まいったときに、思いだせるといいな、目標。
< 本文は:物語風に4分 >
目次
1.タウパの前書き
2.大人にまざり、はじめての作業
3.身も心もはずみます
4.つかれがでてきた
5.つかれ果てて
6.どこかへいってしまった目標
7.日常にもどり思いだす
8.目標を忘れなければ
9.目標に支えられ
10.うまれた自信
11.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
ぼくたち子どもは、目標なんてなくたって、がんばる。
でもないと、
簡単に、いやになったり、あきちゃったり、するのかもしれない。
目標に力があるなんて、まだよくわからないってばぁ。
2.大人にまざり、はじめての作業
ヤシ林を背にして、グラウンドをかこむように、小学校の教室があります。
その建てかえをしている、10人ほどの男たちのリーダーでした。
「俺たちは日がのぼるまえから作業をしてる。ここから、ここまでだ」
太陽を指さし、動いたあとの位置をしめしました。
「ゆっくりやすんで、そのあとまた、たのむ」
リーダーのやさしそうな目が、ハベモにむきました。
「休憩にはいるが、おまえはそのあいだに林へいって、材料を切りだしてくれ」
ハベモは、細身の16才の青年です。
はじめて、ベテランの大人たちといっしょに作業をします。
背中をピン、とのばしました。
「わかりました。まかせてください」
3.身も心もはずみます
一軒建てると、一軒解体します。
≪よし、二軒目にはいった。作業の段取りがつかめてきたぞ≫
ハベモが心の中でいいました。
解体した場所の、片づけを終えます。
ハベモの声が、はずむようです。
「日中、みんなが休憩してるあいだ、ぼくが林にはいって、材料を集めます」
男たちがハベモに、笑みをおくりました。
4.つかれがでてきた
林のなかの木陰です。
「ふ~~~」
大きく息をはきだしたハベモが、片手にオノを持ったまま、りょう手を膝につきました。
≪からだが重いな……≫
ハベモは毎日、日の出まえから日が暮れるころまで、がんばりました。
手首ほどの太さをした枝の一方を地面につけ、枝をまわしながら枝にオノをすべらせます。
「できるだけうすく、できるだけうすく……」
口ごもった言い方でした。
「皮をのこさない。皮をのこさない……」
ブツブツ言っています。
5.つかれ果てて
翌朝ハベモは起きられずに、おくれて作業に参加しました。
木陰にたって枝の皮をむきながらまた、ブツブツ言っています。
翌日、自宅の母屋でお昼ちかくになって、目を覚ましました。
葉をあんだマットが床一面にしかれ、厚手の葉であんだ寝具にねていました。
上半身をおこします。
「ぼくまた、起きられなかったんだ」
姉がまえにたち、りょう手を腰にあてました。
「からだがこわれるわ。もう作業にいくのやめなさい」
6.どこかへいってしまった目標
食事をとったハベモが、海辺に腰をおろして、ヤシの木によりかかりました。
≪作業、このままやめちゃっていいのかな……≫
「ハベモ」
声をかけてきた姉が、横にたちました。
「お父さんが、火をつかう小屋を修理するんだって。明日でいいから材料、用意してほしいって」
「明日って、小学校の作業が!」
「もう、やめなさい。だからお父さんが、たのんだんでしょう」
7.日常にもどり思いだす
木陰にたったハベモが、枝にオノをすべらせています。
≪また、こうして材料を集めたり、漁へいったり、家の仕事をするのかぁ……≫
草の先がゆれ、ハベモのすねに、風があたります。
≪あの子たち、どうしてるかなぁ≫
建て替えをする男たちといっしょに、現場を確認にいきました。
ハベモが、3年生の教室をまえにします。
地面にしいた葉をあんだマットに、子どもたちがあぐらをかいて、歌っていました。
≪ちがう、子どもたちの顔がちがう――。集落であそんでる明るい表情に、真剣さがまざってる。目が輝いてる――≫
子どもたちの視線にあわせるようにハベモがしゃがみ、子どもたちが背筋をのばします。
はじけるような歌声を、全身でうけました。
ハベモが片手を、つよくにぎります。
≪ぼくは、この子たちの教室をつくるんだ。最高の教室にする≫
8.目標を忘れなければ
≪いつ、忘れたんだろう。あの気持ち?≫
草の先をゆらす風が、ハベモのすねにあたります。
≪新学期にあたらしい教室で、勉強する子どもたちをみにいくの、楽しみにしてたのに≫
かついで帰った材料を、火をつかう小屋の横におろしました。
「ぼく、明日また、小学校の作業へいくよ」
あぐらをかいた姉が棒を手に、火の面倒をみています。
「どうして――」
「だいじょうぶだよ。つぎからは子どもたちの顔を、忘れないようにするから」
9.目標に支えられ
日の出まえから男たち全員ではじめた、林での作業を終えました。
ほんの少しのあいだだけ、日差しをやわらかくかんじます。
小学校へはいり、男たちが材料をおろし、木陰に腰をおろしました。
ハベモがたったまま、胸をはりました。
「もう作業を、休みたくありません。日中の林での作業、へらしてもいいですか?」
ハベモへむいた男たちの顔が、ほほえんでいます。
「ここにいるみんなも、おまえとおなじころは、そうだった。よくやった。ひと皮、むけたな」
10.うまれた自信
林にしげる木々のあいだが、明るくなってきました。
茶色い布を腰にまいた男たちが、汗をながしています。
ひとりの男が、オノを持った手をとめました。
「ハベモ、おまえなんだか、からだがひとまわり、でかくなったみたいだな」
別の男が、かがめた腰を起こしました。
「枝とオノのあつかいも、板についたみたいじゃないか」
ハベモが額の汗を、手の甲でぬぐいます。
「みえるんです。背筋をのばして歌う、子どもたちの顔が――」
11.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
目標っていい。
支えてくれる。
ほんでもって、輝かせてくれるずら。
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