せんぷう機のおくる微かな風が、心地よくかんじられますように……。
＜ 本文は：物語風に３分 ＞
目次
１．タウパの前書き ＜毎日が猛暑＞
２．猛暑での肉体労働
３．熱中症の一歩手前
４．腹いっぱい食べて入浴
５．いつまでも入っていられる水温
６．リラックス
７．体から熱を、ゆっくりにがす
８．ほうけるほど入浴
９．アホウになるまで
９．まとめ ＜ほうけられる水温＞
のしげる島 ―１．タウパの前書き ＜毎日が猛暑＞
こんにちは、島に住む１０才のタウパです。
ぼくは一年中、
スッポンポンであそんでます。
太陽の光がつよくて、島はあついんだってばぁ。
猛暑日っていうのが、島は毎日なんだって。
だから、
どふぁら兄ちゃんは、習慣にしてる。
ねむりやすくなるんだって。
２．猛暑での肉体労働
心の中で、ぼやきました。
≪まったく、はこびづらいずら≫
どふぁらが一方の肩に、切りだした枝を１０本ほどかつぎ、ヤシ林をあるいて集落へむかいます。
≪ひものかわりを作って、枝を束ねればよかったずら。おいらはまだまだ、修行がたりないずら≫
どふぁらが腰にまく茶色い布の、腰の部分が汗でぬれ、ぐるりと色を深めています。
≪暑いずら。熱中症になりにくい体になったとはいえ、この暑さは堪えるずら≫
３．熱中症の一歩手前
集落が近づき、子どもたちが木々のあいだを走っています。
≪あいつらは、さすがずら。島で生まれ育っただけのことはある。暑さなんてへっちゃらずら≫
「あっ、どふぁら兄ちゃん」
タウパが走る方向をかえ、どふぁらを前にしました。
「あれっ！ どふぁら兄ちゃん、顔が赤いよ」
≪なぬっ、血管がふくらんで、熱をさげてくれていたとは！≫
どふぁらが手の甲で、額の汗をぬぐいます。
≪あぶないところずら。熱中症ずら≫
４．腹いっぱい食べて入浴
夕焼けがきえていき、星がかがやきはじめました。
どふぁらが、浜をくだって海へ入ります。
≪すこし食いすぎたずら。入浴の前に、夕飯をしっかり食べる。これが肝心ずら≫
海はほぼ毎日、風呂のようにおだやかでした。
腰ぐらいの深さへきて、うしろへそっとたおれました。
≪電気のない島の就寝ははやい。海からあがったら、井戸で潮をながして寝るずら≫
５．いつまでも入っていられる水温
≪夜、心地よくねむるには、海でほうける、これが重要ずら≫
顔と、両方の手の甲が、海面からでています。
≪心地いい水温ずら。いつまでも入っていられる。これが肝心ずら≫
島の大人たちは、海に長くいません。
どふぁらの体が島にもっとなじんだら、島の人のように夜の海が、冷たくかんじるのかもしれません。
≪おいらは、この入浴が大好きずら。ときどきこうして腰をおとして肩までつかり、筋肉をもんだり、ストレッチをしたりして、疲れをとるずら≫
６．リラックス
歌声が聞こえてきました。
声をかけあうほど近くではありませんでしたが、どふぁらと足をそろえるようにして、海に入った４０代半ばの、すこし腹のでた男です。
≪男が、ひざを折って肩まで海につかり、体を手でこすりながら、歌ってるずら≫
低いのによくとおる歌声です。
≪そうずら。このバックミュージック、最高ずら。じっくり聞かせてもらうずら≫
うしろへそっとたおれました。
７．体から熱を、ゆっくりにがす
どふぁらが目をつぶりました。
≪男の歌声が、空間をつたわってくるようでも、海中をひびいてくるようでもあるずら。いいずら。体にしみるずら≫
男は、葉を三角にあんだ帆に風をはらませ、カヌーを走らせる漁師の心情を、歌っています。
♬ 海のむこうへ島影が消える。
空と海が丸くひろがって、香ってくる、香ってくる。
島にさく花の香り。
家族を思い、漁師が風に語りかけます。
８．ほうけるほど入浴
≪雲が、男の歌を聞いてるずら≫
強くかがやく星をすかす、うすい雲です。
≪歌にあわせて、ゆっくり進んでるずら≫
歌声を、浜にならぶ幹が、跳ねかえしています。
≪錯覚するずら。指揮者ずら。雲がリズムをとってるずら≫
黒い海にういています。
≪ぜいたくな、客席ずら≫
９．アホウになるまで
雲がいってしまいました。
≪まだ、男の歌がひびいてるずら≫
視線のさきには、星空がひろがっています。
≪帆が風をうけ、舳先から白いしずくがあがってるずら≫
空を、カヌーが走ります。
漁師の手から帆へつづく縄が、途切れんばかりにかがやいていました。
男が海からあがったあともどふぁらは、心ゆくまでカヌーをおいかけました。
９．まとめ ＜ほうけられる水温＞
こんにちは、どふぁらずら。
体から熱を、ゆっくにがす。
冷たくかんじたら、水温が低いずら！
ほうけられる、水温がポイント。
ほんだら、
せんぷう機の微風が、すずしいずら。
よくねむれるずら。
おっと！
熱中症になりにくくするのは！
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