便利な物に、かこまれているのに、忙しい。
便利な物が、なんにもないのに、忙しい。
< 本文は:物語風に2分 >
目次
1.タウパの前書き <女の人も海へ漁にでる>
2.子どもをふたりつれて漁場へ
3.ピクニックのようだけど、生活がかかってる
4.おてつだいに飽きてきて
5.響きわたる怒鳴り声と泣き声
6.砂をころがる歌声・貝をさがしはじめた小さな手
7.まとめ <お母さんは必死>
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <女の人も海へ漁にでる>
海の漁は、男の人だけじゃない。
女の人もする。
貝やゴカイを獲るんだってばぁ。
男の人といっしょに、魚を獲りにいくことだってある。
そんなときには、
赤ちゃんは、いっしょにいけないけど……。
2.子どもをふたりつれて漁場へ
白い砂の干潟が、ひろがっていました。
ダボッ、と茶色い服を着たお母さんの、あぐらをかいた足のうえに、6カ月の女の子があおむけになっています。
太陽を背にして女の子に日影をつくり、ときおり潮だまりから海水をすくって、赤ちゃんの初々しい肌をしめらせながら、指先を海藻の根につっこんで、二枚貝を獲っていました。
大人の指の長さほどの平べったい海藻が、干潟に帯状につづいています。
2才の女の子が、みつけた貝をもってきます。
ヤシの葉をあんでつくったカゴに、入れました。
お母さんが、ニコッとします。
「ふたつも獲れたのね、じょうず、じょうず」
長女がはだしで、しめった砂をふんで、走っていきます。
3.ピクニックのようだけど、生活がかかってる
お母さんがあぐらをかいたまま、おしりをあげて移動しました。
「今日の夕飯は、イモのほかに、干した魚とこの貝だけだから、たくさん獲らないと。おじいさん夫婦は、ほどほどにしてくれるけど、ほかの者は大食いだから、たいへん」
自分の住む集落からとなりの集落のほうへ、ヤシの木のあいだを通る道をすすみ、ヤシの木のあいだから浜へでて、干潟を沖へあるいたところに、座っています。
顔をあげると、白い砂の海底からもりあがった砂浜に、ヤシ林がのっているようです。
島が、弧をえがいてつづいていました。
「集落から浜へでれば、遠くにわたしたちがみえるわ。義理の弟が、貝をはこびにきてくれるはずなんだけど。ちゃんと気にしてくれてるかしら……」
集落のほうへ、目をむけました。
ヤシがしげり、集落があるようには、思えません。
4.おてつだいに飽きてきて
「はい、はい、またふたつみつけたのね、じょうずねぇ」
長女が、二枚貝をカゴに入れました。
貝は、大人のとっても大きな手の人さし指と親指で、円をえがいたぐらいの大きさをしています。
「あらあら、貝を獲らないのかしら。飽きちゃったのね」
長女がお母さんのあぐらをかいた足に、足をのせてお母さんの肩によじのぼろうとします。
「ダメよ、じゃましないで、貝を獲ってきて、はい、いってちょうだい」
長女をおろしますが、長女がまた足にのります。
5.響きわたる怒鳴り声と泣き声
「もうすぐ海がもどってくるから、それまでに貝をたくさん獲らないといけないの」
お母さんがりょう手を、長女の脇のしたにいれました。
「おねがいだから、ひとりであそんでて」
長女がまた、お母さんに足をかけます。
「いいかげんにしなさい――」
大きな声が響きました。
長女の泣き声がつづきます。
6.砂をころがる歌声・貝をさがしはじめた小さな手
お母さんの手が次々に、貝をカゴにいれていき、しりもちをついたような格好で泣く長女の声が、しめった砂にすいこまれていくようです。
お母さんが、二女を足にのせたまま移動し、やさしく息をすったかと思うと、歌いだしました。
歌声を、しめった砂にそっとのせるようです。
歌声が砂をころがり、りょう手が海藻の根元をあさります。
長女が泣くのをやめ、よつばいになってすすみました。
よつばいのまま、片手が貝をさがします。
≪ありがとう。こんなふうにしか、あそんであげられなくて、ごめんね≫
歌声を奏でる胸中からでした。
7.まとめ <お母さんは必死>
こんにちは、どふぁらずら。
あそびのような、貝とり。
んだが、
生活が、かかってる。
子どもたちをつれて、お母さんは必死ずら。
おっと!
そんなたいへんなときに、生まれるずら。
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