やつあたりの前に、家族やまわりを思いやって。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き <どなり声だけで、めいわく>
2.不満が生じる
3.蓄積する不満
4.家族やまわりを思って対処
5.わかっていても・ついやつあたり
6.とってもいい憂さ晴らし
7.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <どなり声だけで、めいわく>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
島の家には、壁がありません。
だから大声をだすと、
まわりの木々のあいだへ響きます。
女の人の声、男の人の声、
ものすごく怒ってると、こわいんだってばぁ。
2.不満が生じる
ヤシの木とパンダナスの木のあいだでした。
お母さんのイキキが、ヤシの葉をあんだマットにあぐらをかき、両腕を前後に動かしています。
つかんでいるのは、大人の背丈より長く、手のひらほどの幅の、細長い葉でした。
地面にさした棒にこすりつけ、丸みをのばします。
「屋根をふきかえるころになると、毎日のように材料をつくらなくちゃいけないから、ほんとたいへん」
そこは日中、木陰になりますが、夜は月光がさえぎられます。
影の外が、月のあかりにてらされていました。
「なによこの葉、かれ落ちてから、ずいぶん経ってるじゃない。こんなの使えないわ」
横に、16~7才の長女が集めてきた葉が、むきをそろえて積まれています。
「これもダメ、これもだわ、まったく、あの子ったら、これじゃあ作業が、はかどらないわ」
屋根材は、たいらにした部分を、ヤシの葉の芯におり重ねて、つくります。
3.蓄積する不満
東の空が、うっすらあかるくなったころ、林へ入りました。
涼しいうちに作業をし、陽光が木々のあいだから差しこみます。
人のふみかためた道がつづき、イキキが数百枚の葉を頭にのせ、集落へむかっていました。
細長い葉を細長い葉でギュッ、としばり、片腕をあげておさえています。
「結局、私がやらなきゃいけないんだから。あの子ったら、まったくも~」
スラッとのびあがった幹の横を、落ちてきたヤシの葉が地面にあたり、騒々しい音がたちました。
「なんなのよ、ヤシの葉っぱまで。私に自分でやれっていうの」
イキキが頭を横にたおし、葉のたばを無造作に落としました。
「しかたないわねぇ」
ヤシの葉は芯の両側に、何枚もの細長い葉が、ならんでいます。
細長い葉の芯は竹ひごのようで、たいらにした葉をヤシの葉の芯に、とめるために使います。
片手にたばねて持ち、葉を頭の上にのせて、歩きだしました。
4.家族やまわりを思って対処
イキキの着ている茶色いダボッとした服の、首のまわりが汗で色を深めていました。
竹ひごのような芯をにぎった手で、額をぬぐいます。
「このまま家にもどったら、長女にあたりちらしちゃうわ。長女だけじゃなく、だれかれかまわずに、なるかもしれない」
集落が近くなり前方で、人のふみかためた道が、ふた手にわかれています。
「あたりちらせば、わたしの憂さは、晴れるかもしれないけど、まわりが嫌な思いをするわ」
自分の家とは、違うほうへつづく道を、選びました。
「不満がたまってるのが、わかってるんだから、なんとかしなきゃ」
5.わかっていても・ついやつあたり
「おお、イキキじゃないか」
イキキが立ちどまり、横をむきました。
「あらっ、あなた。漁からもどったのね。おつかれさま」
夫が、イキキの頭の上と、芯をにぎった手に目をむけました。
「おまえこそ、がんばったじゃないか」
イキキの目の色が、かわりました。
「がんばったじゃないわよ。まったく、あの子ったら、ちゃんと作業をしないで、どれだけ私が、たいへんだと思ってるのよ。あなたがあの子を、あまやかすからでしょう。漁へいったって、ろくに魚を獲らないくせに。娘のしつけぐらい、ちゃんとやってください」
夫が目を丸くしました。
横に立ついっしょに漁へいった男が、背負った布の袋をイキキにむけました。
「ろくに獲らないって、そりゃあないだろう」
袋が漁獲で大きくふくらんでいます。
イキキはそれに目をむけず、頭から葉のたばを落とし、手に持った芯をたばにたたきつけました。
「長女にとりにこさせてください。私は家にもどりませんから」
イキキが歩きだしました。
6.とってもいい憂さ晴らし
お昼近くになって、イキキが家にもどりました。
母屋の軒をくぐり、屋根のしたに入ります。
「あなた、さっきは、ごめんなさい。不満がたまってて、いいすぎたわ」
夫が樹液の入った殻のうつわを前におき、あぐらをかいていました。
「どうしたんだ、泥だらけじゃないか?」
「ライラと遊んでたの。はやいわねぇ、もう一才半よ。歩きだしたばかりで、私のことおいかけてくるの。必死によ。ひとしきりにげたらつかまって、おおげさにころぶの。地面を思いっきり、ころげまわって、それをまたライラが、走っておいかけてくるわ。くるったみたいに笑い声をあげながら。それでつかまるのよ。私にのりかかってくるから、立ちあがってだきあげるの。高くあげると、手足を思いっきり動かしながら、奇声をあげてよろこぶのよ。地面におろして、また、私がにげるの、も~、楽しくって、楽しくって、とまらないわ」
夫がほほえんでいます。
「いい憂さ晴しになったようだな」
「長女には、おだやかに話すわ」
7.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
家族やまわりを思いやる。
いい憂さ晴らし、
できるといいずら。
✨どふぁらのページの紹介 ↓ ↓