ようこそ 冬の大三角形をめぐる旅へ。
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さぁ、ひと息いれて思い描けば、そこは旅先 <はじめての方は>
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朝を元気に迎えられなくなってから、わかった。それじゃあ後悔がのこる。
だから元気に迎えられた朝を、かみしめる。
< 本文は:物語風に4分 >
目次
1.タウパの前書き
2.いっしょに逝くのが幸せ
3.家族のめいわく
4.ねむるのが怖い
5.迷惑がかかる
6.ねむるまえに祈る
7.人生の最後に
8.今日に感謝
9.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、海や林ですっぱだかであそぶ、10才のタウパです。
ほんとうは、どっちかの頭が少しおかしくなったら、夫婦そろって天国へ逝く。
身体もいっしょ。
どっちかが歩けなくなるまえにいっしょに逝く。
それなのに、とつぜん頭がすごくおかしくなる人がいる。
こまっちゃうんだってばぁ。
💦自分から逝くページは(ルビ付き) こっち >
2.いっしょに逝くのが幸せ
屋根にふいた葉が枯れて灰色をし、朝の初々しい光をうけています。
その母屋の軒をくぐった、タウパのひいおじいさんのガテが、床にあぐらをかきました。
対面にガテと同年代のジゲが、あぐらをかいています。
「ああ、そうじゃ。妻のボロは今朝、目が覚めるとわしのことはおろか、自分がだれかもわからなくなっとった」
ジゲがうつむきました。
「ボロのことを思うと、ねむっているうちに逝ったほうが、楽だったろうに」
ガテが小さく息をはきだしました。
「そうかもしれん。じゃが、残ったおぬしは、どうなる。支えあう者がおらんかったら、早めに逝くようになる。それもひとりでじゃ」
ガテが床のはんたい側にすわるボロに、顔をむけました。
「ボロは、おぬしといっしょに天国へ逝ける。それがボロとおぬしの幸せじゃ」
💦ひとりで早めに逝くページは、こっち >
3.家族のめいわく
母屋の軒先の地面に、ヤシの葉のかげがうつっています。
そこにボロが立って、大きめに作った茶色いワンピースの裾をあげるように、脇の下でおさえ、りょう膝に手をつきました。
足のあいだから地面にボロの尿がおちます。
ジゲがいそいで母屋からでてきました。
「ボロどうした、ここはまだ海辺じゃない。用はいつも浜へでて、たしとったじゃろ」
ボロのよこに立ったジゲが、ボロの一方の肩に手をおきました。
「潮が満ちれば、海がさらってきれいにしてくれるじゃ。ここでしたら臭いが残って、くさくてかなわん」
ボロがジゲに顔をむけ、ニコッとしました。
4.ねむるのが怖い
家の建つ敷地をかこむようにヤシの木がたっています。ヤシの葉にかこまれる開けた夜空に、たくさんの星がまたたいていました。
母屋の床に寝具をしいて横たわるボロの、寝つくのを待ちました。
ジゲが起きあがり寝息をたてるボロにむいて、あぐらをかきます。
≪ボロのようにならないとは限らん≫
ジゲが心のなかでいいました。
≪わしも明朝、目がさめたら頭がおかしくなってても、不思議じゃないじゃ……≫
わずかに首をかしげます。
≪ふたりして頭がおかしくなったら、逝けん。そんなことになったら、家族に面倒をかけながら生きることになる。とんでもないことじゃ≫
首を強くよこにふりました。
≪ねむるのが、怖くなるじゃ≫
5.迷惑がかかる
太陽が西にかたむき、木々のあいだに夕暮れの気配がたちこめました。
母屋の軒先にヤシの葉をあんだマットをならべてしき、食卓をつくります。
ジゲの両親やひ孫たちも車座になり、自分のまえにおいた大きな緑色の葉を、とり皿代わりにして食事をします。
車座の中心には、大人の肘から指先ほど体長のある焼いた魚がつまれ、イモやパンの実といっしょに食べました。
大人たちが魚やイモを持った手をとめ、ボロに顔をむけます。
いつも品よく食べていたボロの見る影もありません。
片手で魚の身をつかみ、もう一方の手でパンの実を持ち、交互に口におしこみます。
口のまわりに身や実が、いっぱいついています。
≪おそろしい食いっぷりじゃ。いつもの何倍も食べるようじゃ≫
ジゲが上半身を引き、よこにすわるボロをみていました。
6.ねむるまえに祈る
軒がひくく中心が高い屋根のしたです。
屋根を支えて四方とそのあいだに柱が立ち、それらのあいだには、宇宙からの青白い光をうける光景がひろがっています。
ジゲがあぐらをかき、そのまえでボロが寝返りをうちました。
≪よくねむっとるじゃ≫
ジゲが膝においたりょう手を、強くにぎりました。
≪今夜ひと晩じゃ。明日、ボロに容態のよくなる気配がみられなければ夜、ボロをつれて逝くじゃ≫
ジゲがたちあがって母屋から外にでて、空をあおぎました。
≪たのむ。明日の朝まで、わしになにごともなく、すごさせてくれ……≫
7.人生の最後に
朝日をうける海が、青くかがやきはじめます。
浜辺にたちならぶヤシの木のよこに、ジゲがたちました。
「当り前にむかえる朝じゃった。なんじゅう年もなんとも思わずに、目を覚ました」
ジゲが大きく息をすいました。
「じゃが、ボロのように迎えられなくなる。なんでもない、当たり前に迎える朝が、とつぜんに消えるじゃ」
ジゲがしずかに息をはきだします。
「ひごろから感謝すべきじゃった。朝が迎えられることを、今ほどありがたく思ったことはない。目を覚ましたら元気でいる。それを感謝することができたのは、なんと人生最後の日じゃった。情けないのぉ……」
8.今日に感謝
ジゲがよこをむき、そこにたっているボロの横顔へ目をむけます。
「ボロ、きれいな海じゃのう……」
ジゲが、ボロの視線をおうように、顔をうごかしました。
「ボロだってこうして朝を迎えられたじゃ。ありがたい朝じゃのう。わしがボロの分まで、お礼をいっておくじゃ」
ジゲが水平線をみつめます。
≪長いあいだ元気に生きてきたじゃ。目覚めたことを、迎えられた朝を、幸せに思うこともせんかった……≫
ジゲがつばを飲みこみます。
≪朝をかみしめ、その日を大切にすごすじゃ。そうできれば、どれほどよかったことか。わしらに今朝を、迎えさせてくれありがとうございます。ボロをつれて今夜、天国へあがれるじゃ≫
ボロがジゲの手をつかみ、浜をおりようとします。
「こらっ、そっちじゃない。また悪ふざけをしおって……」
💦 ボロの頭がおかしくなったページは、こっち >
💦 ジゲがボロと逝くページは、 こっち >
9.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
なにげなく迎えた朝。
幸せを感じ、その日を大切にする。
おいらもそうできるように、心がけるずら。
おっと!
その日を大切に、真剣に決めるずら。
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