いただきます・ごちそうさま。
どんな意味があるんだろう。
注:
本文は:物語風に5分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き <自分で殺さないから、うらやましい>
2.カメの味はブタににてる・ますます食べたい
3.なみだを流しながら卵をうむ・カメは人間とおなじ
4.自分で育てて殺すから・かわいそう、もうしわけない
5.泳いだりねむったり食べたり・みんなできなくなる
6.人間が生きるために、うしなわれる命に感しゃ
7.命をありがとうございます
8.まとめ <育てたりとったりした人と、つくった人へ感しゃ>
🍓 それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き <自分で殺さないから、うらやましい>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
いろんな国のみんなは、
殺さなくていいから、いいな。
ここは、
自分でやらないと、
食べられないんだってばぁ。
2.カメの味はブタににてる・ますます食べたい
タウパが小学校から、帰りました。
家の横に、立ちます。
「どふぁら兄ちゃん。もしかしたら、どふぁら兄ちゃんが、カメをさばくの?」
海のほうへ、歩いていたどふぁらが、ふりむきました。
「うううっ、うっ」
しゃべれないどふぁらが、うなります。
それが、なんて言ったか、タウパにはわかりました。
「うん、食べたい、食べたい。ブタは、けっこん式やおそう式、なんかのときにしか、食べられないから。カメは、味もかんだ感じも、ブタに、にてるんだってばぁ」
タウパが急いで、せい服の短パンを、ぬぎました。
それを家の中へほうり、すっぱんぽんで、走りだします。
「いつも、魚ばっかりだから、べつのものが食べたいし」
タウパが、どふぁらの横を、歩きます。
「そのべつのものが、おいしかったら、ますます食べたくなるし」
ヤシの木のあいだに、海がひろがっています。
3.なみだを流しながら卵をうむ・ カメは人間とおなじ
どふぁらとタウパが、ヤシの木の前に、立ちました。
ヤシの葉のつくるかげに、カメがあおむけになっています。
こうらの長さが、1メートルぐらいありました。
「食べたいけど、カメをみたら、かわいそう」
タウパが、あごを小さくひきました。
「カメの目、ぬれてて、ないているみたいだ」
丸くて大きな、黒いひとみです。
「イルカとカメは、人間と、おなじなんだってばぁ」
島の人はみんな、そう言います。
「カメは、はまにあがってきて、なみだを流しながらたまごを、たくさんうむんだよ。うまれた子供たちは、いっしょうけんめいに、はまを歩いて、お父さんやお母さんのいる、海へかえるんだ」
そんな様子から、カメを人間のように、思うのかもしれません。
「あっ、カメが、水をかくみたいに、4つの足を、ゆっくり動かした」
4.自分で育てて殺すから・かわいそう、もうしわけない
島では、放しがいにしているニワトリや、かっているブタを、殺します。
どふぁらがかた足をひき、顔を家のほうへむけました。
「うううっ」
「うん、家の人は、もうしわけないって、ニワトリやブタとおなじように、カメを殺したくないみたいだからね」
どふぁらが、カメにむきました。
≪だからって、きのうからこのままじゃ……≫
心の中で言いました。
どふぁらの顔を、タウパがみあげます。
「ねぇ、いろんな国のみんなは、自分で殺さなくて、いいんでしょう。それでも、ニワトリやブタを、食べられるんでしょう」
「うううっ、う、ううっ」
「そうだよね。自分で育てたり、殺したりしないと、もうしわけないとか、かわいそうとかって、あんまり思わないかもね」
どふぁらが、タウパに顔をむけます。
「うううっ」
「へぇ~、ウシっていう、ブタよりでっかい動物も、食べるんだ!」
5.泳いだりねむったり食べたり・みんなできなくなる
カメがまた足を、水をかくように、ゆっくり動かしました。
どふぁらが、かた手を強くにぎりました。
食べるためにつかまえた、ニワトリやブタの、はげしいなき声です。
カメのひとみのおくから、聞こえてくるようでした。
≪カメが、心の中でないてるずら……≫
タウパがカメに、目をむけたまま言いました。
「カメって、なかまといっしょに、海を泳ぐんでしょう。サンゴのあいだでねむると、安心なんでしょう。エビやカニを、モリモリ食べるんでしょう」
≪それが、みんなできなくなるずら≫
どふぁらがまゆげを、グイッとよせました。
6.人間が生きるために、うしなわれる命に感しゃ
「うわっ、カメがいきおいよく、足を動かした。まるで海の中を、泳いでるみたいだ!」
タウパが目を、丸くしました。
どふぁらがかた手を、タウパの頭に、おきました。
「うっ、うう」
「うん、島では、食べる前と食べた後に、ありがとうございます、って、お礼を言うよ」
どふぁらがこしを落とし、かた方のひざを、すなにつきました。
かた手でカメのあごを、つかみます。
≪食べる前後にいうお礼は、こうしてたつ、命にたいしてになる。人間が生きるために、うしなわれる命に、感しゃするずら≫
7.命をありがとうございます
「ううっ」
タウパが、顔をおおった両手を、おろします。
どふぁらが、立ちあがりました。
ちのついたナイフを手に、ヤシの木の横を歩きます。
はまをくだり、海へ数歩入りました。
≪命よ、どうかこのうつくしい空間へ――≫
どふぁらが、一方のうでを、いきおいよくふりました。
カメの頭が、水平線へむかってとびます。
タウパが両手で、口をかこいました。
「命を、ありがとうございます」
8.まとめ <育てたりとったりした人と、つくった人へ感しゃ>
やぁ、どふぁらずら。
食べる前と後に言うのは、お礼だけずら。
「命を」
とは、島では言わないずら。
んだから、
言わないだけで意味は、
「命をいただきます。命をごちそうさま」ずら。
そこに、
食材を育てたり、とったりした人と、ごはんをつくった人へ、
感しゃをこめて、
「いただきます、ごちそうさま」ずら。
おっと!
やさいやくだものにだって、命がある。
んだから、
おいしく食べられるように育つ。
生きてるずら。