをするよな?」
星が、まばたきするように、光ります。
「オレのこと、小学校で見るだけで、いやな気持ちになるよな?」
星が流れ、光をつよめて消えました。
「なにもできないじゃないか。オレは、なんてことを……」
6.自分がひどすぎて、だれにも言えない
つぎの日、小学校はおやすみです。
ガギの家の前に、ルイトが立ちました。
「おばさん、ガギ、木の上にいないみたいだけど」
「おなかがすいたみたいね。だけど食べたらすぐ、出ていったわ。あの子、なにがあったのかしら?」
「どっちへいったんですか?」
「あまり人のこない海のほうじゃないかしら」
7.自分では、どうにもできない
ルイトがはまに立ちました。
みちしおと、引きしおがあります。
海がうごき、ずっとおきへ引いています。
白いすなの海ていがひろがり、ルイトが目をほそめました。
≪あれだ。あれがガギだ。あんなところに――≫
ずっと遠くに、あおむけになっているすがたをみつけました。
≪ガギ、つらいんだろうな……≫
ガギに背をむけたルイトが、ヤシの木のあいだへ入りました。
8.体の、ほんの少しのちがい
白いすなの海ていをふんで、おきへむかって歩きました。
そのいっぽうの足のつま先が、内がわへむいています。
肩がゆれ、歩きかたが少しへんでした。
ガギがあおむけになって、目をつぶっています。
「ほんとだ。顔とか、体とか、やせちゃったみたいだ」
目をあけたガギが、上半身をおこします。
「どうしてここに――」
「ルイトに教えてもらった」
ガギがケイクにむいて、あぐらをかきました。
「考えても考えても、どうしていいかわからなくて。ほんとうに、ごめん。オレがわるかった」
ケイクの目が、ほほえんでいます。
「ガギのほうが、つらかったんじゃない?」
9.まとめ <禁句>
やぁ、どふぁらずら。
体に、みんなとちがうところがある。
ケンカしても、どんなに頭にきても、
ぜったいに言っちゃいけない、
禁句ずら。
おっと!
体に、みんなとちがうところがあったって、おなじずら。
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