老いても忘れない:我が子をだいた思い




*目にやさしい背景色を使用*











子は親に、伴侶は伴侶に、望むのかもしれない。

もっと生きていてほしい。








< 本文は:物語風に2分 >


目次

1.タウパの前書き

2.ふたりで天国へ

3.老いても忘れない

4.赤ん坊より世話がやける

5.頭がおかしくなって3日

6.青白い光

7.まとめ








それでは、物語のように、どうぞ















- そこは、さんご礁にかこまれたのしげる島 -







1.タウパの前書き


こんにちは、島に住む10才のタウパです。

ときどきいる。

朝になっても起きない人。

ねむってるんじゃなくて、死んでる!!

びっくりするんだってばぁ。

 
















2.ふたりで天国へ

母屋へもどったタウパの曽祖父のガテが、妻のメレーをまえにあぐらをかきました。

「ジゲをやさしい男ってわかっても、自分の亭主だってことは、わからない。家族のことも自分のこともみんな、わからなくなっとる。朝目が覚めたら、突然にじゃ」

メレーがおどろいたように、あごをひきました。

「当人のボロにしたらとんだ災難ですけど、それでも亭主のやさしさが、心にのこっていれば、難なくいっしょに林の奥へ、はいれるじゃないですか」

ガテが小さく息をはきました。

「ああ、ジゲは心得とるじゃ。ボロをつれてふたりして天国へいく」


















3.老いても忘れない

母屋の床には一面に、ヤシの葉をあんだマットがしかれ、枯れて茶色くなっています。

「新月の夜まで、待つんでしょうかねぇ?」

「新月は、理想じゃ。たいして暮らしの役にたてなくなった年よりが、家族の負担にならないように逝く。よゆうのある者の理想じゃ」

「海での漁や林のイモ畑での、食べる物の作業は、骨が折れますからねぇ」

「自分たちの分を、家族に誕生した新しい命の成長に、まわしたくなって当然じゃ」

「わたしたちに赤ん坊ができたころは、その子のためなら目でも心臓でもあげられましたからねぇ」

「その思いは何十年たったって、どの年よりもかわらん」

💦 命の成長のためのページは、こっち >

 
















4.赤ん坊より世話がやける

「昨夜は、たいへんだったそうじゃ。今、ジゲと話してきた」

ガテは痩せた体に、茶色い布を腰にまいています。

「ボロがどうかしたんですか?」

メレーは茶色い布で、大きめにつくったワンピースを着ています。

「ああ、夜中にいなくなって、ジゲがひとりでさがしたそうじゃ。そしたら半島のうらの浜で、まだあたたかい犬のフンを、りょう腕になびっていたじゃ」

メレーが、まぁ、というように口をひらきました。

「幸い海が満ちてたから、いっしょにはいって体をあらってやったそうじゃ」

「頭のおかしくなった年よりは、それこそ歩きはじめた赤ん坊より大人の分、世話がやけますからねぇ」

「ほっつき歩かれて、なにかされるのもこまるし、ところかまわず用を足して、汚れるのもかなわん。そのくせ食うのは一人まえ以上じゃ」


















5.頭がおかしくなって3日

夕暮れにガテが、葉をふいた屋根の軒をくぐって、母屋へはいりました。

「ボロの容態に、変化がなかったじゃ。家族にはいわずに、夜中にそっと家をでるそうじゃ。ジゲはわしとおなじ歳で70すぎじゃ。どうじゃ、道のそばまで、みおくりにでようじゃないか」

「そうですねぇ、おじいさんより少し若いわたしとボロは、同年代ですし」

深夜、敷地の門柱のようにたつパンの木の、枝葉の下にならんでたちました。

「木漏れ日のように道にところどころ、夜空からの光が青白くうつって、きれいですねぇ」

「ふたりがきたじゃ。ボロが先にたってジゲの手をひいとる」

「あらっ、ボロの顔に光があたって、なんて幸せそうなんでしょう」

「あんな顔されたら辛いだろうに、ジゲ、微笑んどるじゃ」


















6.青白い光

ガテとメレーが、パンの木のあいだから道へでました。

「ボロがおどるように舞いながらジゲの手をひいて、ふたりの後ろ姿、とっても素敵ですねぇ」

ガテが、深くうなずきました。

「おじいさんとわたし、頭が少しでもおかしくなったら、相手につたえる約束、ちゃんとまもってわたしたちも、いっしょにいきましょうね」

「ああ、頭より先に歩けなくなるなら、そのまえにじゃ。おまえも、ボロのようにわしの手をひいてくれんかのう?」

「ボロよりもっと、おどけてみせます。あっ、ふたりにまた、光があたりました」








7.まとめ







こんにちは、どふぁらずら。

老いても忘れない、我が子をだいた思い。

愛がふかい。

それは暮らしが、きびしいからかもしれないずら。



 

おっと!

こっちは、会えるずら。

・澄みわたる >








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