幸せすぎて怖い・襲う罪悪感:志があれば




*目にやさしい背景色を使用*











幸せすぎて……。

そんなときが、ずっとつづくといいですよね。








< 本文は:物語風に4分 >


目次

1.タウパの前書き <元気なのに、ときどき暗くなる>

2.歌声のパワーと美しさのなかで

3.全身でだきしめる・網にかかったサメ

4.朱色の空のもとで汗をながし

5.ぜいたくしてバチがあたる・不安は志へむかうことで

6.もしも罪悪感を持っていると・怖いどころじゃなく、どん底

7.幸せを力に・志がささえる

8.まとめ<罪悪感があってもなくても>








それでは、物語のように、どうぞ















- そこは、さんご礁にかこまれたのしげる島 -








1.タウパの前書き <元気なのに、ときどき暗くなる>


こんにちは、島に住む10才のタウパです。

どふぁら兄ちゃんは、いつも元気。

だけど、ときどき悲しそうにする。

ハンモックや高床にすわって、海をみてる。

その目に、

なみだがうかんでる、ことがあるんだってばぁ。

















 

2.歌声のパワーと美しさのなかで

集会場の屋根は、学校の体育館を思わせるおおきさです。

屋根の傾斜をとちゅうでささえる柱が、床に幅をあけてならび、長方形をえがいています。

その内側に、30人ほどの大人の男女が、円の中心へむいてあぐらをかき、自分たちの歌にあわせて、肩をゆらしていました。

あぐらをかく者のあいだに、茶色い布を腰にまいたどふぁらが立って、歌声に負けるものかと、おどります。

≪この熱気、さいこうずら。あぐらをかいて歌っているのは、30代から50代が中心、体格のいい者がおおいずら。そのあいだに立つのは、おいらのほかにもうひとり。70才前後のこがらな女性が、茶色いかみぶくろから頭と腕をだしたようなふくを着て、おどってるずら≫

その姿を、視界のすみにいれていました。

≪わたしについてこられるかと、おいらに言わんばかりだ。あぐらをかく者のあいだは狭く、膝から上をつかって、がむしゃらにうごくおいらとちがって、女性は海にいるシャコや、浜にいるカニのうごきをまねたり、ヤシの果肉をけずる動作を醸すずら≫


















3.全身でだきしめる・網にかかったサメ

どふぁらの胸を、汗がながれています。

≪さすがずら。よく練習してるだけあって、歌声は、合唱団の美しさそのものずら。それがまるで野外コンサートの、スピーカの前にいるみたいな、パワーでつたわってくる。人間の生のパワーと声の美しさが、おいらのからだにはいって、全身をつきうごかすずら。こんなからだくれてやる。勝手にうごきやがれ、歌声を全身でだきしめてやるずら――≫

どふぁらが、おどる女性のほうへ、むきました。

≪こがらな女性は、おいらに笑みをみせて、よゆうずら。おいらはまだまだ、女性のような味はだせない。女性は、歌声にのせられず、これだけの歌声を、手の平でころがすかのように、からだのうごきが優雅ずら。うまい! おっ、今度は真顔になって、腰をすこし落としたかと思うと、腕をシャコのカマのように、こっちへ素早くうごかし、まるで昆虫のカマキリが、おいらをつかまえようとしてるずら。挑発してくる。おいらは網にかかったサメのごとく、あばれてやる。人間のパワーと美しさの融合、こんなぜいたくにつつまれて、負けるか――≫

おどるふたりに対抗するように、歌う者たちが背筋をのばします。

















 

4.朱色の空のもとで汗をながし

家のたつ敷地のまわりに、ヤシの木がならんでいます。

≪あ~食った、食った。おおぜいで食う飯は、うまいずら。それにしても、なん曲おどったことか……≫

どふぁらが、井戸を丸くかこむ石に立ち、丸い木製のうつわで水をくみました。

≪楽しかったずら。つわものずら。あのおばぁさん、やるずら。おかげで、なにもかも頭のなかから、すっとんじまった。スッキリして気持ちいいずら≫

井戸から、はなれるように歩きます。

空が、ヤシの葉にかこまれていました。

≪太陽がしずむ。空に朱がひろがってるずら≫

上へむけた顔へ、水をこぼします。

≪なんばい浴びても、つめたくて気持ちいいずら。朱色の水浴びずら。水でぼやけて朱が、白っぽくなっちまった≫

井戸のわきに立つ棒に、ひと際おおきなヤシの実の殻のうつわを、ひっかけました。


















5.ぜいたくしてバチがあたる・不安は志へむかうことで

高床から足をおろしてすわりました。

床のはしを、両手でつかんでいます。

≪海面に、空の朱がのこってるずら≫

ヤシの木のむこうに、波のない海原がひろがっています。

≪汗をながしたからだに、かすかに吹いてくる風が、気持ちいいずら≫

水平線のうえに、星が光りました。

≪力強い光りずら。おばぁさんや歌う者たちの、心のかがやきを思わせる≫

海面から朱がきえ、海に夜がおとずれます。

≪こんなぜいたくな日をすごして、バチがあたるずら……≫

空をうつす海に、星が光りだしそうです。

≪幸せすぎて怖くなる……≫

こんな日々をおくったら、と不安になりました。

≪バチは勘弁ずら。あたらないように明日からまた、作業をがんばるずら。おいらは身も心も、島にとける。志へむかうずら≫

不安を志が、うちけします。



















 

6.もしも罪悪感を持っていると・怖いどころじゃなく、どん底

どふぁらが視線を、すぐまえの地面に落としました。

≪幸せすぎて怖いなどと、おいらは愚かずら≫

どふぁらの目に、なみだがうかんでいます。

≪カタレマやナコには、いつか話すといってある。おいらは傷心を、かかえてここへきた。罪滅ぼしのさいちゅうずら。幸せをかんじてる場合じゃ、ないずら≫

落ちたなみだが、砂に染みていきます。

≪それなのに、それなのに、幸せすぎて怖いどころか……。高い木から落ちてきたヤシの実が、脳天にちょくげきして即死。アホな死にかたが、にあってるずら。こんなやつ、生きてる価値がない。気持ちがしずむずら。まっ暗けの、どん底ずら……≫

鼻を強くすすりました。


















7.幸せを力に・志がささえる

水平線のうえに光る星をみつめました。

≪美しいずら。島の者たちの心のかがやきずら。落ちこんでなんて、いられないずら。くっそ~、負けるものか。なにがあったって、志さえあれば――≫

ヤシの木のあいだに、ひろがる海面に、星がいっぱいです。

≪なんてぜいたくな、光景ずら。その光のなかを吹いてくる、この風にだかれながら、今夜もねむるずら≫

床のはしをにぎるりょう手に、力がはいります。

≪おいらは、かならず、かならず、なってやる。島の人のように、強く優しい心に――≫








8.まとめ <罪悪感があってもなくても>







こんにちは、どふぁらずら。

罪悪感があって、どん底。

なくて、

幸せすぎて怖い。

どっちだとしても志が、ささえてくれるずら。




おっと!

罪悪感、少しは軽くなるずら。

・薄れない後悔 >








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