いっしょにご飯をたべてねむって、体調をくずしたら看病して……。
だけど、家族をまもろうとする力が――。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.からだを洗ったら、ご飯にしましょう
3.お父さんとお母さんの、あいだにねむる
4.どっちといっしょにいる?
5.具合がわるくなりました
6.我が子同然
7.家族をまもろうとする力
8.まとめ <まずい、もっとまずい>
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
ぼくは、鳥のめんどうをみてる。
グレーの鳥となかよし。
飛ぶのをわすれて、
歩いてついてくるんだってばぁ。
2.からだを洗ったら、ご飯にしましょう
結婚して間もない夫のシークは茶色い布を腰にまき、妻のラレイは茶色い袋から、腕と頭をだしたようなかっこうです。
シークが井戸をかこんだ石にたち、ヤシの実の繊維からつくったひもを、勢いよくひきました。
あがってきたヤシの実の殻のうつわを、つかみます。
「ほらローリー、水だ。しずかにかけるからな」
ラレイがしゃがんで、りょう手でやさしくつつんでいます。
「ローリー、あなたは全身、うすい桃色をして、なんてきれいなのかしら」
「それに顔だ。小さな目をして、愛らしいったらありゃしいぞ」
「ほら、突きだしたお鼻も、尾っぽの下のおしりの穴も、きれいにしましょうねぇ」
「こうして毎日夕方に、お父さんとお母さんが、ローリーのからだを洗うからな」
「そうしたらいっしょに、ご飯をたべましょうね」
3.お父さんとお母さんの、あいだにねむる
葉をふいた屋根が、月光をさえぎっていました。
自分たちの腰ぐらいの高さをした床に、乾燥したヤシの葉の芯が、きれいにならんでいます。
ラレイが膝立ちになり、床がきしみました。
「ほらローリー、お布団のマットをしきましょうね」
シークが、ほほえみます。
「そうだなローリー、そろそろねむろう」
「ほらこっちよ、ローリーはお母さんとお父さんの、あいだに横になるのよ」
「おっ、ゴロンとしてじょうずだ」
「お母さんがローリーの肩を、そっとたたいてあげるから、よくねむるのよ」
4.どっちといっしょにいる?
朝の光をさえぎり、家が影をつくっています。
そこにしいたヤシの葉のマットで、食事を終えました。
ローリーをあいだに、シークとラレイがあぐらをかいています。
「よしローリー今日は、お父さんとお母さんの、どっちについてくる?」
「お母さんはここで、新しい寝具をあむ葉を、たたいたりするの。お母さんと、いっしょにいる?」
「お父さんは林へはいって、枯れ落ちたヤシの実をあつめるんだ。いっしょにきたら、運動になるぞ」
「ローリーったら首をかしげて、まよってるのねぇ。あらっ」
「そうか、そうか、お父さんについてくるか、それじゃあ、いつもみたいに、お父さんのうしろにいるんだぞ」
シークが、たちあがりました。
5.具合がわるくなりました
高床にシークが、あぐらをかいています。
その床のはしにラレイが、おしりをのせました。
「あなた、ローリーの具合は、どお?」
「ああ、今ねむった」
ラレイがシークの肩越しに、顔をだします。
「そっとあててるあなたの手を、ローリーが感じてるわ」
「ああ、手当ての効果は、ばっちりだ」
「わたしと交代しながら、夜通しめんどうをみましょう」
💦 島の手当てのページは、こっち >
6.我が子同然
ヤシの木のあいだの道を、ふたりならんで集落へむかいます。
孫夫婦をたずねた、おじいさんとおばあさんでした。
木漏れ日が顔にあたり、おじいさんが目をほそめます。
「あのふたり、集落からはなれて林に家を建てたのは、人目をさけるためじゃったか――」
おばあさんの眉が、こまったようによりました。
「なんてことでしょう。あのままでは、子を授かれません」
「ああ、ブタが自分たちの子じゃと、たわけたことを――」
7.家族をまもろうとする力
日に焼けた足の甲がゆっくり前へで、素足が土の道をふみしめます。
おばあさんの耳の横で白髪が、風にわずかにおされていました。
「ブタにつきっきりで手当てができても、ブタに自分の心の臓はやれないと、ふたりともいってましたね」
おじいさんの片手が、前をふさぐヤシの葉をおしました。
「子どもに必要なら、どんな親でも差しだそうとするじゃ」
「我が子ですから、命がけで助けようとしますからね」
「そんな愛が、家族をまもろうとする力になるんじゃ」
「あんな夫婦がふえたら集落ばかりか、島が終わってしまいますね」
「そうじゃ、争いにでもなったらまず、勝てん」
8.まとめ <まずい、もっとまずい>
こんにちは、どふぁらずら。
子ブタのうちから、なかよくする。
なついて、かわいいずら。
んだが、
我が子だと錯覚するのは、まずい。