よくないことがおこりそうな、ちょっとした感じ?
それとも、いてもたってもいられない?
本文は:物語風に6分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き
2.どうしても足がむく
3.気になっていられない
4.よくわかったな!
5.虫のしらせがあった
6.やっと会える
7.自分から天国へ
8.おわかれ
9.幸せ
10.まとめ
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
虫のしらせって、
ほんとうにあるみたいで、すごい!
ぼくら子どもは、しらないうちに
たくさんもらってるのかも、しれないってばぁ。
2.どうしても足がむく
ヤシの木のあいだをつづく道を、となりの集落からあるいてきました。
70才ぐらいの妹が、大きめにつくった茶色い服をきています。
弟の家をたずねましたが、弟は海へ魚をとりにいき、会えませんでした。
道へもどった妹が、さらにつぎの集落を目ざしてあるきます。
「海へいったってことは、弟はなにも思わないのよね。わたしだけなのかしら?」
妹がつぶやきながら、パンの木の葉っぱがトンネルをつくる道をすすみました。
「わたしときたら足が、どうしても兄の家へむいてしまうっていうのに……」
3.気になっていられない
集落からでてヤシの木のあいだをとおる道にはいりました。
いっぽうは、すらっとしたみきのあいだに、海が青くひろがっています。
「あらっ、あれは、もしかすると!」
こしに茶色いぬのをまいた、妹とおなじような年の男が、海のほうから道へでてきました。
妹が足をはやめます。
「おまえは魚をとりにいったんでしょうに。どうしたっていうの?」
「おっ、なんじゃ! 姉ちゃんこそこんなところに、どうしたんじゃ?」
弟がパッと目を大きくしました。
「そうじゃったか! わしも息子と孫にまかせて、もどってきたじゃ。どうしてか兄ちゃんが気になってな」
4.よくわかったな!
集落にはいると道をおれ、ヤシの木にかこまれたしき地へはいりました。
葉っぱをかさねた屋根が、柱にささえられています。
四角いゆかぜんたいに、ヤシの葉をあんだマットが、しいてありました。
そこにあぐらをかいた妹と弟に、兄がむきあってすわりました。
「それにしてもじゃ、おぬしらよくわかったな!」
「わたしたちは兄さんに、なにかあったのかと思ってきたのよ」
「おなじことじゃ、おぬしらがきてくれて、兄妹がぜんいんそろったじゃ」
弟がふきげんそうな顔をしました。
「そんなにうれしそうにして、いったいなにごとじゃ」
5.虫のしらせがあった
「まぁ、そうおこるな。おぬしらは、家の仕事をあとまわしにしてもじゃ、ここへこずにはおられんかった。虫のしらせがあったんじゃ」
「虫のしらせ! そういわれてみれば、そうかもしれないわねぇ」
「ああ、まったくじゃ。そうにちがいない」
兄がえみをひっこめ、まじめな表じょうになります。
「今夜、わしらの親の、じいさんとばあさんが、天国へいく」
妹と弟がおどろいたように目をひらきました。
その顔をりょう親にむけます。
ゆかのはんたいがわに、ならんであぐらをかいていました。
6.やっと会える
兄妹3人が、お父さんとお母さんのまえにすわり、はなしています。
屋根のしたをとおっていく風が、5人のはなし声をそっとつつむようでした。
それは小さいころに亡くなった、いち番したの妹についてです。
「ええ、おぼえているわ」
「あたりまえじゃ、わすれるものか」
「かわいかった。ものすごくじゃ……」
兄妹たちがいい、おじいさんへおばあさんが顔をむけました。
「長いこと、またせてしまいましたねぇ」
7.自分から天国へ
空には星がたくさん光っています。
集落を二分するように道がとおり、パンの木のえだや葉っぱが、トンネルをつくっていました。
そこをおじいさんが、木の枝をつえにしてあるきます。
そのかたに手をおいておばあさんが、足をすすめました。
木々のあいだに、ふたりのすがたがみえかくれし、集落の人たちが遠くから、ふたりにおわかれをしています。
「ねぇ、あなた。自分たちであるけるうちに、わたしたちもいっしょに天国へいきましょうね」
「ああ、あのふたりのようにな。なんじゅう年も先になるが、いっしょに住んでる者に、めいわくをかけたくないからな」
「ふたりからおくれて、3人の兄妹があるいているわ」
「虫のしらせがあって、そろったそうだ。子どもたちに見送られるなんて、幸せなことじゃないか」
「まったくね。おふたりとも長いあいだ、ほんとうにおつかれさまでした」
💦 自分から天国へいくページは、こっち >
8.おわかれ
おじいさんとおばあさんに、あわせています。
ゆっくりあるく兄妹3人が、目をりょう親のせなかへむけています。
≪元気でいると思ってるから、会わなくてもよかったけど……≫
心のなかでつぶやいた妹が、おさない自分をだきあげたりょう親を、思いうかべました。
≪いつでも会えると思っていたじゃ。じゃが、これでしまいじゃ……≫
そう思った弟が、ぜんかい会ったなん年もまえのふたりのすがたを、思いうかべます。
≪いつもいっしょだったじゃ。それをかみしめるようになる……≫
むねのなかでつぶやいた兄が、いつもふたりがすわっている場所に、りょう親のいない光けいを、そうぞうしました。
9.幸せ
集落をでると道は、ヤシの木のあいだをとおり、すぐに海につきあたるようにしてまがります。
兄妹3人が、まがり角で足をとめました。
おじいさんとおばあさんが、たちどまってふりかえります。
3人には、りょう親の瞳に、星がたくさんうつっているようにみえました。
ふたりが背をむけてあるきだし、後ろすがたを3人がみつめます。
その目をパッ、とかがやかせました。
「あっ、あれは!」
「妹じゃ、死んだわしらの妹じゃ。むかえにきたんじゃ」
「おやじとおふくろと、手をつないであるいて、小さな背なかが大よろこびじゃ」
10.まとめ
やぁ、どふぁらずら。
よくないことがおこりそうな、虫のしらせ。
いろんなしらせ方があるずら。
んだが、
そのほとんどが、いいほうへつれていってくれるずら。
おっと!
こっちは、わかるずら。
↓
✨どふぁらのページの紹介 ↓ ↓