朝日はどうして、力をくれるんだろう?
< 本文は:物語風に4分 >
目次
1.タウパの前書き <新しい日がはじまる>
2.亡くなった人の幸せをねがう
3.つらいなみだ・元気をもらう
4.手紙をくれたつらい友達を思って・祈る
5.つらい日々が終る・感謝
6.つづけるのが大変・はげみになる
7.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き <新しい日がはじまる>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
島では、
新しい日がはじまる、って言います。
集落からみる朝日は、
海からじゃなく、遠くのヤシ林の上からのぼってきます。
ヤシの木の高さしかない島が、
でっかい弧を、えがいてるんだってばぁ。
2.亡くなった人の幸せをねがう
レケは40をすぎた細身の女性でした。
「こんなことしかできないけど、わたしの小さな幸せなの」
そういって集落のお年よりに肩をかし、杖のかわりをします。
おじいさんが残してくれた想い出の花。
咲いたところをみようと、レケに肩をかりて毎日通ったおばあさんが、花のもとで他界しました。
その翌朝レケが、浜辺にならぶヤシの木の横に立ちました。
≪おばあちゃんにも、新しい日がはじまるんだわ。もう、はじまってるわね。空でおじいちゃんといっしょにすごしてる。あんなにうれしそうな顔、してたんですもの≫
そこだけ空が明るくなり、その下のヤシ林のヤシの葉が、黒く映しだされました。
ヤシの葉の影を光がつつむようにけし、太陽がのぼってきて、新しい日がはじまります。
みるみる大きくなる太陽が、レケに自信をくれるようです。
3.つらいなみだ・元気をもらう
チコはタウパの友達の女の子です。
敷地のはしにつくった花壇を、お花に水をあげながら歩きました。
「今日もたくさん咲いたね。きれいに、きれいに、きれいになあれ」
チコはお花と話しながら、毎日世話をします。
すると、花壇にむいて立ったチコが、両手を頭にあてて、泣きながらさけびました。
「いやだ、いやだ、いやだ、やめて、おねがい。ケンカしないで」
二頭の犬が、花壇の中でとっくみあっています。
「おねがいやめて、お花がかわいそう。お花が、お花が、おねがい、おねがい」
お父さんが犬をおいはらい、チコが花壇に入りました。
「ごめんね、ごめんね、毎日咲いてくれたのに、ごめんなさい……」
チコは寝る前にお父さんから、朝おきたら浜に立つように言われました。
チコが浜を前にして、ヤシの木の横に立ちました。
明るくなってきた東の空を背に、低い島影がつづき、その縁から白い光がさしこみました。
≪きれいな光だなぁ。ぐちゃぐちゃになったお花のために、がんばらなきゃ、がんばってまた、お花をそだてなきゃ。太陽さん、みてて≫
グングンのぼる太陽が、支えてくれるようです。
4.手紙をくれたつらい友達を思って・祈る
「も~。そんなお金や物が、ある国のことなんて、わからないってばぁ。わかるのは、話してくれたどの子も、がまんしてるって、ことだけだってばぁ」
自分の言ったことを思いだし、ヤシの幹に片手をあてたタウパが、視線を浜におとしました。
自分とおなじような年の、その子たちを思います。
ウソつきになりたくないのに、お父さんが病気でどうにもならない男の子。
あそびにいきたいのに、お母さんにはぐらかされる女の子。
お金がないのがわかるから、お母さんに強がった男の子。
クラスの子に貧乏だって、言われてるみたいな女の子。
≪どの子も、島の子がしないような、がまんをしてる≫
タウパが視線をあげました。
≪海のむこうからつらいのが、とどいてくるってばぁ≫
太陽が島影から顔をのぞかせました。
≪新しい日がはじまる。その子たちにも、がまんのない新しい日が、はじまりますように。ぜったいに、ぜったいに、はじまりますように、どうかおねがいします≫
力強くのぼる太陽が、思いをかなえてくれるようです。
5.つらい日々が終る・感謝
集落のはずれにある半島の先端を目指し、お父さんのギーニが浜を歩きます。
「お母さんぼく、お父さんと漁へいくのもう、いやだよ。お父さん、自分の友達にバカにされて、カッコ悪いんだもん」
息子の言葉が、ギーニの胸をしめつけました。
≪俺が、漁がへたくそだってわかっていながら、なんどあいつらにバカにされたことか。女房や子供には、魚を満足に食わせてやれずに、申し訳なかった≫
太陽がのぼってくる空へむいて立ちます。
ヤシ林が海にうかんだような島が、影になってつづいています。
≪こんなことって、あるんだな。俺に、こんな能力があったとは――≫
ギーニは、陸でする漁がじょうずでした。
島影の縁からこぼれた日差しが、刺すようにむかってきました。
≪新しい日がはじまるなんて、ありがてぇ。まるで神様がいるみてぇじゃねぇか。ほんとうにありがてぇ≫
ギーニには太陽が、神様に思えます。
6.つづけるのが大変・はげみになる
イククがとなりを走る子に、顔をむけました。
「ありがとう、つきあってくれて。わたし、スポーツ苦手だけど、きらいになりたくない。みんなともあそびたいから、こうしてゆっくり走るのは、つづけるんだ」
走っていると、運動がへたくそなのを笑う子から、からかわれます。
「イクク、集落から少しはなれたところで、走ろうよ」
そこは人気がなくて、さみしいところでした。
友達がいっしょに走れない日は、イククの気持ちがしずみました。
≪でも、走りにいかなきゃあ≫
がんばったイククが、マラソン大会でビリを卒業しました。
マラソンするように浜を走ったイククが、半島のヤシの木を背にして立ちました。
≪新しい日って、くるんだね。はじまった。ほんとうに新しい日がはじまった。どうもありがとう。これからも毎日走る。そしてまた、お礼を言いにくるから――≫
島の上にあがった太陽が、いつもよりかがやいてみえます。
7.まとめ
それぞれ、いろんな思いがあるずら。
おいらも、
特に朝日には、たすけられる。
力をくれるずら。
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