その価値をしらないから、師匠なんじゃない。
本文は:物語風に5分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き<食べるなかで、シャコ貝のつぎに大きい>
2.黒ひげは真珠貝
3.大人の手とおなじぐらいの大きさ
4.めちゃくちゃおいしい
5.これこそブタに真珠
6.島の人は、価値をしらない
7.しぜんにできた宝石・買ったら高い
8.価値をしらない人たちが、師匠
9.青い空にかがやく
10.まとめ <真珠のように美しい>
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
シャコ貝は、大人でもはこべないぐらい大きい。
それをのぞくと、
島で食べる二まい貝のなかで、いちばん大きいのは!
黒ひげ。
黒い色をして、まわりにひげみたいなのが、でっぱってる。
おいしいよ。
2.黒ひげは真珠貝
家のゆかは、大人のこしぐらいの高さでした。
そこに、海のほうをむいて、よこになっています。
「どふぁら兄ちゃん。おきてる?」
すっぱだかのタウパが、歩みよります。
「黒ひげ、食べたいって、たのんでたんでしょう」
どふぁらが、おきあがりました。
こしに茶色いぬのをまいています。
「うううっ」
しゃべれないどふぁらが、うなります。
それがタウパには、なんていったかわかりました。
「うん、とれたって。ワーイ! はやく食べたい。そういえば、黒ひげのことを、どふぁら兄ちゃんは、真珠貝っていってたよね」
どふぁらがはだしで、地面にたちました。
3.大人の手とおなじぐらいの大きさ
ヤシ林のまえに家がたっています。
大人のひざぐらいの、高さのゆかでした。
40才ぐらいの男のスイガが、あぐらをかいています。
「おお、どふぁらにタウパ。とれたぞ、とれた。ほら」
スイガが、黒ひげを手にしています。
「今、とってきたばかりだ」
どふぁらとタウパが、スイガのよこにすわりました。
黒ひげは、大人の手の平と、おなじぐらいの大きさです。
「ちょっとまってろ。今、食わせてやるから」
スイガがナイフを持ちました。
4.めちゃくちゃおいしい
白っぽい身が、ぎん色のお皿にのっているようです。
身のしたへ、スイガがナイフをいれました。
「よし、これでひと口でいける」
どふぁらが、受けとりました。
貝に口をちかづけ、ズルッとすいあげます。
口のなかに、潮がひいたときのさんご礁のかおりが、ひろがりました。
「うっうう」
「めちゃくちゃうまいって! あっ、ぼくのぶんも、ヤッター。スイガおじさん、ありがとう」
5.これこそブタに真珠
スイガがうれしそうです。
「よし、もうひとつ食え」
スイガが、貝をひらきました。
「おっ、こりゃあいかん。かんだら歯がかける」
スイガがなにかを、貝の身からはずします。
「石だ、石。ときどきはいってる」
スイガがそれを草むらへ、ほうり投げました。
≪なぬっ! も、もしかして、そ、それは――≫
タウパが、どふぁらの顔をみます。
「どふぁら兄ちゃん、どうしたの?」
「ううう」
「ふ~ん。なんでもないんだ」
6.島の人は、価値をしらない
パンの木の、えだや葉っぱが、トンネルをつくる道です。
どふぁらのよこを、タウパが歩きます。
「ねぇ、これがどうしたの?」
スイガのすてた石が、タウパの手のひらにのっています。
「ううう」
「うん、どふぁら兄ちゃん、おどろいた顔したから、ひろってきた」
どふぁらが、グイッとあごを引きました。
≪宝石の、真珠ずら。持ってきたら、どろぼうずら。んだが、島ではだれも、価値をしらない。おいらもしらないことに、しておきたかったずら。んだが、すてちまうスイガの大たんさに、びっくりしちまったずら≫
7.しぜんにできた宝石・買ったら高い
「ねぇ、どふぁら兄ちゃん、これがどうしたの。なんかいってってばぁ」
どふぁらが、まゆ毛をよせました。
≪こまったずら≫
タウパが真珠ののった手を、どふぁらにちかづけました。
≪こら、やめろ。のどから手がでる。しぜんにできたこの宝石は、買ったらめちゃくちゃ高いずら≫
どふぁらが顔を引きました。
≪手をだして、ふところにいれたいずら。真珠が、大金や高級車にみえる。おいらはまだまだ、しゅ行がたりないずら≫
8.価値をしらない人たちが、師匠
≪その価値をしらない島の人たちが、強くやさしい心を持った、おいらの師匠ずら≫
「ううっ」
「きけんな毒って、これが?」
≪そうずら、しゅ行中のおいらには、毒ずら≫
頭のうえから木のえだや葉っぱが、なくなりました。
ヤシの木のあいだをいくと、海です。
「ううっ、ううう」
「わかった。だったら、すごく高いヤシの木にのぼる」
どふぁらが、すなはまへでました。
9.青い空にかがやく
ヤシの木にのぼったタウパが、葉のしんにたちます。
どふぁらが、ヤシの葉のつくる黒いかげに、はいりました。
「どふぁら兄ちゃん、いい、投げるよ。思いっきりいくからね」
どふぁらが、空をあおぎます。
≪おいらには、毒ずら。んだが、あれは――≫
真珠が、青空へむかっていきます。
≪あれは、島の人たちの心ずら≫
太陽のひかりを受けて、かがやきました。
10.まとめ <真珠のように美しい>
やぁ、どふぁらずら。
ブタに真珠。
その物の価値がわからないと、そういうずら。
しらないのを、バカにした言葉。
島の人たちのことずら。
んだがその心は、
真珠のように美しい。
どふぁらのページの、あっちやこっちのすみっこで、
かがやいてるずら。
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