不満だったら、かえてみるといいかもしれない。
あたりまえが、ありがたく思えるかも?
< 本文は:物語風に4分 >
1.タウパの前書き
2.みくらべたら、あーイヤだ
3.白い目と羨望の眼差し
4.うらやましがられる目
5.わるくないじゃない
6.おなかいっぱい
7.もしかしたら幸せ?
8.見方をかえたら寛容に
9.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、海や林ですっぱだかであそぶ、10才のタウパです。
ぼくのお母さんが、お父さんを悪くいうの、きいたことがない。
お母さんは、お父さんをすきだと思う。
お母さん、
お父さんの見方、かえたかもしれないんだってばぁ。
2.みくらべたら、あーイヤだ
となりの家とをへだてる小さなヤシ林にむき、30すぎの母親のスズがたちました。
隣家からちかいヤシの木をまえにして、となりのご主人が木をみあげます。
≪あっ、こっちのヤシの木には、うちの旦那が――≫
心のなかでいったスズが、両手を口にあてました。
≪イヤだわ、これじゃあ、なにがなんでもみくらべるようじゃない。さっそく旦那がのぼりはじめたわ。それでほら、となりのご主人も……≫
両手を口にあてたまま、ほれぼれするような目をしました。
スズが顔を自分の旦那にむけ、その顔をグシャッとしかめます。
≪だらしなくでっぱったお腹で、だらしないのぼりかたをして、みていられないわ。あらっ、となりのご主人たら、もう上までいって。それに引きかえうちの旦那ときたら、あーイヤだ。ぐずったらありゃしないわ≫
3.白い目と羨望の眼差し
スズが火をつかう小屋で、火をまえにしてヤシの実にすわり、漁からもどった旦那に目をむけました。
「ほら、おまえたち、今日もお父さん、魚をたくさん獲ってきたぞ」
9才の女の子と、7才と5才の男の子がはしりよりました。
「わーい、みせて、みせて」
お父さんが肩から布の袋をおろし、口をひらきました。
「ほら、みてごらん、焼いたらおいしいぞ」
スズが白い目で旦那をみます。
≪どうせ、そんなにたくさん獲れてないくせに≫
視線を隣家へうつしました。
≪おなじ日におなじ潮で漁へいって、となりのご主人ときたら、ほら、かえってきた。茶色い布のふくろが、背中でふくらんでるわ。おおちがいじゃない≫
羨望の眼差しをむけます。
4.うらやましがられる目
スズが地面にしいたヤシの葉のマットにあぐらをかき、二枚貝の片割れをもって、魚のウロコをとばしました。
≪どうしたって、うちの旦那にくらべて、となりのご主人のほうがいいのに、となりの奥さんときたら、わたしがうらやましいって、できることならうちの旦那と、自分のご主人をとりかえたいって……≫
スズがうれしそうに口元をあげます。
≪となりの奥さんを、ずっとうらやましいと思ってたのに、そんなこといわれたら、うれしいじゃない。どうしょうもないと思ってた旦那なのに――≫
スズが魚をひっくりかえしました。
≪わたしも、うらやましがられるような目で、旦那をみてみようかしら……≫
💦 旦那をとりかえたいページは、こっち>
5.わるくないじゃない
旦那が井戸をまえにしてたち、手にしたひもを勢いよく引きました。あがってきた大きなヤシの実の殻をつかみます。
井戸に背をむけてあるきながら、頭から水をこぼして体から潮をながします。
≪ぬれた髪がつぶれて頭をおおって、どうみたって……≫
スズがかしげた首をもどし、あわてたようによこにふります。
≪ダメよ、ダメダメ。旦那のいいところをさがさなきゃ≫
ウロコをとばしながら、旦那に目をむけます。
≪そうねぇ、下の息子が旦那のよこにたって、いっしょに水をあびてる。子どもたちが、慕ってるところかしら……。子どもたちの面倒も、みてくれるし≫
スズが手もとの魚に視線をおとし、うれしそうにほほをゆるめます。
≪それって、あたりまえかもしれないけど、わるくないじゃない……≫
6.おなかいっぱい
ヤシの葉の芯をしきつめた床は、大人が腰かけやすい高さでした。家の軒先にヤシの葉のマットをしき、あぐらをかいて食事をとります。
長女が葉をあんだカゴから、イモをつかみました。
「お母さん、こうしておイモをたべるでしょう。かんでるうちに、魚の身にすこし多めに塩をつけて、口にいれるの」
長男が、つづけていいました。
「そうしたらまた、おイモをひと口かむんだよ」
次男が、口の中のものを飲みこみます。
「多めに塩をつけると、たくさん魚があるみたいで、おなかがいっぱいになる」
次男がつきだしたおなかに、両手をあてました。
「ほらっ!」
7.もしかしたら幸せ?
高床に厚手の葉をあんだ寝具を、ならべてしいてよこになりました。
お父さんとお母さんが両端で、そのあいだに3人の子どもがねむります。
≪魚がたくさん獲れなくても、漁へいって子どもたちが毎日、おなかいっぱいになる。その子どもたちを旦那と、守るようにあいだにいれてねむる≫
スズが顔をあげ、旦那のほうをみました。
≪おいしくたべて、こうして家族でねむれる。そんなのあたりまえのことだけど、旦那がこの人だから、できるのかもしれないわ≫
スズが顔をおろしました。
≪もしかしたらわたし、幸せなのかな……≫
8.見方をかえたら寛容に
ねむろうとしたスズが、たくさんのヤシの葉が、はげしくこすれあう音をききます。
≪風がつよくふいたあとに、雨がくるわ。すぐにいっちゃうけど、ふきこむからスダレをおろさなきゃ≫
軒下に折りたたまれた、ヤシの葉でつくったスダレをおろしました。
≪さぁ、雨音につつまれて、わたしもねむりましょう≫
大粒の雨が、屋根の乾燥した葉をたたきます。
≪あらなにっ! つめたいじゃない。まったくこのあいだ旦那が、雨漏りをなおしたばかりなのに。へたくそなんだからぁ≫
スズが片手でぬれた足をなでました。
≪でもいいわ。雨のあとは気持ちのいい風がふく。ぬれた肌がひんやりするわ。屋根はもう古いから応急処置じゃなく、そっくりふきかえないとダメね。旦那のせいにしてないで、わたしも林にはいって材料をあつめて、屋根材をつくらなきゃ。屋根のふきかえ、いそがしくなるわよ――≫
9.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
見方をちょっとかえたら。
あたりまえを、ありがたく思えた。
幸せかもしれないずら。
おっと!
こっちの見方は、どうずら?
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