いいあえるのは、暮らしに余裕があるから?
好む好まないにかかわらず――。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.女友だちに、奥さんが嘆く
3.男友だちに、ぼやく旦那
4.もうがまんできない――
5.非難の応酬
6.長老が一喝
7.いやがおうでも協力
8.共同作業
9.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
こんなお父さんとお母さんだったら、
結婚なんて、
したくなくなるってばぁ。
おじいちゃんと、おばあちゃん、
自分たちも昔、おなじようだったのかな?
2.女友だちに、奥さんが嘆く
パンの木の枝葉のあいだから差しこんだ光が、道に白っぽくゆれていました。
ふたりとも手にしたホウキを地面につき、むきあってたっています。
「もちろんよ、誰だってそうでしょう。選べないわよ、いやだともいえないわ。親にいわれるままに、結婚するでしょう」
ケナノは、嫁いで12年たちました。
「そりゃあ、誰の親だっておなじでしょう。そのときは、いい相手だとおもうはずよ」
そういったケナノが、つづけて嘆きます。
「10代だったからねぇ、男の良し悪しなんてわからないわよ。てきぱき仕事ができるってきいたけど、そんなのさいしょだけよ。あんなグズ、視界にいれるのもごめんだわ」
3.男友だちに、ぼやく旦那
白い砂の干潟をおおうのは、さざ波すらない透きとおるようなブルーの海です。
ふたりならんで海面を、お腹でおして歩いていました。
「叔父がうちの親に勧めるのをきいたんだが、器量がよくておとなしい、よく気の利く娘だっていってたんだ」
魚をおいこむ網を、いっぽうの肩にかけているのは、ケナノの夫のグースです。
「そりゃあ、結婚したてのころは、俺もそうおもったさ。まぁ、器量はともかくとしてな」
そういったグースが、つづけてぼやきます。
「それが今じゃ、気が利くどころか、俺の顔をみれば、不満ばかりいってくる。あんなのと、これから先もいっしょにいるとおもうと、たまらなくてな……」
4.もうがまんできない――
葉をふいた屋根のいっぽうが地面のちかくまで傾斜して、そのしたに積まれた燃料になる枯れたヤシの実の皮を、雨からまもります。
火をおこす小屋の柱のあいだから、白い煙が外へながれていきました。
ケナノがあぐらをかいて、火の面倒をみていました。
「まったく、なんなのよ、身が少ないわりに、さばくのがめんどうなんだから。薄っぺらい魚、ばっかりじゃない」
ケナノが火にくべようと、ヤシの実の皮へ手をのばしました。
「あらっ、いやだ、ぬれてるわ。もう、頭にくるんだから――」
勢いよくたちあがりました。
5.非難の応酬
ケナノが腰を深くまげて、母屋の軒をくぐります。
「ちょとあなた、まだ屋根をなおしてないの、雨がもるじゃない。グズなんだから――」
夫のグースが、横になったまま体をケナノのほうへむけました。
「あなたのとってくる魚だって、ろくでもないし――」
「なんだと――」
グースが、あぐらをかきます。
「おまえが、魚をさばくのが、へたなんだろう」
「へたとはなによ、食べごたえのある魚を、とってきてからいいなさいよ」
6.長老が一喝
「男のくせに、やくたたずなんだから」
「やくたたずは、おまえだろう」
「ちょっとあなたたち、おやめなさい。ふたりとも最近、へんよ」
おばあさんが、ふたりのあいだにたちました。
「おじいさんが、耳障りですって。今日からつぎの満月まで、島の先端へいってくらしなさいって」
グースとケナノが、床のはしにあぐらをかく祖父に、顔をむけました。
長老のいうことは、絶対です。
7.いやがおうでも協力
集落からとおく、はなれています。
浜へでて、いっぽうへ歩けば、潮がひくと干潟になる海へ、もういっぽうはリーフの縁で、波がくだける外海でした。
「あなた、こっちよ、こっち」
ヤシの木のあいまに、雑木がしげっています。
グースが、緑色の若いヤシの実をかかえて、声がするほうへ歩きました。
「おっ、おまえにしちゃあ、いいところをみつけたじゃないか、雑木にかこまれた草むらか、もう寝床ができてるのか!」
「おまえにしちゃあとは、なによ。わたしはグズグズしてないもの、あたりまえじゃない、もう日が暮れるのよ。あなたがヤシの木にのぼるから仕方ないじゃない、わたしは枯れたヤシの葉を集めたわ。これだけ重ねれば、寝心地がいいはずよ」
「まったくなぁ、とげとげしい言い草は、よせ。明日、このうえに屋根をつくるぞ。今日は、この実の樹液と果肉を腹にいれて、ねむるとしよう」
8.共同作業
「おっ、穴をほる殻を、ふたつみつけてきたのか!」
「あなたが、柱にする枝を用意してるから、柱をたてる穴をほると思って、とうぜんでしょう。こっちの穴は、このへんでいいわよね?」
「ああ、はやく終わらせて、昼前には魚をとらないとな。ヤシの実だけじゃ、もたん」
6本の柱がたちました。
「柱にわたす枝、もってきたわ」
「おまえ、気が利くじゃないか」
「あなただって、手際がいいわ。ねぇわたし葉をあんで、逃げこむカゴをつくるから今夜、ロブスターを獲りましょうよ。せっかっく、リーフがすぐそこなんだし」
「そりゃあ、いい考えだ。おまえが構えるカゴに、俺がきっちりロブスターを、飛びこませてやる」
9.まとめ
倦怠期。
おじいさん、さすがずら。
協力しないわけには、いかないずら。
長年よりそった夫婦に、すぐにもどる。
ほんでもって、
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