まったくもぉ、この子ったら――。
だけど、がまん、がまん。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き <自分の思いで行動するのがいい>
2.みんなとあそぶのが、子どもの仕事
3.生きものだから・言わないわけにはいかない
4.とうとう罰則が!
5.親はなにも言わずに・がまん、がまん
6.無理強いはナシ・子どもを信じて
7.人の痛みがわかる
8.人の気持ちがわかる
9.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <自分の思いで行動するのがいい>
こんにちは、島に住む10才の、タウパです。
小学校に、
新しいルールができた。
そんなのあってもなくても、
ぼくらは自分の思いで、行動するのがいいんだってばぁ。
2.みんなとあそぶのが、子どもの仕事
「タウパ。タウパ」
お母さんの大きな声が、ヤシの木のあいだから、海へひびきます。
「タウパ、聞こえないの? やることやってから、あそびなさい」
タウパが島へむき、両手で口をかこいました。
「いま、みんなであそんでるから。ちょっと待ってて」
浅瀬で子どもたちがはしゃぎ、はねあがる水しぶきが、日ざしをうけて輝きます。
「ブタがかわいそうよ」
タウパがピタッ、と動きをとめました。
「みんな、ごめん、すぐもどってくるから」
3.生きものだから・言わないわけにはいかない
海からあがったタウパが、砂浜をかけあがります。
≪そうだった。ブタに水をあげるの、わすれてた。のどがかわいて、ブタがこまってる≫
地面に丸く穴があき、井戸へ土がくずれ落ちないように、平たい石が縁をかこっています。
タウパが、石の上にたちました。
2メートルほどのひもの先に、ひときわ大きなヤシの実の殻が、さがっています。
それを井戸へおろし、水をくみあげました。
その姿を、母屋の床に座ったお母さんが、軒ごしにみています。
≪まったく、タウパったら。ブタは生きてるんだから、言わないわけにはいかないわ≫
4.とうとう罰則が!
小学校の教室は、葉をふいた屋根を角にたつ柱がささえ、地面にヤシの葉をあんだマットが、しいてあります。
そこにあぐらをかいた生徒が、まえかがみになって手にした鉛筆を、ノートに走らせました。
授業がおわり、帰りのホームルームです。
横に長い黒板が、3本の足にささえられ、そのまえに30才ぐらいの女の先生がたちました。
「国語の授業では単語の練習、算数の授業では計算の練習、それぞれ宿題がでています。みんないい、明日から新しいルールがはじまるのよ。宿題をやるの、わすれないでね」
≪そっか、明日からか!≫
タウパが心の中で思います。
≪宿題をやるとしたら、暗くなるまえか、明日の朝、太陽がのぼってからだ≫
5.親はなにも言わずに・がまん、がまん
家に帰ったタウパが、制服の茶色い短パンをぬぎ、すっぱだかで外へとびだします。
「お母さん、ブタにお水をあげたから――」
タウパが海のほうへ走ります
のぼった木から海へとびこんだり、林の中でかくれんぼをしたり、林から海へ、海から林へ、みんなで走っているだけでも、楽しいです。
翌朝です。
両足をいっぺんに、短パンにとおしたタウパが、たちあがりました。
「そうだった。宿題していかないと、今日からグラウンド10周、走らないといけないんだ」
お母さんが「まぁ」というように口を動かしました。
≪せめて、宿題をやってくれないかしら。自分からやってくれると、いいんだけど……≫
6.無理強いはナシ・子どもを信じて
タウパが、宿題をやっていないのに気づくと、
「じゃあ、今日もグラウンドを走るのね。走るのがはやくなりそうね」
と、お母さんは、心の中で拳をにぎりしめたり、別の日には、
「いっぱい走ったら、ヤシの実のジュースが、おいしいでしょう」
と、ほほ笑みながら、歯を食いしばったりしました。
≪無理強いはしない。自分でみつけるのよ、大切だと思うもの。タウパならきっとだいじょうぶ≫
7. 人の痛みがわかる
学校から帰ったタウパが、床におしりをつき、両足いっぺんに短パンをぬぎます。
お母さんが、軒をくぐって入ってきました。
「今朝、遅刻したでしょう」
「えっ! どうしてしってるの?」
「辛そうにしていたおばあさんを、友だちといっしょに家まで、つれていってあげたんでしょう。おばあさんのお家の人が、お礼にきたわ」
「そうなんだ」
タウパが、母屋をとびだします。
「ブタのお水は、あげてね」
≪人の痛みが、わかるようになったらいいけど……≫
8.人の気持ちがわかる
タウパが小学校からもどりました。
お母さんが床にあぐらをかき、葉をあんで寝具のマットを作っています。
「あらっ、どうしたの、おそいじゃない」
「帰るまえに教室で、宿題やった」
お母さんが、目を大きくしました。
「どうしたのタウパ、えらいじゃない」
「でも、半分しかやってないし。今朝、今日もグラウンドを走るのね、って言ってるときのお母さんの、眉毛のあいだのもりあがりが、強くにぎってる拳にみえたんだ」
「まぁ」
≪宿題は半分で、じゅうぶん。人の気持ちがわかるほうが、ずっといいわ≫
9.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
子どもが、のびのびと育つ。
親のがまん。
たいへんずら。
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