< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.ふたり乗るのが精いっぱい
3.漁に夢中になる
4.くらべてもわからない
5.どうしてわかる?
6.決まったことはない
7.受け継がれているとしたら!
8.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
ぼくら子どもも、そんな感覚をもってるのかな?
だったら大人になって、
ひとりで海へでても、安心なんだってばぁ。
2.ふたり乗りのカヌー
釣り糸をにぎるうでに、力をいれます。
「ううっ!」
うまくしゃべれないどふぁらがうなり、トージが手にした縄をゆるめカヌーをとめました。
トージは、どふぁらよりひとまわりほど年上の40代です。
どふぁらがうしろをむいて、トージとむかいあうように、船体にあぐらをかき、ふたりともりょう膝を海のうえにつきだしています。
カツオをV字をした船底に横たえたどふぁらか、ニワトリの羽と真珠貝からつくった疑似餌を海へほうり、トージが帆に風をはらませました。
3.必死に漁をして
小魚をおって勢いあまったカツオが宙へ飛びだし、小魚をくわえた海鳥が海面をわって舞いあがります。
どふぁらが釣り糸をたぐりよせました。
小魚の群れをおって鳥山がうごき、その横へカヌーをはしらせながら漁をつづけます。
また、船底にカツオが横たわり、トージが帆をあやつる縄を引きました。
「じゅうぶんだ、漁はしまいだ。帰るぞ」
4.くらべてもわからない
どふぁらがすわりなおし、進行方向にむきました。
≪なぬっ、まさか?!≫
心のなかでいったどふぁらが、水平線へ目をこらします。
≪くっそー、気づかなかったずら。島がきえちまった。みわたすかぎり海、海、海ずら。なんてこった!≫
いそいでふりかえりました。
≪どうして?! なにくわぬ顔をして、カヌーをはしらせてるずら≫
どふぁらが、むきなおります。
≪この先に島がある。トージには、それがわかるってか――≫
どふぁらが水平線をみつめました。
≪なにがある。どこがほかとちがうずら?≫
顔を横へむけて目をこらし、ふたたび前をむきます。
≪う~~~~。おいらには、ちがいがわからないずら≫
5.どうしてわかる?
≪あっ、あれはもしかしたら! 水平線にほこりが積もったような影が……≫
どふぁらが息を呑みました。
≪影が濃くなって……、まちがいない。島ずら≫
ふりかえります。
≪どうして島のほうこうがわかるずら!≫
「うううっ、ううう」
トージが笑みをうかべました。
どふぁらが前をむき、舳先がりょう側へあげる小さな水しぶきが、音もなく海へかえりました。
6.決まったことはない
漁の取り分をもって家に帰ったどふぁらが、井戸でからだから潮をながし、母屋へはいります。
茶色い布を腰にまいたロボイアが、あぐらをかいてヤシの実の殻のうつわを手に、ヤシの樹液をのんでいました。
ロボイアはトージのさらに10才ほどうえになり、どふぁらの父親にあたります。
どふぁらがうなりながら近より、あぐらをかいてむきあいました。
ロボイアが微笑みます。
「なぁに、島へもどるのに、これといって決まったことはない。ヤシの木のあいだから空へたちあがる白い煙が、みえるという者がいれば、子どもたちのあそぶ声が、きこえてくるという者がいる。魚のこげる腹のすく、たまらないにおいがしてくるという者だっている」
どふぁらがつよく首を横にふりました。
≪そんなはずないずら≫
たちあがり母屋からでて、海のほうへあるきます。
7.受け継がれているとしたら!
砂浜を前にしてヤシの木の横にたちました。
茶色い犬が首をたれて、浜をあがってきます。
≪上目づかいでみやがって、おまえまでおいらをバカにするのか≫
どふぁらの足にからだをこすりつけるようにして、犬が敷地へはいっていきました。
≪うっ!≫
どふぁらがりょう目を大きくします。
≪もしかしてもしかしたら、ロボイアのいったのは、どれも本当のことずら≫
どふぁらが眉をつよくよせました。
≪たとえが人によってちがうだけで、どの人も自分のかえるほうこうがわかる。感覚をもってるずら≫
どふぁらが首を、ゆっくり横にふりました。
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
感覚、受け継がれているとしたら!
空や海や島。
自然と暮らしてきたから、薄れないのかもしれないずら。
おっと!
こっちも、もっていたずら。
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